うさぎでもわかる論理回路 カルノー図編

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こんにちは、ももやまです。
今回は論理式を単純化するカルノー図について説明します。

 

カルノー図は、2変数~4変数(無茶すれば6変数くらいまでならいける)の論理式を簡略化するために使います。

主に4変数の論理式を簡略化する際に使います。

 

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1.カルノー図の書き方

まずは、カルノー図の書き方を説明します。

4変数の場合、3変数の場合、2変数の場合に順番に説明していきたいと思います。

(1) 4変数の場合

4変数の真理値表の値をそれぞれ①~⑯とします。

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4変数のカルノー図の場合、このような図を書くことになります。

 

カルノー図の真理値の表し方は、先生によって、

(1) ABとCDの真理値を書く人

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(2)それぞれの変数が真の部分を矢印で表す人

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の2パターンいます。

今回は2パターンどちらの書き方を習った人でもわかるように両方示します。

 

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4変数なので、\( 2^4 \) で全部で16の状態があります。
上で書いた真理値表の①~⑯が下のカルノー図の①~⑯の要素に相当します。

 

では、カルノー図の真理値を読み取って見ましょう。例えば、⑤のA,B,C,Dそれぞれの真理値はどうなっているでしょうか。

⑤の要素はABが01、CDが00なので、ABCD = 0100 ですね。
確かに上の真理値表の場所と一致していますね。

矢印で読み取るのであれば、Bの部分だけ⑤の要素に該当していますね。
なので、Bは1、それ以外は0となり、ABCD = 0100 と読めます。

 

ここで少し「あれ?」と思った人が多いと思います。

真理値表だと00, 01, 10, 11の順番で並んでいるはずですが、00, 01, 11, 10となっていますね。

なんで 00→01→10→11 の順番じゃないの!! と思う人が多いと思います。

しかし、00→01→11→10となっているのにはちゃんとした理由があります。

 

カルノー図では、論理式を単純化するためにわざと2ビットのうちの片方を固定して隣合っている場所が1ビットしか違わないようにするためです。

01→10は2ビット違いますね。なので、わざと01→11→10の順番にすることでどの要素も1ビットずつしか変わらないようにするのです。

カルノー図は、隣り合った要素は1ビットしか違わないのを利用して単純化を行います。

(2) 3変数の場合

3変数のカルノー図も紹介しましょう。
それぞれの真理値表の値が下のように①~⑧で表されるとします。

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すると、カルノー図はこのようになります。

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4変数のCDのところが1変数減ってCだけになりました。

(3) 2変数の場合

2変数のカルノー図も紹介します。

それぞれの真理値表の値が下のように①~④で表されるとします。

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すると、カルノー図は下のようになります。

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ただし、2変数の論理変数を簡略化する際には、ブール代数の変形規則を使ったほうが早いです。

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2.カルノー図を使った簡略化の方法

それでは、簡略化の仕方を順番に説明していきましょう。

カルノー図を使って簡略化するのは4変数の場合が多いため、今回は4変数で説明します。

3変数、2変数の場合でも4変数と同様の方法で簡略化することができます。

 

Step1. 囲める組み合わせをすべて調べる(主項を求める)

カルノー図では真理値が1となっている部分にだけ注目します。

まず、1を囲える組み合わせをすべて調べます。

ただし、つぎの条件に従って囲うことに注意してください。

ルール1:囲める大きさは 2のべき乗×2のべき乗

1つめのルールとしては、囲えるサイズに制限があるということです。

必ず2のべき乗×2のべき乗*1で囲う必要があります。

 

4変数のカルノー図の場合は4×4のサイズなので、囲める大きさの組み合わせとしては

  • 1×1
  • 1×2(2×1)
  • 1×4(4×1)
  • 2×2
  • 2×4(4×2)
  • 4×4

この6パターンしかありません。

例えば、つぎの緑色の囲い方は2×2なので囲うことができますが、赤色の囲い方は1×3なのでルールに違反し、囲うことができません。

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ルール2:重複して囲ってもOK

囲う際には、重複して囲っても問題ありません
例えば、このように囲うことができます。

(青色部分は \( B \)、緑色部分は \( C \) を表しています。)

