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こんにちは、ももやまです。
今回は部分分数分解のやり方・部分分数分解を用いた積分の方法についてまとめたいと思います。
※注意
こちらの記事は、大学数学となっていますが、こちらの記事は高校数学の復習なので高校数学を履修している方もぜひ読んでください!
目次 [hide]
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1.部分分数分解とは
部分分数分解は、分母が多項式の積(例えば
簡単に言うと、通分の逆です。
部分分数分解が使えるのは、
- 分母が多項式の積で表されたような数の場合
- 分子の次数が分母の次数より小さいこと
の2つを満たすときです。2の条件を満たしていないもの、例えば
実際に例を見てもらったほうが早いと思うので、いくつか例を紹介します。
例題1
解説1
例題1の分数は
分解する際の係数
まずは、分数の形のままだと面倒なので、分数が消えるように両辺に
すると、
解き方Part1 厳密に恒等式を解く 係数比較法
厳密に記述過程を書く必要がある場合(部分分数分解がメインの問題)は、この方法で解きましょう。
計算の結果、
解き方Part2 簡単になるxの値を代入 数値代入法
私が一番おすすめするのはこの数値代入法です。
厳密に記述の過程を書く必要がない場合(積分計算のために部分分数分解をする問題のように部分分数分解が過程の一部の場合など)は、こちらの数値代入法を行ったほうが早く計算が可能です。
早速計算していきましょう。
よって、
この方法は、
なお、積分計算の一部として部分分数分解をする場合は、途中過程は省略できることが多いのでこちらのPart2のやり方をすることをおすすめします。
今回の練習問題もこのPart2のやり方で説明をしています。
解き方Part3 ヘビサイドの方法を利用
ヘビサイドの方法を用いた部分分数分解は、ヘビサイドの展開定理を少し利用したものです。(ヘビサイドのカバーアップ法・ヘビサイドの目隠し法などと呼ばれています)
高校生にもわかるように変形をしてわかりやすく紹介しています。
この方法は展開した分母に2次式がない場合のときに早く計算をすることができます。
(左辺の分子が定数項ではない場合は、少し微分の計算が大変になります。)
ここに、
同様に
よって、
ヘビサイドのカバーアップ法についてはフェルミウム湾さんのこちらの記事を参考にしました。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
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2.( )^2 の形がある場合
つぎのようなカッコの2乗の形の場合には注意が必要です。
例題2
解説2
このような形
カッコの1乗の分母とカッコの2乗の分母に分けてあげるところがポイントです。
(あまりないですが、( )^3 の形であればカッコの1乗の分母+カッコの2乗の分母+カッコの3乗の分母となります。)
パターン1:数値代入法(推奨)
まずは、数値代入法で計算します。両辺に
まずは、
しかし、
そんなときに使うのが微分です。恒等式は、微分しても恒等式なので。
よって、
パターン2:ヘビサイドのカバーアップ法
ヘビサイドのカバーアップ法を使ったやり方も紹介します。
同様に
ここで
ここで使うのが(パターン1と同じく)微分です。恒等式は微分しても恒等式なので。
すると、
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3.展開した分母が2次式の場合
分母に2乗が含まれているものにも注意が必要です。
分母に2次式がある場合、分子に1次式が残ることがあります。
(分子の次数は、必ず分母の次数より小さくなるため。 分母に3次式が来れば分子は2次式。)
例題3
解説3
ここで注意するのは、
両辺に
(i)
(ii)
(iii)
4.部分分数分解を用いた積分
いよいよ本題です。
部分分数分解を用いて積分を行いましょう。
例題4
不定積分
解説4
例題1の結果、
例題1より、
あとは、それぞれの積分を計算するだけです。
このように、一見難しそうに見える積分でも、このように部分分数分解を使うことでそれぞれの積分が簡単なものとなり、それらを加算(減算)することで積分結果を求めることができます。
分数系で、分母が因数分解できる場合(もしくはもともと因数分解されていた場合)には部分分数分解が使える可能性が高いので部分分数分解を試してみましょう。
5.練習問題
では、何問か練習しましょう。
すべて不定積分の問題となっております。
練習
つぎの不定積分を求めなさい。
ただし、積分定数は
(1)
6.練習問題の解答
(1)
(2)
(3)
カッコの2乗のパターンです。
(4)
(5)
分母が2次式となるので、分子を
(6)
(3)に分数の数が増えたバージョンです。
ヘビサイドのカバーアップ法を用いた部分分数分解の別解
このように
(7)
だいぶ複雑になってきました。
(8)
今回の中で一番問題です。
カッコの2乗と分母の2乗がセットで含まれている問題です。
(9) (8)より計算は簡単ですが、思い浮かぶかがポイントになってきます。
次回以降こちらの問題を別パターンで解いてみましょう。
7.さいごに
今回は、部分分数分解を用いた積分について説明しました。
数3ではもちろん重要な分野ですが、大学の解析学以外にも様々な場面で部分分数分解は使うことになるので必ずマスターしましょう。
*1:
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