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工業大学生ももやまのうさぎ塾

うさぎでもわかるをモットーに大学レベルの数学・情報科目をわかりやすく解説!

(期末試験・編入学・院試・数検対策)線形代数2 総復習テスト:前編(解説付き)

 こんにちは、ももやまです。

今回もいつもの例の人と協力することで線形代数2の総復習テスト(通称本番レベル模試)を作成してみました。

 

製作者からのコメント

自己紹介しておきまーす! みなさんこんにちは!毎度おなじみ行基本変形サークルの会長でございます。それに伴って表紙も某大学の入試っぽく変更しました!さらに,今回から模試作成委員会を結成いたしまして,いつもは私と某うさぎさんで作っていましたが,それにさらに頭の良すぎる2人を加えまして総勢4名でこの模試を作っていくことになりましたー!!!

では、よろしくお願いします!

 

 

 

第1問.部分空間とベクトルの1次関係

つぎの(1)~(3)の問いに答えなさい。(配点  9)

(1)

次で定める  \mathbb{R}^3 のベクトル  \vec{a}_1 \vec{a}_2 \vec{a}_3 について、これらのベクトルが1次従属であるときの定数  c の値を求めなさい。マーク番号 [   1   ] \[
\vec{a}_1 = \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 1 \\ 3 \end{array} \right) , \ \ \ \vec{a}_2 = \left( \begin{array}{ccc} -1 \\ 2 \\ 3 \end{array} \right) , \ \ \ \vec{a}_3 = \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 4 \\ c \end{array} \right) 
\]

 

(2)

つぎで定める  \mathbb{R}^4 のベクトル  \vec{a}_1 \vec{a}_2 \vec{a}_3,  \vec{a}_4,  \vec{b} について、 \vec{b} を  \vec{a}_1 \vec{a}_2 \vec{a}_3,  \vec{a}_4 の1次結合として表したときの空欄 [   2   ] 〜 [   4   ] にあてはまる適切な数を答えなさい。\[
\vec{a}_1 = \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 3 \\ 1 \\ 2 \end{array} \right) , \ \ \vec{a}_2 = \left( \begin{array}{ccc} 2 \\ 2 \\ 3 \\ 4 \end{array} \right) , \ \ 
\vec{a}_3 = \left( \begin{array}{ccc} 3 \\ 4 \\ 2 \\ 5 \end{array} \right) , \ \
\vec{b} = \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 5 \\ -4 \\ 0 \end{array} \right) 
\]\[
\vec{b}  = \left[ \ \ \ 2 \ \ \ \right] \vec{a}_1 + \left[ \ \ \ 3 \ \ \ \right] \vec{a}_2 + \left[ \ \ \ 4 \ \ \ \right] \vec{a}_3 
\]

 

(3)

以下に定める  \mathbb{R^3} の部分集合  V_1,  V_2,  V_3 のうち、部分空間であるものの組み合わせとして適当なものをつぎの①〜⑧の中から1つ選び、マークしなさい。マーク番号 [   5   ]\[
V_1 = \left\{ \left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z \end{array} \right) \in \mathbb{R}^3 \ \middle| \ z = 3x - 9y \right\} \\
V_2 = \left\{ \left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z \end{array} \right) \in \mathbb{R}^3 \ \middle| \ (x+y)(2x+3y-z) = 0 \right\} \\
V_3 = \left\{ \vec{x} \in \mathbb{R}^3 \ \middle| \ \vec{x} = s \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 1 \\ 4 \end{array} \right) + t \left( \begin{array}{ccc} 5 \\ 1 \\ 4 \end{array} \right)  , \ \ s,t \in \mathbb{R} \right\}
\]

f:id:momoyama1192:20191116073741g:plain

 

[解説]

(1)(3点)

解答:[   1   ] … 9

ベクトル  \vec{a}_1,  \vec{a}_2,  \vec{a}_3 が1次従属であるとき、行列  A を\[
A = ( \vec{a}_1, \vec{a}_2 , \vec{a}_3 ) = \left( \begin{array}{ccc} 1 & -1 & 1 \\ 1 & 2 & 4 \\ 3 & 3 & c \end{array} \right)
\]と定めると、3次行列  A \mathrm{rank} \ A \not = 3 とtなるような定数  c の値を求めればよい。

 

ここで  A は行基本変形により\[
 \begin{align*}  & \ \left( \begin{array}{ccc} 1 & -1 & 1 \\ 1 & 2 & 4 \\ 3 & 3 & c  \end{array} \right)
\\ \to  \ & \ \left( \begin{array}{ccc} 1 & -1 & 1 \\ 0 & 3 & 3 \\ 0 & 6 & c-3  \end{array} \right) 
\\ \to  \ & \ \left( \begin{array}{ccc} 1 & 0 & 2 \\ 0 & 1 & 1 \\ 0 & 0 & c-9  \end{array} \right) 
\end{align*}
\]と簡約化できるので、 A の階数は

 c  = 9 のとき  \mathrm{Rank} \ A = 2
 c  \not = 9 のとき  \mathrm{Rank} \ A = 3

となる。故に  c = 9 のとき、ベクトル  \vec{a}_1, [tex; \vec{a}_2],  \vec{a}_3 は1次従属となる。

 

[別解]

3次正方行列なので行列式で判定するのも手。

行列式の場合、 |A| = 0 となるような定数  c の値を求めれば良い。\[
 \begin{align*}   
|A| & = \left| \begin{array}{ccc} 1 & -1 & 1 \\ 1 & 2 & 4 \\ 3 & 3 & c  \end{array} \right|
\\ & = 2c - 12 + 3 - (6 -c  +12)
\\ & = 3c - 27 = 0
\end{align*}
\]となればよいので、 c = 9 のときに1次従属となる。

 

ちなみ1次従属のときの  \vec{a}_3 \vec{a}_1,  \vec{a}_2 の1次結合で書き表すと、\[
\vec{a}_3 = 2 \vec{a}_1 + \vec{a}_2
\]となる。なお、 c \not = 9 のとき、ベクトル  \vec{a}_1, [tex; \vec{a}_2],  \vec{a}_3 は1次独立であるため、3つの中のどのベクトルも他の2つのベクトルの一次結合によって書き表すことはできない。

1次独立・1次従属についての復習はこちらの記事をご覧ください。

(次の問題で出てくる1次結合についてもこちらの記事で説明しています。)

www.momoyama-usagi.com

(2)(1点×3)

