
スポンサードリンク
こんにちは、ももやまです。
今回から2階以上の線形微分方程式(基本は2階)の解き方について説明していきたいと思います。
まずは、2階以上の線形微分方程式の中でも、
- 定数係数
- 同次式
の解き方について説明していきたいと思います。
前回の微分方程式の記事はこちら!
2階線形微分方程式ってどんなのだっけ、基本解ってなんだっけとなった人は必ず上にある前回の記事で復習しておきましょう。
目次 [hide]
スポンサードリンク
1.定数係数2階線形微分方程式とは
定数係数2階線形微分方程式とは、2階線形微分方程式
さらに、
今回はこの同次式の定数係数2階線形微分方程式について解いていきたいと思います。
スポンサードリンク
2.同次式定数係数2階線形微分方程式の一般解
(1) まずは同次式定数係数1階微分方程式の一般解から
まずは、復習として、同次式の定数係数1階微分方程式
この微分方程式は、両辺を
(2) 定数係数2階線形微分方程式の基本解
1階の同次式の定数係数1階微分方程式
なので、2階の同次の定数係数微分方程式も
実際に
なので、赤色部分
この方程式
特性方程式
このように、特性方程式から導き出せる1次独立な解のことを基本解と呼びます。
(基本解がもしわからない人 or 忘れた人はこちらの記事で復習しましょう。)
1つ例として、微分方程式
特性方程式は、
スポンサードリンク
3.3つの解パターン
同次式定数係数2階線形微分方程式
- 特性方程式が異なる2つの実数解をもつとき
- 特性方程式が重解をもつとき
- 特性方程式が異なる2つの虚数解をもつとき
の3つに分けられます。
先に、解のパターンがどうなるかを書きましょう。
(i)
(
- 基本解:
, - 一般解:
(ii)
(
- 基本解:
, - 一般解:
(iii)
(
2つの解をそれぞれ
- 基本解:
, - 一般解:
の3パターンにわけられる。
1つずつ見ていきましょう。
(1) 特性方程式が異なる2つの実数解をもつとき
最も基本的なパターンです。
特性方程式
また、一般解は2つの任意定数
例題1
微分方程式
解説1
特性方程式は、
よって、基本解は
また、それぞれの基本解を定数倍したものの和も解となるので、一般解は任意定数
(2) 特性方程式が重解となるとき
特性方程式
(この重解を
すると、基本解は
(1)と同じようにすると、一般解は、
あれ、2階の微分方程式なので、任意定数は2つ出てくるはずなのに1つになっちゃいました。
ということで
ここで、
すると、
ここで、
特性方程式
例題2
微分方程式
解説2
微分方程式の特性方程式は、
よって、基本解は
また、それぞれの基本解を定数倍したものの和も解となるので、一般解は任意定数
(3) 特性方程式が虚数解となるとき
特性方程式
このときの特性方程式の解は、
ここで、特性方程式の解を
すると、微分方程式の基本解は
でも、微分方程式の一般解に虚数解があるのはちょっと…と思いますよね。
なんとか実数だけで表現することはできないでしょうか。
ということで、虚数で表された一般解をなんとか実数範囲だけで表すことを考えてみましょう。
ここで、オイラーの公式
(オイラーの公式についてはこちらの記事をご覧ください。)
すると、
さらに、任意定数を改めて
(基本解は
例題3
微分方程式
解説3
微分方程式の特性方程式は、
よって、基本解は
また、それぞれの基本解を定数倍したものの和も解となるので、一般解は任意定数
4.ばね振り子の単振動(応用)
実際に同次式の定数係数2階線形微分方程式の応用して、ばね振り子の単振動について少しだけですが見ていきましょう。
下の図に示すような軽い(質量を無視できる)ばねに重さ
このつり合った点を0として、
すると、つりあった点に戻ろうとする力(復元力)が働きますね。この力
すると、運動方程式は加速度
まず、両辺を
すると、特性方程式は、
ここで、特性方程式の解が
なので、微分方程式の基本解は
(角速度が
さらに、
(ちなみに任意定数のつけかたを変えて、一般解を
実際の力学の問題では、一般解に加え、2つの初期条件が加わります。
初期条件の例としては、
- 距離4だけ引っ張った状態でスタート(
のとき ) - 静かにおもりを離した(初速度は0、
)
のようなものがあります。
実際に
まず、
5.高階定数係数微分方程式(応用)
同次式の定数係数2階線形微分方程式の解の形は、特性方程式の解の形によって求められると説明しました。
3階以上の同次式高階定数係数微分方程式の解の形も、特性方程式を解くことで一般解を求めることができます。
- 特性方程式
を解いて 個の基本解 , , … を求める。 - それぞれの基本解ごとに別々の任意定数を掛け、
, , …, としてからすべてを足し、 としたものが一般解となる。
基本解の組み合わせは、下の4パターンに分けることができます。
(1) 特性方程式の解
→ 基本解は
(2) 特性方程式の解
→ 基本解は、
(3) 特定方程式の解のうちの2つ
→
(4) 特定方程式の解のうちの2つ
[4次以上の微分方程式で可能性あり]
→
, , …, , , …,
となる。(
同次式の定数係数n階線形微分方程式の基本解の4パターン
3問ほど例題で練習してみましょう。
例題4(重解ではない実数解になる場合)
微分方程式
解説4
特性方程式は、
よって、基本解は
また、一般解は任意定数
例題5(重解の実数解が含まれる場合)
微分方程式
解説5
特性方程式は、
よって、基本解は
また、一般解は任意定数
例題6(虚数解が出てくる場合)
微分方程式
解説6
特性方程式は、
よって、基本解は
また、一般解は任意定数
6.練習問題
では、定数係数線形微分方程式の基本解と一般解を実際に求める練習をしましょう。
全部で10問用意しています。後ろのほうほど階数が増えていきます。
練習1
微分方程式
練習2
微分方程式
練習3
微分方程式
練習4
微分方程式
練習5
微分方程式
練習6
微分方程式
練習7
微分方程式
練習8
微分方程式
練習9
微分方程式
練習10
微分方程式
7.練習問題の答え
解答1
特性方程式は、
よって、基本解は
さらに、一般解は任意定数
同次式の定数係数の1階線形微分方程式は、特性方程式で一気に求めましょう!
解答2
特性方程式は、
よって、基本解は
さらに、一般解は任意定数
解答3
特性方程式は、
よって、基本解は
さらに、一般解は任意定数
解答4
特性方程式は、
よって、基本解は
さらに、一般解は任意定数
解答5
特性方程式は、
よって、基本解は
さらに、一般解は任意定数
解答6
特性方程式は、
よって、基本解は
さらに、一般解は任意定数
解答7
特性方程式は、
よって、基本解は
さらに、一般解は任意定数
解答8
特性方程式は、
よって、基本解は
さらに、一般解は任意定数
解答9
特性方程式は、
よって、基本解は
さらに、一般解は任意定数
解答10
特性方程式は、
さらに、
よって、基本解は
さらに、一般解は任意定数
8.さいごに
今回は、
- 2階を中心とした同次式の定数係数線形微分方程式の解き方
- 基本解とロンスキアン
について解説していきました。
次回は、少し特殊な形をした同次式の「2階オイラー微分方程式」を定数係数微分方程式の形に持ち込んで解く方法について説明したいと思います。
*1:
関連広告・スポンサードリンク