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こんにちは! ももやまです!
今回は逆行列の求め方についてまとめてみました!

www.momoyama-usagi.com

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1.逆行列とは

みなさんは行列の足し算、引き算、掛け算は習いましたよね。
しかし、行列の割り算はまだ習っていませんよね。

この行列の割り算に相当するものが逆行列なのです。
n×nの行列 (n次正方行列) \( A \) に対して、つぎのような計算が成立するような行列 \( B \) のことを逆行列といい、\( A^{-1} \) と表されます。(\( E \) は単位行列、対角線上の成分が1、それ以外が0の行列のこと)

\( AB = BA = E \)
\( AA^{-1} = A^{-1}A = E \)

例えば、行列 \( A \) から行列 \( C \) を割り算したいときは、\[ AC^{-1}\]の計算をすれば求めることができます。*1

n×n行列ではないもの、例えば2×3行列のように行数と列数が異なった行列については逆行列は計算できません

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2.逆行列の存在条件

行列 \( A \) の逆行列 \( A^{-1} \) が存在するには1つの条件があります。
それは、行列式 \( |A| \) が0ではないというのが条件です。*2
ちなみに \( |A| \not=0 \) な行列のことを正則な行列と言います。

普通の(行列ではない)計算でも0で割ることってできませんよね。
行列式が0の逆行列を計算しようとするのは、0で割る計算をするようなものだと思ってください。

下のほうで実際に行列式が0(階数が減るパターン)の逆行列が計算できないことを実験します。

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3.逆行列の求め方

(1) 掃き出し法

行列を掃き出して逆行列を求める方法です。試しに1つ例を出してみましょう。 \[
A = \left( \begin{array}{cc} 1 & 2  \\ 2 & 5 \end{array} \right)
\]

この行列 \( A \) の逆行列 \( A^{-1} \) を求めることにします。

まず、下のように行列 \( A \) の右に同じ形の単位行列 \( E \) *3をくっつけます。

\[
A = \left( \begin{array}{cc|cc} 1 & 2 & 1 & 0  \\ 2 & 5 & 0 & 1 \end{array} \right)
\]

上の形を、左側の部分が単位行列になるまで行基本変形していきます。

\[ \begin{align*}  &
\left( \begin{array}{cc|cc} 1 & 2 & 1 & 0  \\ 2_{-2} & 5_{-4} & 0_{-2} & 1 \end{array} \right) \\ \to \ &
\left( \begin{array}{cc|cc} 1 & 2_{-2} & 1_{+4} & 0_{-2}  \\ 0 & 1 & -2 & 1 \end{array} \right) \\ \to \ &
\left( \begin{array}{cc|cc} 1 & 0 & 5 & -2  \\ 0 & 1 & -2 & 1 \end{array} \right)
\end{align*} \]

これで左側の部分は単位行列になりましたよね。このときの右側の部分が \( A \) の逆行列になります。つまり、\( A^{-1} \) は、
\[
A^{-1} = \left( \begin{array}{cc} 5 & -2 \\ -2 & 1 \end{array} \right)
\] となります。

同様に 3×3 の場合でもやっていきましょう。
\[
A = \left( \begin{array}{ccc} 1 & -1 & -1  \\ -1 & 2 & 2  \\ 2 & 1 & 2 \end{array} \right)
\] の逆行列 \( A^{-1} \) は、行基本変形が、

\[ \begin{align*}  &
\left( \begin{array}{ccc|ccc} 1 & -1 & -1 & 1 & 0 & 0 \\ -1_{+1} & 2_{-1} & 2_{-1} & 0_{+1} & 1 & 0  \\ 2_{-2} & 1_{+2} & 2_{+2} & 0_{-2} & 0 & 1 \end{array} \right) \\ \to \ &
\left( \begin{array}{ccc|ccc} 1 & -1 & -1 & 1 & 0 & 0 \\ 0 & 1 & 1 & 1 & 1 & 0  \\ 0 & 3 & 4 & -2 & 0 & 1 \end{array} \right) \\ \to \ &
\left( \begin{array}{ccc|ccc} 1 & -1_{+1} & -1_{+1} & 1_{+1} & 0_{+1} & 0 \\ 0 & 1 & 1 & 1 & 1 & 0  \\ 0 & 3_{-3} & 4_{-3} & -2_{-3} & 0_{-3} & 1 \end{array} \right) \\ \to \ &
\left( \begin{array}{ccc|ccc} 1 & 0 & 0 & 2 & 1 & 0 \\ 0 & 1 & 1_{-1} & 1_{+5} & 1_{+3} & 0_{-1}  \\ 0 & 0 & 1 & -5 & -3 & 1 \end{array} \right) \\ \to \ &
\left( \begin{array}{ccc|ccc} 1 & 0 & 0 & 2 & 1 & 0 \\ 0 & 1 & 0 & 6 & 4 & -1  \\ 0 & 0 & 1 & -5 & -3 & 1 \end{array} \right)
\end{align*} \] となるので、\[
A^{-1} = \left( \begin{array}{ccc} 2 & 1 & 0 \\ 6 & 4 & -1 \\ -5 & -3 & 1 \end{array} \right)
\]