解答:[   2   ] … 1 [   3   ] … -3 [   4   ] … 2

\[ \vec{b} = c_1 \vec{a}_1 + c_2 \vec{a}_2 + c_3 \vec{a}_3 \]とする。これは、\[
\left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 5 \\ -4 \\ 0  \end{array} \right) = c_1 \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 3 \\ 1 \\ 2  \end{array} \right) + c_2 \left( \begin{array}{ccc} 2 \\ 2 \\ 3 \\ 4  \end{array} \right) + c_3 \left( \begin{array}{ccc} 3 \\ 4 \\ 2 \\ 5  \end{array} \right) 
\]つまり、\[
\left\{ \begin{array}{l} 
\ \ c_1 + 2 c_2 + 3 c_3 = \  \ \ 1 \\
3 c_1 + 2 c_2 + 4 c_3 = \ \ \ 5 \\
\ \ c_1 + 3 c_2 + 2 c_3= -4 \\
2 c_1 + 4 c_2 + 5c_3 = \ \ \ 0
\end{array}\right.
\]の連立1次方程式と同値である。すなわち、 A = ( \vec{a}_1, \vec{a}_2, \vec{a}_3 ) としたときの方程式  A \vec{x} = \vec{b} のただ1つの解を求めればよい。拡大係数行列の掃き出し法より、\[
(A | \vec{b} ) = \left( \begin{array}{ccc} 1 & 2 & 3 & 1 \\ 3 & 2 & 4 & 5 \\ 1 & 3 & 2 & -4 \\ 2 & 4 & 5 & 0  \end{array} \right) \to \left( \begin{array}{ccc} 1 & 0 & 0 & 1 \\ 0 & 1 & 0 & -3 \\ 0 & 0 & 1 & 2 \\ 0 & 0 & 0 & 0  \end{array} \right)
\]と簡約化できる。すなわち、このときの  A \vec{x} = \vec{b} のただ1つの解が\[
\vec{x} = \left( \begin{array}{ccc} c_1 \\ c_2 \\ c_3 \end{array} \right) = 
\left( \begin{array}{ccc} 1 \\ -3 \\ 2 \end{array} \right)
\]と求まる。以上より、 \vec{b} \vec{a}_1,  \vec{a}_2,  \vec{a}_3 の1次結合で\[
\vec{b} = \vec{a}_1 - 3 \vec{a}_2 + 2 \vec{a}_3
\]と書き表すことができる。

 

なお、実際に計算すると正しい値になることがわかる。(検算しようね!)

 

(3)(3点)

解答:[   5   ] … 3

部分空間の定義は、簡潔に言うと「和とスカラー倍について閉じている」ことである。

と言っても意味が分からない人もいると思うので詳しく説明しておくと,

 

(i) 和について閉じている

 \mathbb{R}^3 の部分集合  V があるとして、異なる2つのベクトル\[
\left( \begin{array}{ccc} a \\ b \\ c \end{array} \right), \ \ \ \left( \begin{array}{ccc} d \\ e \\ f \end{array} \right),
\]が  V の要素であるとき、 V が部分空間ならそれらを足したベクトル\[
\left( \begin{array}{ccc} a+d \\ b+e \\ c+f \end{array} \right),
\]もまた  V の要素である。

 

 

(ii) スカラー倍について閉じている

 \mathbb{R}^3 の部分集合  V があるとして、ベクトル\[
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z \end{array} \right)
\]が  V の要素であるとき、 V が部分空間ならそれらをスカラー倍したベクトル\[
\left( \begin{array}{ccc} cx \\ cy \\ cz \end{array} \right),
\]もまた  V の要素である。

 ちなみに、スカラーとはベクトルとは対の関係のようなものであり、実数のように大きさのみをもつ量のことである。(ベクトルはそれに加えて向きも持つ。)
なお,部分空間の判定の際は最初に (ii) における  c= 0 を代入すると思いのほか早く判定できる場合がある。

 

もし部分空間についてよくわからないなと思った人はこちらの記事で復習してみてください。

 

さて本題に入る。

 V_1 の場合

(i) \[
\left( \begin{array}{ccc} a \\ b \\ c \end{array} \right) \in V_1 , \ \ \ \left( \begin{array}{ccc} d \\ e \\ f \end{array} \right) \in V_1
\]とする。このとき、\[
\left\{ \begin{array}{l} 
c = 3a - 9b \\
f = 3d - 9e
\end{array}\right.
\]を満たす。2式を足すと、\[
(c+f) = 3(a+d) - 9(b+e)
\]となるので、\[
\left( \begin{array}{ccc} a + d \\ b + e \\ c + f \end{array} \right) \in V_1
\]となり、(i)はOK。

 

(ii) \[
\left( \begin{array}{ccc} \alpha \\ \beta \\ \gamma \end{array} \right) \in V_1
\]とする。このとき、\[
\gamma = 3 \alpha - 9 \beta
\]を満たす。ここで  c をスカラーとして両辺を  c 倍すると\[
c \gamma = c ( 3 \alpha - 9 \beta ) = 3 (c \alpha ) - 9 ( c \beta )
\]であるから\[
\left( \begin{array}{ccc} c \alpha \\ c \beta \\ c \gamma \end{array} \right) \in V_1
\]となり、(ii)もOK。

 

(i), (ii) より  V_1 は部分空間となる。(よって○)

 

 今回はいちいち細かい証明を記したが、実はこれは何次のベクトル空間であっても、その条件式が一次式であれば問答無用で部分空間となる。(上の証明を一般化させるだけなので証明はここでは省略する。)

 

 V_2 の場合

(i) 実は和について閉じていない

例えば、\[
\left( \begin{array}{ccc} 1 \\ -1 \\ 1 \end{array} \right) , \ \ \ \left( \begin{array}{ccc} 2 \\ -1 \\ 1 \end{array} \right)
\]はどちらも  V_2 の要素であるが、その和\[
\left( \begin{array}{ccc} 3 \\ -2 \\ 2 \end{array} \right)
\]は\[
(3-2)(6-6-2) = 1 \cdot (-2) = -2 \not = 0
\]より  V_2 の要素でないことがわかる。

 

よって  V_2 は部分空間ではない。

 

今回はいちいち細かい証明をしたが,実はこれはよくあるトラップで,この部分集合はx+y=0または2x-3y-z=0 のどちらかを満たすベクトルが要素となってしまうため,x+y=0を満たすが2x-3y-z=0を満たさないベクトルとその逆を満たすベクトルを適当にとってきて2つを足すと,足したベクトルは条件式を満たさない場合がほとんどである.(→検証。全くないかもしれない?????)

つまり,複数の条件式の中でどれか1つだけを満たせばよいような部分集合はちょっと怪しいと思った方がよいかもしれない.ちなみに,それぞれの条件式が単なる1次式であるのでこれはスカラー倍については閉じていることにも十分注意したい.

 

なお、もし条件式が\[
(x+y)^2 + (2x + 3y - z)^2 = 0
\]のような  x + y = 0 2x - 3y - z = 0 のどちらをも満たすベクトルの集合なのだとしたらこれが部分集合になるかどうかも考えてみてほしい。

 

 V_3 の場合

(i) \[
\left( \begin{array}{ccc} a \\ b \\ c \end{array} \right) \in V_3 , \ \ \ \left( \begin{array}{ccc} d \\ e \\ f \end{array} \right) \in V_3
\]とする。このとき、\[
\left\{ \begin{array}{l} 
\left( \begin{array}{ccc} a \\ b \\ c \end{array} \right) = s \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 1 \\ 4 \end{array} \right) + t \left( \begin{array}{ccc} 5 \\ 1 \\ 4 \end{array} \right) \\
\left( \begin{array}{ccc} d \\ e \\ f \end{array} \right) = u \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 1 \\ 4 \end{array} \right) + v \left( \begin{array}{ccc} 5 \\ 1 \\ 4 \end{array} \right)
\end{array}\right.
\]を満たす。2式を足すと、\[\begin{align*} &
\left( \begin{array}{ccc} a \\ b \\ c \end{array} \right) + \left( \begin{array}{ccc} d \\ e \\ f \end{array} \right) \\ & = \ (s+u) \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 1 \\ 4 \end{array} \right) + (t+v) \left( \begin{array}{ccc} 5 \\ 1 \\ 4 \end{array} \right)
\end{align*} \]であるから、\[
\left( \begin{array}{ccc} a + d \\ b + e \\ c + f \end{array} \right) \in V_3
\]となり、(i)はOK。

 

