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※ ディジタルシステムではなく、動的システムの極や安定性について知りたい人は、こちらの記事ではなく、下のリンク先の記事をご覧ください。
こんにちは、ももやまです。
前回(第03羽)はディジタルシステムのいろはとして、
- ディジタルシステムとはなにか
- 伝達関数について
- インパルス応答について
- 任意の入力から出力を求める方法
の4種類についてお話しました。
今回は、ディジタルシステムのお話の続きとして、
- 極と零点
- ディジタルシステムの安定性
の2つについて説明していきます。
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1. 伝達関数の極と零点
伝達関数
この分子部分が0になるときを零点、分母部分が0になるときを極と呼びます。

伝達関数
- 分子部分
が0になる → 零点 - 分母部分
が0になる → 極
と呼ばれる。
※
零点は、名前の通り
実際に例題で、零点と極を求めてみましょう。
次の伝達関数
そのままの形で考えてもいいですが、
[極]
分母が0となる点。つまり
よって、
[零点]
分子が0となる点。つまり
よって、
伝達関数
※ この形にできればわざわざ (分母) = 0 を解く必要はなし!
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2. システムの安定性
(1) システムが安定しているとは
安定という言葉は日常生活でもよくつかいますね。
- やっぱ「安定」のマックだよな。
- 最近メンタルが「安定」してるな〜
- 患者の容体は「安定」している。
信号処理・制御数学の世界でも「安定」という言葉はよくつかいます。
では、「システムが安定している」とはどういう状態なのでしょうか…?
答えは、簡単です。
インパルス応答のnを十分大きくしても出力値が0に収束することを「システムが安定している」と呼びます。
(2) 伝達関数からシステムの安定性を判定してみよう
インパルス関数を入力したときの出力値を
しかし、わざわざ逆z変換をしてシステムの安定性を調べるのは少しめんどくさいです。
そこで、伝達関数
(i) が収束する条件を考えてみよう
(試験に出てくる)インパルス応答は
このインパルス応答
まず、指数関数
次に、インパルス応答で出てくるすべての項が0に収束する必要がありますね。
例えば
この2つをまとめると、
に出てくるすべての項が収束する- 各項に出てくる指数関数
は、 のときに収束する
(2) z変換の世界上で収束する条件を書き換えてみよう
z変換で出てくる伝達関数
この
ここで、
そのため、指数関数部分の
信号処理の用語で説明すると、極となる
これは、伝達関数
インパルス応答
また、システムの安定性は
具体的には伝達関数
★余談:伝達関数の極が重解をもつとき★
上の説明のときは「伝達関数
補足として、2重解を持つときも説明しましょう。2重解を持つということは、部分分数分解が
ここで、2番目の項
ここで、
よって、
※ 3重解以上のときも同じ要領で確かめることができます
(3) 例題で確認!
次の伝達関数
伝達関数
すべての極が
※実際に
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3. 練習問題
では、今回習った内容が定着できているかを練習問題で確認しましょう!
次の漸化式
(1) 伝達関数
(2) 伝達関数の極、零点があれば求めなさい。複数あればすべて答えること。
(3) 伝達関数からシステムの安定性を判定しなさい。
(1)
※ 伝達関数の詳細な計算方法、公式については前回の記事を確認すること。
両辺をz変換し、
両辺を
(もちろん分子分母を
(2)
分子分母を
極は (分母) = 0 となる
零点は (分子) = 0 となる
(3)
伝達関数の極に
よって、このシステムは安定ではない。(つまり、
※実際にインパルス応答
4. さいごに
ということで、前回に引き続き今回もディジタルシステムの理論について説明していきました。
次回は最終回として、ディジタルシステムの特性(周波数特性・振幅特性・位相特性)についてみていきましょう!
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