となる。

このように、行列がいくら大きくなっても行基本変形を使った掃き出しを使えば計算ができることがわかりますね。(時間はかかるけど…)

余談 逆行列が出せない行列を掃き出し法で求めようとすると…

2のほうで、行列式が0(階数が減る)行列は正則行列じゃないので逆行列が計算できないというのがありましたよね。下のほうに、逆行列が存在しない行列を掃き出そうとするとどうなるかをやってみます。

\[
A = \left( \begin{array}{cc} 1 & 2  \\ 2 & 4 \end{array} \right)
\]

で試してみます。(行列式0、階数1になりますよね)

\[ \begin{align*}  &
\left( \begin{array}{cc|cc} 1 & 2 & 1 & 0  \\ 2_{-2} & 4_{-4} & 0_{-2} & 1 \end{array} \right) \\ \to \ &
\left( \begin{array}{cc|cc} 1 & 2 & 1 & 0  \\ 0 & 0 & -2 & 1 \end{array} \right)
\end{align*} \]

左の部分をどうやっても単位行列にすることができません。
このように、正則行列じゃないものの逆行列を計算しようとすると失敗することがわかりますね。

(2) 公式を使う

「掃き出し法だるい、他の方法ないの?」と思った人はいませんか?
そんなあなたに掃き出しをせずに公式を使って求める方法をお教えします。

(i) 2×2のとき

2×2行列の場合は、すごく簡単な方法で行列を出すことができます。下に公式を載せます。

2×2行列の逆行列の公式
\[
A = \left( \begin{array}{cc} a & b  \\ c & d \end{array} \right)
\] とする。このとき、逆行列 \( A^{-1} \) は、
\[
A^{-1} = \frac{1}{|A|} \left( \begin{array}{cc} d & -b  \\ -c & a \end{array} \right)
\] と求められる。ただし、
\[
|A| = \left| \begin{array}{cc} a & b  \\ c & d \end{array} \right| = ad - bc
\] である。(行列 \( A \) の行列式計算、サラスの公式)
試しに上のほうで掃き出し法で求めた2×2行列で試してみましょう。

\[
A = \left( \begin{array}{cc} 1 & 2  \\ 2 & 5 \end{array} \right)
\]

とします。まず、行列 \( A \) の行列式を出します。サラスの公式を使えば、一瞬で行列式を出すことができます。

\[
|A| = \left| \begin{array}{cc} 1 & 2  \\ 2 & 5 \end{array} \right| = 1 \times 5 - 2 \times 2 = 1
\]

となります。あとは公式に入れるだけ、
\[
\begin{align*}
A^{-1} & = \frac{1}{1} \left( \begin{array}{cc} 5 & -2  \\ -2 & 1 \end{array} \right) \\
& = \left( \begin{array}{cc} 5 & -2  \\ -2 & 1 \end{array} \right)
\end{align*}
\]

となる。上の答えと一致していますね。

(ii) 3×3のとき

3×3の場合でも公式があります。

3×3行列の逆行列の公式
行列 \( A \) の逆行列は、余因子行列 \( \tilde{A} \) を用いて、
\[
A^{-1} = \frac{1}{|A|} \tilde{A}
\] となる。ただし、余因子行列は、
\[
\tilde{A} = \left( \begin{array}{cc} \Delta_{11} & \Delta_{21} & \Delta_{31}  \\ \Delta_{12} & \Delta_{22} & \Delta_{32} \\ \Delta_{13} & \Delta_{23} & \Delta_{33}  \end{array} \right)
\] で求められる。
※1 例えば \( \Delta_{12} \) は1行2列の余因子を表す
※2 ただし、\( |A| \) は \( A \) の行列式、サラスの公式で求める