(ii) \[
\left( \begin{array}{ccc} \alpha \\ \beta \\ \gamma \end{array} \right) \in V_3
\]とする。このとき、\[
\left( \begin{array}{ccc} \alpha \\ \beta \\ \gamma \end{array} \right) = a \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 1 \\ 4 \end{array} \right) + b \left( \begin{array}{ccc} 5 \\ 1 \\ 4 \end{array} \right)
\]を満たす。ここで  c をスカラーとして両辺を  c 倍すると\[
c \left( \begin{array}{ccc} \alpha \\ \beta \\ \gamma \end{array} \right) = c a \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 1 \\ 4 \end{array} \right) + cb \left( \begin{array}{ccc} 5 \\ 1 \\ 4 \end{array} \right)
\]であるから\[
\left( \begin{array}{ccc} c \alpha \\ c \beta \\ c \gamma \end{array} \right) \in V_3
\]となり、(ii)もOK。

 

今回は定義に従って証明したが、実は\[
V_3 = \left< \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 1 \\ 4 \end{array} \right), \left( \begin{array}{ccc} 5 \\ 1 \\ 4 \end{array} \right) \right>
\]という生成系の形で書くことが出来る.ということは,部分空間でないわけがないのだ.(定義に帰ればこれは火を見るよりも明らかである.)つまり,こんな形で一時独立なベクトルの生成系で書かれているようなものがあれば部分空間と即答してよい.

 

 V_1,  V_3 が部分空間、 V_2 が部分空間ではないので合致する選択肢は➂となる.

(今回は部分空間の性質を知っていればこんなに証明なども考えなくとも一瞬で分かるような3つの集合について出題したのだが,解説を書くと意外と量が多いものであったこともあり,出題者を恨んでいる.なお,出題者とこの解説を書いた者は同一人物であることは触れてはいけない.)

 

 

 

 

問題1の総評

なんか上の解説コーナーでかしこまったような文章を最初に書いてしまったがためになんか堅苦しい解説となってしまいましたが,この枠の中ではいつもの調子で講評を(自分で作ったものに講評を書くのはどうかと思いますが)書いていこうと思います。 

線形代数Ⅱは線形代数Ⅰの知識をフル活用して挑まなければならないので,Ⅰで学んだことを忘れていたり,あまりⅠが得意ではなかったりした人はまずⅠの復習から始めましょう。てなわけで第1問は新しい概念「一時独立,一次従属,一次結合,部分空間」などについての問題を作成しました。概念をそもそも知っていないと解けない問題が多かったはずです。しかし,その中身を紐解いていけばただの行列の階数を求めたり,連立一次方程式の解を求めたり,ベクトルの足し算だとかスカラー倍だとか,結構Ⅰの序盤でやったような知識しか使わなかったのではないでしょうか? そうです。こいつ,むずそうに見えて意外と中見てみるとちょろいです。あのドラクエの映画みたいな,むっちゃ強そうやったのに(ry
 まあ,そんなこんなで今回も本番レベル模試の講評コーナー,箸休めにでも読んでみてくださいね!あ、私はドラクエの映画見てませんしドラクエ自体やったことありません。ちなみに天気の子は2回見ました。

 

第2問.基底と次元

つぎの(1)~(2)の問いに答えなさい。(配点  8)

(1)

つぎのベクトルの生成する  \mathbb{R}^3 の部分空間の次元が2となるような  c の値を求めなさい。マーク番号 [   6   ] \[
\vec{a}_1 = \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 2  \\ 3 \end{array} \right) , \ \ \ \vec{a}_2 = \left( \begin{array}{ccc} 2 \\ 5 \\ c \end{array} \right) , \ \ \ \vec{a}_3 = \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 2c \\ -5 \end{array} \right) , \ \ \ \vec{a}_4 = \left( \begin{array}{ccc} -c \\ -7 \\ 6 \end{array} \right) 
\]

 

(2)

つぎのベクトル  \vec{a},  \vec{b} に対して、 \{ \vec{a}, \vec{b}, \vec{c} \} \mathbb{R}^3 の基底となるような第3のベクトル  \vec{c} として考えられるものをつぎの①~⑤の中からすべて選び、マークしなさい。マーク番号 [   7   ]\[
\vec{a} = \left( \begin{array}{ccc} 3 \\ 1 \\ 1 \end{array} \right) , \ \ \ \vec{b} = \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 4 \\ 3 \end{array} \right) 
\] [選択肢]\[
① \ \ \vec{c} = \left( \begin{array}{ccc} 0 \\ 0 \\ 0 \end{array} \right) \ \ \ 
② \ \ \vec{c} = \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 1 \\ 1 \end{array} \right) \ \ \ 
③ \ \ \vec{c} = \left( \begin{array}{ccc} 4 \\ 5 \\ 4 \end{array} \right) \\ 
④ \ \ \vec{c} = \left( \begin{array}{ccc} 2 \\ -3 \\ -3 \end{array} \right) \ \ \ 
⑤ \ \ \vec{c} = \left( \begin{array}{ccc} 12 \\ -3 \\ -4 \end{array} \right)
\]

 

(1)(4点)

解答:[   6   ] … 2

4つのベクトル  \vec{a}_1,  \vec{a}_2,  \vec{a}_3,  \vec{a}_4 が生成する部分空間を  V とすると、 V は生成系で\[
V = \left< \vec{a}_1, \vec{a}_2, \vec{a}_3, \vec{a}_4 \right>
\]と書ける。このとき、 V の次元  \dim V \vec{a}_1,  \vec{a}_2,  \vec{a}_3,  \vec{a}_4 の中で1次独立なものの最大個数に等しい。よって行列  A を\[
A = ( \vec{a}_1, \vec{a}_2, \vec{a}_3, \vec{a}_4 )
\]としたとき、\[
\dim V = \mathrm{Rank} \ A
\]が成立する。

 

よって、 \mathrm{Rank} \ A = 2 となるような  c の値を求めればよい。\[\begin{align*}
A & = \left( \begin{array}{ccc} 1 & 2 & 1 & -c \\ 2 & 5 & 2c & -7 \\ 3 & c & -5 & 6 \end{array} \right)
\\ & \to \left( \begin{array}{ccc} 1 & 2 & 1 & -c \\ 0 & 1 & 2c-2 & 2c-7 \\ 0 & c-6 & -8 & 3c+6 \end{array} \right)
\\ & \to \left( \begin{array}{ccc} 1 & 0 & 5-2c & 14-5c \\ 0 & 1 & 2c-2 & 2c-7 \\ 0 & 0 & -2(c-2)(c-5) & -2(c-2)(c-9) \end{array} \right)
\end{align*}\]と簡約化できるので、 \mathrm{Rank} \ A = 2 となるとき、 c は\[
(c-2)(c-5) = (c-2)(c-9) = 0
\]を満たす。ゆえに求める  c の値は  c = 2 である。

 

確かにこのとき、\[\begin{align*}
A & = \left( \begin{array}{ccc} 1 & 2 & 1 & -2 \\ 2 & 5 & 4 & -7 \\ 3 & 2 & -5 & 6 \end{array} \right)
\\ & \to \left( \begin{array}{ccc} 1 & 0 & 1 & 4 \\ 0 & 1 & 2 & -3 \\ 0 & 0 & 0 & 0 \end{array} \right)
\end{align*}\]となり、\[
\dim V = \mathrm{Rank} \ A = 2 
\]となることが確認できる。

 

(2)(4点)

解答:[   7   ] … 2, 4, 5

 \{ \vec{a}, \vec{b}, \vec{c} \} \mathbb{R}^3 の基底となるためには、 \vec{c} \vec{a},  \vec{b} の1次結合で表せないようなものでなければならない。言い換えると、  \vec{a},  \vec{b},  \vec{c} が1次独立であればよう。