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ルール3:四隅はつながっている

カルノー図の四隅はつながっています

FFやドラクエの世界地図みたいにつながっていると考えてください。

 

例えば、このような囲い方ができます。

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特に忘れがちなのが、下のような4隅のパターンです。

(この場合は \( \bar{B} \bar{D} \) を表しています。)

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では実際に1つこちらのカルノー図を例として囲ってみましょう。

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この図形の囲える組み合わせは、下のようになります。

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ピンク色の部分は2×2で囲うことが必要です。

つぎに、囲った部分を論理式に変形します。
論理式に変換する際には、囲った部分のABCDの値に注目します。

例えばピンク色(2×2)に注目すると

  • A → 囲った4箇所とも 0 → \( \bar{A} \)
  • B → 囲った4箇所に0と1が両方ある → 無視
  • C → 囲った4箇所に0と1が両方ある → 無視
  • D → 囲った4箇所ともに0 → \( \bar{D} \)

となるので、ピンク色の部分の論理式は \( \bar{A} \bar{D} \) となります。

赤色で囲われている部分を見ていくと、Cは0,1ともに存在するので無視、Aは1、Bは1、Dは1なので赤色で囲われている部分の論理式は \( ABD \) となります。

緑色で囲われている部分を見ていくと、Dは0,1ともに存在するので無視、Aは1、Bは0、Cは1なので緑色で囲われている部分の論理式は \( A\bar{B}C \) となります。

青色で囲われている部分を見ていくと、Bは0,1ともに存在するので無視、A,C,Dはすべて1なので青色で囲われている部分の論理式は \( ACD \) となります。

 

よって囲えるすべての組み合わせを論理式で表すと、\( \bar{A} \bar{D} \), \( ABD \), \( A \bar{B} C \), \( ACD \) となり、これら4つが主項となります。

Step2. 独立して囲まれている場所を探す(特異最小項を調べる)

次にStep1で囲ったカルノー図から、1箇所からしか囲まれていない場所をすべて探します。

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今回の場合だとこの6つ*2が1箇所しか囲まれていません(特異最小項となります)。

Step3. 特異最小項を囲っている要素を探す(必須主項を探す)

つぎに、特異最小項を囲っている要素*3をすべて探します。

今回の場合だと、この5つの要素(主項)が該当します。

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4つの中で、必須主項に該当するものは、、\( \bar{A} \bar{D} \), \( ABD \), \( A \bar{B} C \) の3つとなります。

Step4. まだ囲われていない1があるか確認

まだ囲われていない1があるかを確認します。
もしあれば囲ってあげます。

今回はないのでこのステップはなくてOKです。

Step5. 必須主項+Step4で囲った主項の論理和が完成品

最後に、今まで求めた必須主項とStep4で囲った主項の論理和をとります。それが簡略化された最小論理和系となります。今回の場合だと、\[X = \bar{A} \bar{D} + ABD + A \bar{B} C \] となります。

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3.Don't care

今までのパターンであれば、すべての論理変数の組み合わせに対して0,1の値が決まっていました。しかし、実際には0,1両方に決めなくていい場合があります。

わかりやすい例を1つあげてみましょう。例えば月を4ビットの論理変数で表すとしましょう。このとき、0001b (1d)~ 1100 (12d) までは存在しますが、0月、13月、14月、15月などは存在しませんね。

このように、0,1を決める必要がない論理変数は Don't care(ドントケア)、禁止入力、「どーでもいい」と言われます。

 

0,1 を決める必要がなければ 0,1 どっちが出力されても問題ありませんね
そもそも存在しないんですから。

なので、Don't careを考える際には、なるべく論理回路が単純化されるように0,1を振ってあげます。

Don't careの項を使ってさらに単純化されそうであれば1を振り、単純化できそうにない(複雑な回路になりそうな)ときには0を振ってあげればいいのです。

 

例えば、つぎのカルノー図を考えてみましょう。

XはDon't careを表します。
X以外にも \( \phi \) などの記号が使われます。

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もし、Xがすべて0としたら、このような囲い方になります。
(論理式:\( B \bar{C} D \))

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では、Don't careをなるべくうまく使って大きく囲う方法を考えましょう。