余因子を使って逆行列を計算します。

\[
A = \left( \begin{array}{ccc} 1 & -1 & -1  \\ -1 & 2 & 2  \\ 2 & 1 & 2 \end{array} \right)
\]

の逆行列を余因子を使って求めます。

まず、それぞれの要素の余因子を求めて余因子行列 \( \tilde{A} \) を作ります。

\[
\Delta_{11} = \left| \begin{array}{ccc} 2 & 2 \\ 1 & 2 \end{array} \right| = 2 \]\[
\Delta_{12} = -1 \times \left| \begin{array}{ccc} 2 & 2 \\ 1 & 2 \end{array} \right| = 6 \]\[
\Delta_{13} = \left| \begin{array}{ccc} -1 & 2 \\ 2 & 1 \end{array} \right| = -5 \]\[
\Delta_{21} = -1 \times \left| \begin{array}{ccc} -1 & -1 \\ 1 & 2 \end{array} \right| = 1 \]\[
\Delta_{22} = \left| \begin{array}{ccc} 1 & -1 \\ 2 & 2 \end{array} \right| = 4 \]\[
\Delta_{23} = -1 \times \left| \begin{array}{ccc} 1 & -1 \\ 2 & 1 \end{array} \right| = -3 \]\[
\Delta_{31} = \left| \begin{array}{ccc} -1 & -1 \\ 2 & 2 \end{array} \right| = 0 \]\[
\Delta_{32} = -1 \times \left| \begin{array}{ccc} 1 & -1 \\ -1 & 2 \end{array} \right| = -1 \]\[
\Delta_{33} = \left| \begin{array}{ccc} 1 & -1 \\ -1 & 2 \end{array} \right| = 1
\]

となる。行番号+列番号が奇数のときは -1 倍されるのを忘れずに!
よって、余因子行列 \( \tilde{A} \) は、

\[
\tilde{A} =
\left( \begin{array}{cc} \Delta_{11} & \Delta_{21} & \Delta_{31}  \\ \Delta_{12} & \Delta_{22} & \Delta_{32} \\ \Delta_{13} & \Delta_{23} & \Delta_{33}  \end{array} \right)
=
\left( \begin{array}{cc} 2 & 1 & 0 \\ 6 & 4 & -1 \\ -5 & -3 & 1  \end{array} \right)
\]

となる。この際、行と列が入れ替わっていることに注意!

つぎに、行列 \( A \) の行列式を求めます。サラスの公式を使います。
※行基本変形を使って行列式を求めるのもOK

\[
\begin{align*}
A^{-1} & =\left| \begin{array}{ccc} 1 & -1 & -1  \\ -1 & 2 & 2  \\ 2 & 1 & 2 \end{array} \right| \\
& = 4 - 4 + 1 -(-4 + 2+2) \\ & = 1
\end{align*}
\]

となる。あとは、余因子行列の要素を行列式で全部割ればよい。

\[
\begin{align*}
A^{-1} & = \frac{1}{1} \left( \begin{array}{ccc} 2 & 1 & 0 \\ 6 & 4 & -1 \\ -5 & -3 & 1 \end{array} \right) \\
& = \left( \begin{array}{ccc}2 & 1 & 0 \\ 6 & 4 & -1 \\ -5 & -3 & 1 \end{array} \right)
\end{align*}
\]

これで求めることができる。

(iii) 4×4以上のとき

4×4以上のときも3×3行列のように余因子を使えば逆行列の計算ができるのですが、計算が非常に大変(4×4でも3×3の行列を16個解く必要あり)なので、4×4以上の場合はおとなしく掃き出し法で計算してください。 私も4×4行列以上では絶対に掃き出し法で計算します。

ちなみに大学院の入試や、数検1級でさえも出されるレベルは3×3がほとんどなので、まずは3×3の逆行列が正確かつ素早く出せるように頑張りましょう。

ではここで2問練習問題を解いてみましょう。

練習1

つぎの行列 \( A \) の逆行列を計算しなさい。(目安 5分)

\[
A = \left( \begin{array}{ccc} 1 & 0 & 4  \\ 3 & -1 & 0  \\ -2 & 1 & -1 \end{array} \right)
\]