 

つまり、行列\[
A = ( \vec{a}, \vec{b}, \vec{c} )
\]において、 \mathrm{Rank} \ A \not = 3 もしくは  |A| \not = 0 を満たせばよい。

 

では、①~⑤の選択肢それぞれの  |A| の値を確認していこう。

 

①\[\begin{align*}
|A| & = \left| \begin{array}{ccc} 3 & 1 & 0 \\ 1 & 4 & 0\\ 1 & 3 & 0 \end{array} \right|
\\ & = 0
\end{align*}\]より1次従属となり、不適切*1

 

②\[\begin{align*}
|A| & = \left| \begin{array}{ccc} 3 & 1 & 1 \\ 1 & 4 & 1\\ 1 & 3 & 1 \end{array} \right|
\\ & = 12 + 1 + 3 - (4 +1 + 9 )
\\ & = 2 \not = 0
\end{align*}\]より1次独立となり、適切。

 

③\[\begin{align*}
|A| & = \left| \begin{array}{ccc} 3 & 1 & 4 \\ 1 & 4 & 5 \\ 1 & 3 & 4 \end{array} \right|
\\ & = 48 + 5 + 12 - (16 + 4 + 45)
\\ & = 0
\end{align*}\]より1次従属となり、不適切。

 

④\[\begin{align*}
|A| & = \left| \begin{array}{ccc} 3 & 1 & 2 \\ 1 & 4 & -3 \\ 1 & 3 & -3 \end{array} \right|
\\ & = -36 - 3 + 6 - (8 - 3 - 27)
\\ & = -11
\end{align*}\]より1次独立となり、適切。

 

⑤\[\begin{align*}
|A| & = \left| \begin{array}{ccc} 3 & 1 & 12 \\ 1 & 4 & -3 \\ 1 & 3 & -4 \end{array} \right|
\\ & = -48 - 3 + 36 - (48-4-27)
\\ & = -32
\end{align*}\]より1次独立となり、適切。

 

以上より、②・④・⑤が答えである。

 

基底がよくわからないなと思ったひとはこちらの記事にて復習してください。

 

 

 

問題2の総評

 第1問に続いて,今回は「次元,基底」について問う問題を出題しました。これも紐解いてみればただの行列の階数だったり,さっきの一次結合であったり,同じような問題だったと思います。概念の定義を確認して,落ち着いて点を取れるようにしましょう。ちなみに,次元ってちょっとよくわからないのですがなんか声優は2.5次元とかよく言いますよね。あれ何なんですかね。次元って離散的なものとばっかり思ってました。

 

第3問.線形写像

つぎの(1)~(4)の問いに答えなさい。(配点 18)

(1)

写像  f : \mathbb{R}^3 \to \mathbb{R}^2 が行列  A で定められる線形写像であるとし、具体的に\[
f \left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z  \end{array} \right) = \left( \begin{array}{ccc} x + z \\ y \end{array} \right) 
\]と書けるとする。このとき、 A は [   8   ] × [   9   ] 型行列であり、その(1,2) 成分は [  10  ]、(2,2) 成分は [  11  ] である。

 

(2)

写像  g : \mathbb{R}^2 \to \mathbb{R}^3 が行列  B で定められる線形写像であるとし、具体的に\[
g \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 1  \end{array} \right) = \left( \begin{array}{ccc} 3 \\ 3 \\ 4 \end{array} \right) , \ \ \ g \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 2  \end{array} \right) = \left( \begin{array}{ccc} 8 \\ 1 \\ 0 \end{array} \right)
\]であるとする。このとき、 B は [  12  ] × [  13  ] 型行列であり、その(1,2) 成分は [  14  ]、(2,2) 成分は [  15  ] である。

 

(3)

合成写像  f \circ g の表現行列を  C とする。このとき、\[
C = \left( \begin{array}{ccc} \left[ \ \ 16 \ \ \right] & \cdots & \left[ \ \ 17 \ \ \right] \\ \vdots & \ddots & \vdots \\ \left[ \ \ 18 \ \ \right] & \cdots & \left[ \ \ 19 \ \ \right] \end{array} \right)
\]である。ただし、 C 中の … は行列の成分の省略を表すが、必ずしもそこに成分が存在するとは限らない。

 

(4)

合成写像  f \circ g,  g \circ f のうち、逆変換をもつものの組み合わせとして適切なものをつぎの選択肢の中から選びなさい。マーク番号:[  20  ]

 

[ [  20  ] の選択肢 ]

 f \circ g,  g \circ f の両方
 f \circ g のみ
 g \circ f のみ
④ 該当なし

 

(1)(1点×2 + 2点×2 = 6点)

解答:[   8   ] … 2,   [   9   ] … 3,   [  10  ] … 0,   [  11  ] … 1 \[
f \left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z  \end{array} \right) = \left( \begin{array}{ccc} x + z \\ y \end{array} \right) 
\]を満たすとき、行列  A を用いて\[
A  \left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z  \end{array} \right) = \left( \begin{array}{ccc} x + z \\ y \end{array} \right) 
\]と表せる。行列  A と3×1型行列の積が定義され、さらに演算結果が2×1型行列となるため、 A は2×3型行列である。また、具体的に  A を求めると、\[\begin{align*}
A  & = \left( \begin{array}{ccc} f \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 0 \\ 0 \end{array} \right) & f \left( \begin{array}{ccc} 0 \\ 1 \\ 0 \end{array} \right) & f \left( \begin{array}{ccc} 0 \\ 0 \\ 1 \end{array} \right) \end{array} \right) 
\\ & = \left( \begin{array}{ccc} 1 & 0 & 1 \\ 0 & 1 & 0  \end{array} \right)
\end{align*} \]であるから、 A の(1,2) 成分は0、(2,2)成分は1である。

 

 A を求めるステップは様々である。ここでは標準基底を実際に代入して並べる方法により求めたが、 A が2×3型行列とわかっているから\[
A = \left( \begin{array}{ccc} a & b & c \\ d & e & f  \end{array} \right) 
\]とでもおいて、[\begin{align*} &
A   \left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z  \end{array} \right) 
\\ = & \ \left( \begin{array}{ccc} a & b & c \\ d & e & f  \end{array} \right)  \left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z  \end{array} \right) 
\\ = & \  \left( \begin{array}{ccc} ax + by + cz \\ dx + ey + fz  \end{array} \right)
\\ = & \ \left( \begin{array}{ccc} x + z \\ y \end{array} \right) 
\end{align*} \]などとして係数を決定させていく方法もあるが、このようなしらみつぶしに表現行列を求める方法はあまりお勧めしない。成分が多くなると非常に面倒であるからだ。

 

(2)(1点×2 + 2点×2 = 6点)

解答:[  12  ] … 3,   [  13  ] … 2,   [  14  ] … 5,   [  15  ] … -2

(1) とは異なり、今回は  g \left( \begin{array}{ccc} x \\ y \end{array} \right) が具体的にわかっていないため、表現行列  B が\[
B = \left( \begin{array}{ccc} g \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 0 \end{array} \right) & g \left( \begin{array}{ccc} 0 \\ 1 \end{array} \right) \end{array} \right) 
\]で表されることを用いる。

 

[解き方は2通り]