囲い方としては、つぎの緑色のパターンと黄色のパターンの2つが考えられます。

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黄色の囲い方は1×4、緑色の囲い方だと2×4なので、緑色の囲い方のほうがより大きく囲えていることがわかりますね。

 

なるべく論理式を簡略化したいので、赤色の囲い方のような必要ないDon't careは囲わないことに注意が必要です*4

 

確かに、黄色の囲い方だと、\( \bar{C} D \)、緑色の囲い方だと\( B \) となるため、緑色の囲い方をしたほうがより論理式(および論理回路)を単純化することができますね。

 

なので、今回の場合は、下のような緑色の囲い方が、論理式を最も単純化する囲い方となります。

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4.練習問題

では、実際にカルノー図の練習をしてみましょう。
1問だけ応用情報の過去問を載せています。

練習1

下に表される真理値表で表される論理式 \( X \) があるとする。

 

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つぎの問いに答えなさい。

(1) 上の真理値表からカルノー図を書きなさい。
(2) すべての主項を求めなさい。
(3) 特異最小項を求めなさい。
(4) 必須主項を求めなさい。
(5) 入出力の関係を簡単化された論理関数で表しなさい。

練習2

A,B, C, Dを論理変数とするとき、次のカルノー図と等価な論理式はどれか。

[応用情報技術者平成26年秋期 午前問1]

 

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ア:\( A \cdot B \cdot \bar{C}  \cdot D + \bar{B} \cdot \bar{D} \)
イ:\( \bar{A} \cdot \bar{B} \cdot \bar{C} \cdot \bar{D} + B \cdot D \)
ウ:\( A \cdot B \cdot D + \bar{B} \cdot \bar{D} \)
エ:\( \bar{A} \cdot \bar{B} \cdot \bar{D} + B \cdot D \)

 

練習3

1月〜12月の中から、冬の季節と春の季節(12月、1月、2月、3月、4月、5月が該当)を判定するだけの謎回路を作成する。

入力は4変数 \( A,B,C,D \) であり、出力は \( X \) である。

 

入力変数は上位から順番に A, B, C, D の順番で表され、月として入力しない月(0、13、14、15)はDon't careとする。

例えば、7月は2進数で0111と表される。このとき、Aは0、B,C,Dは1となる。

 

(1) 入力A,B,C,Dにおける出力Xの真理値表を書きなさい。Don't care はXとすること。
(2) (1)の真理値表からカルノー図を書きなさい。
(3) すべての主項を求めなさい。
(4) 特異最小項を求めなさい。
(5) 必須主項を求めなさい。
(6) 入出力の関係を簡単化された論理関数で表しなさい。
(7) (6)の論理式をAND, OR, NOT回路で表しなさい。

 

5.練習問題の解答

解答1

(1)

カルノー図は以下のようになる。
ABとCDの順番はどちらでもよい。

 

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(2)

すべての主項を求めるためには、囲い方の組み合わせすべてを求めればよい。

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このように囲うことができる。

その結果、\( \bar{B} D \), \( A \bar{B} \), \( \bar{A} B \bar{D} \), \( AC \bar{D} \), \( BC \bar{D} \) の5つの主項が求まる。

 

(3)

特異最小項は、1箇所からしか囲われていない場所(論理変数)である。

今回の場合、○で囲んだ4箇所が特異最小項に該当する。

 

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特異最小項を論理変数で表すと、\( \bar{A} \bar{B} \bar{C} D \), \( \bar{A} \bar{B} C D \), \( \bar{A} B \bar{C} \bar{D} \), \( A \bar{B} \bar{C} \bar{D} \) の4つとなる。

 

(4)

必須主項は、特異最小項が含まれている主項を表す。

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今回の場合、\( \bar{B} D \), \( A \bar{B} \), \( \bar{A} B \bar{D} \) の3つが必須主項となる。

 

(5)

簡略化された論理関数を求める前に、まだ囲われていない1がないかどうかを確認します。

今回は1つだけ残っているので残りの主項 \( AC \bar{D} \), \( BC \bar{D} \) の中から、なるべく少ないかつ単純な(リテラル数が少ない)主項を選んですべての1が囲まれるようにします。