ここで、線形写像は和とスカラー倍について閉じているので、これを用いて\[\begin{align*}
g \left( \begin{array}{ccc} 0 \\ 1 \end{array} \right) & = g  \left( \begin{array}{ccc} 1-1\\ 2-1 \end{array} \right) 
\\ & = g  \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 2 \end{array} \right) - g  \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 1 \end{array} \right) 
\\ & = \left( \begin{array}{ccc} 8 \\ 1 \\ 0 \end{array} \right) -  \left( \begin{array}{ccc} 3 \\ 3 \\ 4 \end{array} \right)
\\ & =  \left( \begin{array}{ccc} 5 \\ -2 \\ -4 \end{array} \right) 
\end{align*}\]\[\begin{align*}
g \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 0 \end{array} \right) & = g  \left( \begin{array}{ccc} 1-0\\ 1-1 \end{array} \right) 
\\ & = g  \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 1 \end{array} \right) - g  \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 0 \end{array} \right) 
\\ & = \left( \begin{array}{ccc} 3 \\ 3 \\ 4 \end{array} \right) -  \left( \begin{array}{ccc} 5 \\ -2 \\ -4 \end{array} \right)
\\ & =  \left( \begin{array}{ccc} -2 \\ 5 \\ 8 \end{array} \right) 
\end{align*}\]と求まるため、表現行列  B は具体的に\[\begin{align*}
B & = \left( \begin{array}{ccc} g \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 0 \end{array} \right) & g \left( \begin{array}{ccc} 0 \\ 1 \end{array} \right) \end{array} \right) 
\\ & =  \left( \begin{array}{ccc} -2 & 5 \\ 5 & -2 \\ 8 & -4 \end{array} \right) 
\end{align*}\]と求まる。

これにより、表現行列  B は当然 3×2 行列であり、その(1,2)成分は5、(2,2)成分は-2である。

 

[別解]

\[ \begin{align*} 
 \left( g \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 1 \end{array} \right), g \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 2 \end{array} \right)  \right)
 & =  \left( g \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 0 \end{array} \right), g \left( \begin{array}{ccc} 0\\ 1 \end{array} \right)  \right) \left( \begin{array}{ccc} 1 & 1 \\ 1 & 2 \end{array} \right)
\\ & = \left( \begin{array}{ccc} 3 & 8 \\ 3 & 1 \\ 4 & 0 \end{array} \right)
\end{align*} \]と変形できるので、\[
\begin{align*}
\left( g \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 0 \end{array} \right), g \left( \begin{array}{ccc} 0 \\ 1 \end{array} \right)  \right)
& = \left( \begin{array}{ccc} 3 & 8 \\ 3 & 1 \\ 4 & 0 \end{array} \right) \left( \begin{array}{ccc} 1 & 1 \\ 1 & 2 \end{array} \right)^{-1}
\\ & = \left( \begin{array}{ccc} 3 & 8 \\ 3 & 1 \\ 4 & 0 \end{array} \right) \cdot \frac{1}{3} \left( \begin{array}{ccc} 2 & -1 \\ -1 & 1 \end{array} \right)
\\ & = \left( \begin{array}{ccc} -2 & 5 \\ 5 & -2 \\ 8 & -4 \end{array} \right)
\end{align*}
\]と変形して表現行列を出すのもOK。

 

 

Point:線形写像の性質

線形写像  f( \vec{x}) は和とスカラー倍について閉じている。すなわち、\[
f( \vec{x} + \vec{y} ) = f( \vec{x} ) + f( \vec{y} ) \\
f( c \vec{x} ) = c f (\vec{x} )
\]を満たす。

 \vec{x}, \vec{y} はベクトル、 c はスカラーである)

線形写像についての復習はこちらからどうぞ。 

 

(3)(1点×4=4点)

解答:[  16  ] … 6,   [  17  ] … 1,   [  18  ] … 5,   [  19  ] … -2

(1), (2) の表現行列  A,  B を用いると合成写像  f \circ g は\[
( f \circ g ) (\vec{x} ) = f \left( g ( \vec{x} ) \right) = f (B \vec{x} ) = A( B \vec{x} ) = AB \vec{x}
\]であるので、合成写像  f \circ g の表現行列  C A と [ tex: B] の積  AB に等しい。(1), (2) より、\[
A = \left( \begin{array}{ccc} 1 & 0 & 1 \\ 0 & 1 & 0  \end{array} \right) \ \ \  B = \left( \begin{array}{ccc} -2 & 5 \\ 5 & -2 \\ 8 & -4 \end{array} \right)
\]であるから、\[\begin{align*}
C & = AB
\\ & = \left( \begin{array}{ccc} 1 & 0 & 1 \\ 0 & 1 & 0  \end{array} \right) \left( \begin{array}{ccc} -2 & 5 \\ 5 & -2 \\ 8 & -4 \end{array} \right)
\\ & =  \left( \begin{array}{ccc} -2 + 8 & 5 - 4 \\ 5 & -2  \end{array} \right)
\\ & =  \left( \begin{array}{ccc} 6 & 1 \\ 5 & -2  \end{array} \right)
\end{align*}\]ともとまる。

また、合成写像  f \circ g \mathbb{R}^2 \to \mathbb{R}^2 の写像である。

 

(4)(2点)

解答:[  20  ] … 2

逆変換を求める前に合成写像  g \circ f の表現行列  D を (3) と同様に求める。\[
(g \circ f ) (\vec{x} ) = g \left( f ( \vec{x} ) \right) = g (A \vec{x} ) = B( A \vec{x} ) = BA \vec{x}
\]より、合成写像  g \circ f の表現行列  D B A の積  BA に等しく、具体的に\[\begin{align*}
C & = BA
\\ & = \left( \begin{array}{ccc} -2 & 5 \\ 5 & -2 \\ 8 & -4 \end{array} \right) \left( \begin{array}{ccc} 1 & 0 & 1 \\ 0 & 1 & 0  \end{array} \right) 
\\ & =  \left( \begin{array}{ccc} -2 & 5 & -2 \\ 5 & -2 & 5 \\ 8 & -4 & 8  \end{array} \right)
\end{align*}\]と求まる。

また、合成写像  g \circ f \mathbb{R}^3 \to \mathbb{R}^3 の写像である。

 

 

では逆変換を求めていこう。

合成写像  f \circ g,  g \circ f が逆変換をもつのであれば、その変換の表現行列は逆行列を持たなければならない。すなわち、(3)で求めた表現行列  C,  D が正則であれば合成写像  f \circ g,  g \circ f はそれぞれ逆変換をもつことになる。

 

 

Point:線形写像の変換

 A を表現行列とする線形写像  f_A が逆変換をもつとき、その逆変換を  f_A^{-1} と表し、 f_A^{-1} = f_{A^{-1}} の関係を満たす。すなわち、 f_A の逆変換の表現行列は  A の逆行列  A^{-1} であり、 f_A が逆変換をもつためにはその表現行列  A が正則である必要がある。

合成写像や逆写像についてよくわからないなと思った人はこちらの記事にて復習をどうぞ。 

 

では求めた  f \circ g の表現行列  C,  g \circ f の表現行列  D の行列式を計算し、正則かどうかを判定していく。\[\begin{align*}
|C| & =  \left| \begin{array}{ccc} 6 & 1 \\ 5 & -2 \end{array} \right|
\\ & = -12 -5 = -17 \not = 0
\end{align*}\]\[\begin{align*}
|D| & =  \left| \begin{array}{ccc} -2 & 5 & -2 \\ 5 & -2 & 5 \\ 8 & -4 & 8  \end{array} \right|
\\ & = \left| \begin{array}{ccc} 3 & 3 & 3 \\ 5 & -2 & 5 \\ 8 & -4 & 8  \end{array} \right|
\\ & = 3 \left| \begin{array}{ccc} 1 & 1 & 1 \\ 0 & -7 & 0 \\ 0 & -12 & 0  \end{array} \right|
\\ & = 3 \left| \begin{array}{ccc} -7 & 0 \\ -12 & 0  \end{array} \right| = 0
\end{align*}\]より、行列  C は正則なので逆行列を持つが、行列  D は正則ではないので逆行列を持たない。

よって、 f \circ g のみが逆変換をもつことがわかる。よって答えは②。

 

 

問題3の総評

 線形変換についての問題でした。こちらも私の完全オリジナルの問題です。ちなみに線形変換,高校で行列が学習指導要領に入っていた時は「一次変換」とかいう名前でした。まあ線形と一次って同じ意味ですから、、
 この辺から少し新しい要素(和とスカラー倍について閉じている)などが入ってきて,より2らしくなったのではないでしょうか。合成変換,逆変換は頻出ですので必ず覚えておきましょう。特に,今回はさせていませんが,逆変換はその逆行列の導出まできちんとできるようにしておきましょう。最後は意地悪でしたね←

 

第4問.グラムシュミットの直交化法

指示に従い、[  21  ] ~ [  28  ] に入る数字をマークしなさい。(配点 10)

つぎに示す  \mathbb{R}^3 の基底  \{ \vec{a}_1, \vec{a}_2, \vec{a}_3 \} に対し、添え字の順番通り  \vec{a}_1,  \vec{a}_2 , \vec{a}_3 の順でグラムシュミットの直交化法を適用することにより正規直交基底  \{ \vec{u}_1, \vec{u}_2, \vec{u}_3 \} を構成する。\[
\vec{a}_1 = \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 2 \\ 0  \end{array} \right) \ \ \ 
\vec{a}_2 = \left( \begin{array}{ccc} 2 \\ 1 \\ 3  \end{array} \right) \ \ \ 
\vec{a}_3 = \left( \begin{array}{ccc} 2 \\ 0 \\ 1  \end{array} \right)
\]このとき、正規直交基底  \{ \vec{u}_1, \vec{u}_2, \vec{u}_3 \} は\[
\vec{u}_1 = \frac{1}{ \sqrt{ \left[ \ \ 21 \ \ \right] } } \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 2 \\ 0  \end{array} \right) \ \ \ 
\vec{u}_2  \frac{1}{\sqrt{30} } = \left( \begin{array}{ccc} \left[ \ \ 22 \ \ \right] \\ \left[ \ \ 23 \ \ \right] \\ \left[ \ \ 24 \ \ \right]  \end{array} \right) \\ 
\vec{u}_3 = \frac{1}{ \sqrt{ \left[ \ \ 25 \ \ \right] } } \left( \begin{array}{ccc} \left[ \ \ 26 \ \ \right] \\ \left[ \ \ 27 \ \ \right] \\ \left[ \ \ 28 \ \ \right]  \end{array} \right)
\]となる。

解答

[  22  ] …  5(2点)
[  23  ] …  2,   [  24  ] … -1,   [  25  ] …  5(1点×3)
[  26  ] …  6(2点)
[  27  ] …  2,   [  28  ] … -1,   [  29  ] … -1(1点×3)

今回は「直交化」と「正規化」を同時に行うステップにより正規直交基底  \{ \vec{u}_1, \vec{u}_2, \vec{u}_3 \} を求めよう。このステップは\[
\vec{b}_n = \sum^{n-1}_{k = 1} ( \vec{a}_n \cdot \vec{u}_k ) \vec{u}_k , \ \ \ \vec{u}_n = \frac{\vec{b}_n}{ | \vec{b}_n | }
\]とすることで正規直交基底  \{ \vec{u}_1, \vec{u}_2, \vec{u}_3 \} を求めるものである。この式を順番に適応していく。\[
\vec{u}_1 = \frac{1}{ \sqrt{5} } \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 2 \\ 0  \end{array} \right)
\]

\[
\vec{a_2} \cdot \vec{u_1} = \frac{4}{ \sqrt{5} } =
\]なので、\[\begin{align*}
\vec{b_2} & = \vec{a_2} - \left( \vec{a_2} \cdot \vec{u_1} \right) \vec{u_1} 
\\ & = \left( \begin{array}{ccc} 2 \\ 1 \\ 3  \end{array} \right) - \frac{4}{ \sqrt{5} }\cdot \frac{1}{ \sqrt{5} } \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 2 \\ 0  \end{array} \right) 
\\ & =  \frac{1}{5} \left( \begin{array}{ccc} 10 \\ 5 \\ 15  \end{array} \right) - \frac{4}{5} \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 2 \\ 0  \end{array} \right) 
\\ & = \frac{1}{5} \left( \begin{array}{ccc} 6 \\ -3 \\ 15  \end{array} \right) 
\\ & = \frac{3}{5} \left( \begin{array}{ccc} 2 \\ -1 \\ 5  \end{array} \right) 
\end{align*} \]となる。

 

大きさを1にする際に係数 3/5 は必要ないので改めて\[
\vec{b}_2 = \left( \begin{array}{ccc} 2 \\ -1 \\ 5  \end{array} \right) 
\]とおきなおし、\[ \vec{u_2} = \frac{1}{ | \vec{b_2} | } \vec{b_2} = \frac{1}{ \sqrt{30} }  \left( \begin{array}{ccc} 2 \\ -1 \\ 5  \end{array} \right)  \]となる。
 \vec{u_1} \cdot \vec{u_2} = 0 の確認忘れずに)

 

同様にして、\[
\vec{a_3} \cdot \vec{u_1} = \frac{2}{ \sqrt{5} } \ \ \ 
\vec{a_3} \cdot \vec{u_2} = \frac{1}{ \sqrt{30} } \left( 4 + 5\right) = \frac{9}{ \sqrt{30} }
\]なので、\[\begin{align*}
\vec{b_3} & = \vec{a_3} - \left( \vec{a_3} \cdot \vec{u_1} \right) \vec{u_1} - \left( \vec{a_3} \cdot \vec{u_2} \right) \vec{u_2} 
\\ & = \left( \begin{array}{ccc} 2 \\ 0 \\ 1  \end{array} \right)  - \frac{2}{ \sqrt{5} } \cdot \frac{1}{ \sqrt{5} } \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 2 \\ 0  \end{array} \right) 
- \frac{9}{ \sqrt{30} } \cdot \frac{1}{ \sqrt{30} } \left( \begin{array}{ccc} 2 \\ -1 \\ 5  \end{array} \right) 
\\ & = 
\frac{1}{10} \left( \begin{array}{ccc} 20 \\ 0 \\ 10  \end{array} \right)
- \frac{4}{10} \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 2 \\ 0  \end{array} \right) 
- \frac{3}{10} \left( \begin{array}{ccc} 2 \\ -1 \\ 5  \end{array} \right) 
\\ & = \frac{1}{10} \left( \begin{array}{ccc} 10 \\ -5 \\ -5  \end{array} \right) 
\\ & = \frac{1}{2} \left( \begin{array}{ccc} 2 \\ -1 \\ -1  \end{array} \right) 
\end{align*} \]となる。