今回は、どちらを選んでも大丈夫です。試しに、 \( AC \bar{D} \) でやってみます。
すると、カルノー図は下のようになり、確かにすべての1が囲まれますね。

 

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よって簡単科された論理関数は必須主項である \( \bar{B} D \), \( A \bar{B} \), \( \bar{A} B \bar{D} \) の3つと、最後に選んだ主項 ( \( AC \bar{D} \), \( BC \bar{D} \) )のどちらかの合計4つの論理和で表されます。よって答えは\[ X = \bar{B} D + A \bar{B} + \bar{A} B \bar{D} + AC \bar{D} \] もしくは\[X =  \bar{B} D + A \bar{B} + \bar{A} B \bar{D} + BC \bar{D} \]となります(どっちでも正解)。

 

解答2

解答:エ

カルノー図を囲ってあげると、下のような形になります。

 

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主項:\( BD \), \( \bar{A} \bar{B} \bar{D} \)
特異最小項:真理値が1の中のすべての論理変数
必須主項:\( BD \), \( \bar{A} \bar{B} \bar{D} \)

なので、等価な論理式は \[ BD + \bar{A} \bar{B} \bar{D} \] となり、答えはエとなります。

 

解答3

(1)

真理値表は以下の通りとなる。
ただし、XはDon't careを表す。

 

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(2)

カルノー図は以下の通りとなる。
AB,CDの順番は逆でもOK。

 

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(3)

主項は、1が1つでも含まれている囲い方のすべての組み合わせとなる。

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今回の場合は、4つの主項 \( \bar{A} \bar{B} \), \( AB \), \( \bar{A} \bar{C} \), \( B \bar{C} \) となる。

(4)

特異最小項は、1箇所からしか囲われていない場所(論理変数)である。

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今回の場合、○で囲んだ2箇所が特異最小項に該当する。

 

特異最小項を論理変数で表すと \( \bar{A} \bar{B} CD \), \( \bar{A} \bar{B} C \bar{D} \) となる。

(5)

必須主項は、特異最小項が含まれている主項を表す。

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今回の場合は、\( \bar{A} \bar{B} \) だけとなる。

(6)

まだ囲われていない1がないかどうかを確認します。

今回はまだ3つも残っているため、残りの主項 \( AB \), \( \bar{A} \bar{C} \), \( B \bar{C} \) の中からなるべく主項の数が少なく、かつ単純な(大きく囲える)主項を選びます。

今回は、\( B \bar{C} \) を選べば、主項の数が少なく、かつ単純な論理式にすることができます。

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よって簡単科された論理関数は必須主項である \( \bar{A} \bar{B} \) と、最後に選んだ主項 \( B \bar{C} \) の合計2つの論理和で表されます。よって答えは\[ X = \bar{A} \bar{B} + B \bar{C} \] となる。

(7)

おまけ問題。前回の論理関数の基本を使う。

\( \bar{A} \bar{B} + B \bar{C} \) の論理回路は、下のようになる。

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論理回路の書き方などについては、こちらにまとめているので、もしわからなければこちらのサイトをご覧ください。

www.momoyama-usagi.com

 

 

6.さいごに

今回は、2変数〜4変数(特に4変数)を人間がわかりやすく単純化するカルノー図についてまとめました。

 

5変数以上の簡略化の場合は、カルノー図ではなく、クワインーマクラスキー法などを使うことが多いです。

*1:2のべき乗は1,2,4,8…のように \( 2^n \) (\( n \) は整数)で表されるような数のことを表します。

*2:あえて論理式で表すと、\( \bar{A} \bar{B} \bar{C} \bar{D} \), \( \bar{A} B \bar{C} \bar{D} \), \( AB \bar{C} D \), \( \bar{A} \bar{B} C \bar{D} \), \( \bar{A} B C \bar{D} \), \( A \bar{B} C \bar{D} \) となります。

*3:特異最小項は、1箇所からしか囲まれていないため、その要素がないとどこからも囲われなくなってしまっておかしくなる。なので、特異最小項を囲っている主項は必ず必要である。

*4:1が含まれている部分を簡略化するため以外にはDon't careは1と考えない。

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