大きさを1にする際に係数 1/2 は必要ないので改めて\[
\vec{b}_3 = \left( \begin{array}{ccc} 2 \\ -1 \\ -1  \end{array} \right) 
\]とおきなおし、\[ \vec{u_3} = \frac{1}{ | \vec{b_3} | } \vec{b_3} = \frac{1}{ \sqrt{6} }  \left( \begin{array}{ccc} 2 \\ -1 \\ -1  \end{array} \right)  \]となる。
 \vec{u_1} \cdot \vec{u_3} = 0,  \vec{u_2} \cdot \vec{u_3} = 0 の確認忘れずに)

 

 

 

Point:グラムシュミットの直交化法

ある基底は内積を0にする「直交化」と大きさを1にする「正規化」を繰り返すことで正規直交基底にすることができる。その中で、ベクトル  \vec{a}_n を直交化させて得られる直交ベクトル  \vec{b}_n、および直交ベクトルの大きさを1に正規化したベクトル  \vec{u}_n はアルゴリズムチックに求めることができ、一般に\[
\vec{b}_n = \sum^{n-1}_{k = 1} ( \vec{a}_n \cdot \vec{u}_k ) \vec{u}_k , \ \ \ \vec{u}_n = \frac{\vec{b}_n}{ | \vec{b}_n | }
\]と求めることができる。このようにして正規直交基底を求めるのが「グラム・シュミット」の直交化法である。

グラムシュミットの直交化についてもう少し詳しい説明が見たい人はこちらの記事をご覧ください。

 

 

問題4の総評

 なぜ「正規直交化」する必要があると思いますか?「正規直交化」することでどんなメリットがあると思いますか? その理由は,簡単に言うと「計算がラクになる」からです。私も詳しくは理解していませんが,イメージ的に「大きさが1でどんな組み合わせの内積も0となる基底」って何となく扱いやすそうですよね。気になる方は「QR分解」とかで調べてみてください。

 ところでなんですけど,「直交」ってちょっと卑猥ですよね。ええ。それだけです。勇敢な男子諸君,女の子に「君との内積、0にしたいな」って言ってみてください。きっとイチコロです。ただし,これを言って関係が崩れたり,殴られたり殺されたりしても私は一切責任を取りません← 怖いなら,「君と僕っていう基底を正規直交化させたいな」って言ってみましょう。ちょっとこれはどうなるかわかんないですね。ワンチャン警察沙汰ですね。もしくは,「君は正規直交基底のように美しい」,これだったらなんか喜ばれるかもしれないですね!! でもこれで喜ぶ女ってろk(ry

 えー上の発言について,謝罪しようかとも思いましたが敢えてこのままにしておこうと思います。はい。

 

第5問.総括問題

※総括問題は小問ごとに解説をしていきます。

(すべての問題の配点が1点で、合計15点となっております)

(1) 部分空間

ある線形空間  V の部分集合  W V の部分空間であることの定義として正しいものをつぎの選択肢の中から選びなさい。ただし、 \vec{x} , \vec{x}_1, \vec{x}_2 \in W c \in \mathbb{R} である。

マーク番号 [  29  ]

 

[  29  ] の選択肢

 \vec{x}_1 + \vec{x}_2 \in W かつ  c \vec{x} \in W
 \vec{x}_1 + \vec{x}_2 \in W かつ  c \vec{x} \in V
 \vec{x}_1 + \vec{x}_2 \in V かつ  c \vec{x} \in W
 \vec{x}_1 + \vec{x}_2 \in V かつ  c \vec{x} \in V
 \vec{x}_1 + \vec{x}_2 \in W または  c \vec{x} \in W
 \vec{x}_1 + \vec{x}_2 \in W または  c \vec{x} \in V
 \vec{x}_1 + \vec{x}_2 \in V または  c \vec{x} \in W
 \vec{x}_1 + \vec{x}_2 \in V または  c \vec{x} \in V

解答:1

部分空間の定義は第1問 (3) で説明した通り、和とスカラー倍について閉じていることである。

よって答えは①となる。

 

(2) 核と像

線形写像  f : \mathbb{R}^n \to \mathbb{R}^m の核  \mathrm{Ker} \ f と像  \mathrm{Im} \ f の定義の組み合わせとして適切なものをつぎの選択肢の中から選びなさい。

マーク番号 [  30  ]

 

f:id:momoyama1192:20191116073726g:plain

解答:3

線形写像における「核」とは、ゼロ(核)に移される領域のことを表します。また、「像」とは、 f ( \vec{x} ) が動く範囲をベクトルの集合で表したものを表します。

これに合致するのは選択肢3が答えとなります。

 

(核と像はごっちゃになりやすいのできちんと頭にいれておきましょう。核と像について詳しくはこちらの記事をご覧ください。)

 

(3) 正規直交基底

正規直交基底  \{ \vec{u}_1, \vec{u}_2, \vec{u}_3 \} を関するア~ウの記述のうち、正しいものの組み合わせとして適当なものをつぎの選択肢の中から選びなさい。

 

ア: | \vec{u}_1 | = | \vec{u}_2 | = | \vec{u}_3 | であり、これらはどのような正規直交基底であっても同じ値をとる。

イ:標準内積を  \vec{a} \cdot \vec{b} で定義する。ただし、 \vec{a},  \vec{b} はベクトルである。このとき、 \vec{u}_1,  \vec{u}_2,  \vec{u}_3 の中から重複を許してどのように  \vec{a},  \vec{b} を選んでも  \vec{a} \cdot \vec{b} の値は0となる。

ウ:どのような正規直交基底であっても  \vec{u}_1,  \vec{u}_2,  \vec{u}_3 は常に互いに1次独立な関係になる。

 

マーク番号 [  31  ]

f:id:momoyama1192:20191116073729g:plain

解答:3(ア・ウが正しい)

ア:正規直交基底をなすベクトルは、どんなベクトルでも必ず大きさが1になるのでもちろん\[
| \vec{u}_1 | = | \vec{u}_2 | = | \vec{u}_3 | ( = 1 ) 
\]が成り立つので正しい。

 

イ:ポイントは重複を許してという部分。正規直交基底から相異なる2つのベクトルを選ぶと確かに2つのベクトルの内積は0になるが、自分自身のベクトル同士の内積は0にはならないので正しくない(自分自身の内積が0だと大きさも0になってしまうし…)。

 

ウ:基底であればそれぞれの基底をなすベクトルは必ず1次独立になる。もちろん正規直交基底でも成り立つので正しい。

 

よって、ア・ウが正しくイが正しくないので答えは③。

 

(4) 2次形式

 n 次実対象行列  A から定められた2次形式\[
q(x) = {}^t\! \vec{x} A \vec{x}
\]が正定値をもつとする。このとき、行列  A の固有値に関する記述として必ず正しいものを1つ選びなさい。

マーク番号 [  32  ]

① 行列  A のすべての固有値が0以上である
② 行列  A の固有値の総和が0以上である
③ 行列  A の固有値の総乗が0以上である
④ 行列  A のすべての固有値が0よりも大きい
⑤ 行列  A の固有値の総和が0よりも大きい
⑥ 行列  A の固有値の総和が0よりも大きい
⑦ 行列  A のすべての固有値が0である
⑧ 行列  A の固有値の総和が0である
⑨ 行列  A の固有値の総乗が0である

 

解答:4

行列  A を直交行列  P D = P^{-1} AP で対角化すると、2次形式を  P \vec{y} =  \vec{x} と変換することができる。つまり、\[\begin{align*}
q(x) & =  {}^t\! \vec{x} A \vec{x}
\\ & = {}^t\! (P \vec{y}) A P \vec{y}
\\ & = {}^t\! \vec{y} D \vec{y}
\end{align*} \]と変形を行うことができる。また、2次形式が正定値であるということは、 q(x) \gt 0 となる。つまり、対角行列の各成分、つまり行列  A の各固有値は必ず正にならなければならない。

よって答えは④となる。

 

2次形式について詳しくはこちらの記事をご覧ください

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(5) 固有値・固有ベクトル

固有値について説明したつぎの文章に当てはまる語句を答えなさい。

 

行列  A が固有値  \lambda (  \lambda \not = 0 ) をもつとき、 A \lambda は [  33  ] の関係を満たす。ただし、 \vec{x} \lambda に対する固有ベクトルである。 \lambda A の固有値であるとき、 \phi_A(t) = |tE-A| について、 \phi_A ( \lambda ) = \left[ \ \ 34 \ \ \right ] となる。また、このようにして定義される  \phi_A のことを [  35  ] と呼ぶ。

 

さらにこのとき行列  2A は必ず  [  36  ] を固有値にもち、 A の転値行列  {}^t\!A は必ず [  37  ] を固有値にもつ。

 

また、 A の逆行列  A^{-1} が存在するとき、 A^{-1} は必ず [  38  ] を固有値にもち、逆行列  A が存在しないとき、 A は必ず [  39  ] を固有値に持つ。さらに  n 次正方行列  A が固有値  \lambda_i, ( i = 1,2, \cdots, n) をもつとき、[  40  ] =  |A| を満たす。

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解答

[  33  ] … 4

正方行列  A は\[
A \vec{p} = \lambda \vec{p}
\]を満たす  \lambda を固有値、  \vec{p} を固有ベクトルと呼びます。

 

[  34  ] … 0,   [  35  ] … 1

また、固有値  \lambda を求めるためには、\[
\phi(\lambda )_A = | \lambda E - A | = | A - \lambda E | = 0
\]を計算することで求めることができます。この  \phi ( \lambda ) のことを固有多項式、 \phi ( \lambda ) = 0 のことを固有方程式と呼びます。

 

[  36  ] … 2,   [  37  ] … 1

行列  A の固有値は | A - \lambda E | = 0 で求められましたね。

この行列  A を2倍にすると、 | 2A - 2\lambda E | = 0 となりますね。つまり、固有値も2倍、つまり  2 \lambda になりますね。

 

また、行列  A を転置させても行列式は変化しませんね(復習)。

なので固有値も一切変化しません。なので行列  A の固有値が  \lambda をもてば当然転置させた行列  {}^t\!A の固有値も  \lambda を持ちます。

 

[  38  ] … 5,   [  39  ] … 12(マークに注意!)

行列  A が逆行列をもつとき、固有値と固有ベクトルの定義式\[
A \vec{p} = \lambda \vec{p}
\]の両辺に  A^{-1} を掛けると、\[
\vec{p} = A^{-1} \lambda \vec{p} = \lambda A^{-1} \vec{p}
\]が成り立つので\[
A^{-1} \vec{p} = \frac{1}{\lambda} \vec{p}
\]が成立しますね。つまり、行列  A の固有値が  \lambda をもつとき、逆行列  A^{-1} の固有値は  1 / \lambda をもちます。

 

 A が逆行列を持たないということは、 |A| = 0 が成立しますね。なので、\[
| A - \lambda E | = 0
\]の  \lambda について、  \lambda = 0 が常に成立しますね。なので、逆行列をもたないときは常に固有値0を持ちます。

 

 [  40  ] … 2

さらに行列式  |A| と固有値  \lambda_1,  \lambda_2, … の間には\[
|A| = \lambda_1 \cdot \lambda_2 \cdot \cdots \codt \lambda_n
\]の関係式が成り立ちます。

(固有多項式に  \lambda = 0 を代入するとわかりやすいかと思います。)

 

固有値と固有ベクトルなどについて復習したい方はこちらの記事をご覧ください。

 

(6) 固有空間と対角化

3次正方行列  A の固有値が3(2重解)と4であり、それぞれの固有空間が\[
V(3) = \left< \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 1 \\ 4  \end{array} \right), \left( \begin{array}{ccc} 5 \\ 1 \\ 4  \end{array} \right) \right> , \ \ \ V(4) = \left< \left( \begin{array}{ccc} 8 \\ 1 \\ 0  \end{array} \right) \right>
\]であるとする。行列  A の3次正方行列  P による対角化\[
P^{-1} AP = D
\]を行うとき、適当な行列  P と3次の対角行列  D の組み合わせを①~⑧の中からすべて選びなさい。

マーク番号 [  41  ]

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解答:2, 6

対角化を行うと、それぞれの固有ベクトルを並べた正則行列 [tex: P: とそれぞれの固有値を用いて対角化された行列 [tex: D: の各列が固有値、それぞれの固有値における固有ベクトルと対応しています。

 

今回の場合、固有値と固有ベクトルがうまく対応している2, 6 が答えとなります。

 

対角化についてはこちらの記事をご覧ください。

また、実際に対角化の計算をさせる問題は記述編で用意しています。

 

(7) 行列の名称1

正方行列  A が \[ {}^t\!A A =  A {}^t\!A = E \]を満たすとき、行列  A を特になんというか。ただし、 E A と同じサイズの単位行列でる。

マーク番号  [  42  ] 

 

[選択肢]

① 正則行列  ② 転値行列  ③ 逆行列   ④ 対称行列
⑤ 三角行列  ⑥ 直交行列  ⑦ 対角行列  ⑧ エルミート行列

解答:6

ある行列  A が直交行列のとき、\[
{}^t\!A A =  A {}^t\!A = E
\]が成立します。他にも  {}^t\!A = A^{-1} |A| = \pm 1 などが成立するので覚えておきましょう。

 

直交行列ついてはこちらの記事で復習しましょう。

 

(8) 行列の名称1

固有値  \lambda_i (  i = 1,2,\cdots ,n ) をもつ  n 次正方行列  A が対角化可能でない場合でも、うまく行列  P を選ぶことで\[
P^{-1} AP = \left( \begin{array}{ccc} \lambda_1 & 1 & 0 & \cdots & 0 \\ 0 & \lambda_2 & 1 & \cdots & 0 \\ 0 & 0 & \lambda_3 & \cdots & 0 \\ \vdots & \vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\ 0 & 0 & 0 & \cdots & \lambda_n  \end{array} \right)
\]のように、対角成分に固有値を並べ、(i,i+1) 成分に0または1を並べた行列に変形することができる。この形式の名称として適当なものを次の選択肢の中から選びなさい。

マーク番号  [  43  ] 

 

[選択肢]

① ケーリー標準形
② ハミルトン標準形
③ スミス標準形  
④ ラプラス標準形
⑤ メビウス標準形
⑥ ファンデルモンド標準形
⑦ テイラー標準形
⑧ ジョルダン標準形
⑨ ジュッセンパイヤー標準形

解答:8

ジョルダン標準形についてはこちらの記事をご覧ください。

 

 

問題5の総評

 ということで最後は総括問題を用意してみました。線形代数とかの科目って計算とかはできる人多いんですが、定義を聞いてみると意外にも正解率が落ちるんですよね…。

 

さいごに(問題の感想など)

今回はマーク編ということで線形代数2の基本的な知識、計算を簡単に問う問題を用意しました。

目安は30分程度です。30分以内に解ければ問題ないと思います。

 

次回は記述問題編をアドバンストコース、スタンダートコースの2つにわけてそれぞれ問題を用意したいと思います。

 

アドバンストコース

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スタンダートコース

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*1:行列式の場合、1行 or 1列すべてが0であれば自動的に行列式が0となります。