解答1

掃き出し法を使ったやり方の場合

\[ \begin{align*}  &
\left( \begin{array}{ccc|ccc} 1 & 0 & 4  & 1 & 0 & 0 \\ 3 & -1 & 0 & 0 & 1 & 0  \\ -2 & 1 & -1 & 0 & 0 & 1 \end{array} \right) \\ \to \ &
\left( \begin{array}{ccc|ccc} 1 & 0 & 4  & 1 & 0 & 0 \\ 3_{-3} & -1 & 0_{-12} & 0_{-3} & 1 & 0  \\ -2_{+2} & 1 & -1_{+8} & 0_{+2} & 0 & 1 \end{array} \right) \\ \to \ &
\left( \begin{array}{ccc|ccc} 1 & 0 & 4  & 1 & 0 & 0 \\ 0 & -1_{+1} & -12_{+7} & -3_{+2} & 1 & 0_{+1}  \\ 0 & 1 & 7 & 2 & 0 & 1 \end{array} \right) \\ \to \ &
\left( \begin{array}{ccc|ccc} 1 & 0 & 4  & 1 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & -5 & -1 & 1 & 1  \\ 0 & 1 & 7 & 2 & 0 & 1 \end{array} \right) \\ \to \ &
\left( \begin{array}{ccc|ccc} 1 & 0 & 4_{-4}  & 1_{-4/5} & 0_{+4/5} & 0_{+4/5} \\ 0 & 1 & 7_{-7} & 2_{-7/5} & 0_{+7/5} & 1_{+7/5} \\ 0 & 0 & -5_{\div (-5)} & -1_{\div (-5)} & 1_{\div (-5)} & 1_{\div (-5)} \end{array} \right) \\ \to \ &
\left( \begin{array}{ccc|ccc} 1 & 0 & 0  & \frac{1}{5} & \frac{4}{5} & \frac{4}{5} \\ 0 & 1 & 0 & \frac{3}{5} & \frac{7}{5} & \frac{12}{5} \\ 0 & 0 & 1 & \frac{1}{5} & -\frac{1}{5} & -\frac{1}{5}  \end{array} \right)
\end{align*} \]

となり、逆行列は、
\[
A^{-1} = \frac{1}{5} \left( \begin{array}{ccc} 1 & 4 & 4 \\ 3 & 7 & 12 \\ 1 & -1 & -1 \end{array} \right)
\]

と求められる。

(2) 余因子を使って解いた場合

まずは余因子行列をもとめます。各要素の余因子は、

\[
\Delta_{11} = \left| \begin{array}{ccc} -1 & 0 \\ 1 & -1 \end{array} \right| = 1 \]\[
\Delta_{12} = -1 \times \left| \begin{array}{ccc} 3 & 0 \\ -2 & -1 \end{array} \right| = 3 \]\[
\Delta_{13} = \left| \begin{array}{ccc} 3 & -1 \\ -2 & 1 \end{array} \right| = 1 \]\[
\Delta_{21} = -1 \times \left| \begin{array}{ccc} 0 & 4 \\ 1 & -1 \end{array} \right| = 4 \]\[
\Delta_{22} = \left| \begin{array}{ccc} 1 & 4 \\ -2 & -1 \end{array} \right| = 7 \]\[
\Delta_{23} = -1 \times \left| \begin{array}{ccc} 1 &0 \\ -2 & 1 \end{array} \right| = -1\]\[
\Delta_{31} = \left| \begin{array}{ccc} 0 & 4 \\ -1 & 0 \end{array} \right| = 4 \]\[
\Delta_{32} = -1 \times \left| \begin{array}{ccc} 1 & 4 \\ 3 & 0 \end{array} \right| = 12 \]\[
\Delta_{33} = \left| \begin{array}{ccc} 1 & 0 \\ 3 & -1 \end{array} \right| = -1
\]

となるので余因子行列 \( \tilde{A} \) は、
\[
\tilde{A} =
\left( \begin{array}{cc} \Delta_{11} & \Delta_{21} & \Delta_{31}  \\ \Delta_{12} & \Delta_{22} & \Delta_{32} \\ \Delta_{13} & \Delta_{23} & \Delta_{33}  \end{array} \right)
=
\left( \begin{array}{cc} 1 & 4 & 4 \\ 3 & 7 & 12 \\ 1 & -1 & -1  \end{array} \right)
\]

となる。つぎに行列式 \( |A| \) を求める。

\[
\begin{align*}
|A| & =\left| \begin{array}{ccc} 1 & 0 & 4  \\ 3 & -1 & 0  \\ -2 & 1 & -1 \end{array} \right| \\
& = 1 + 0 + 12 - (8 + 0) = 5
\end{align*}
\]

となる。あとは行列式で割るだけ。よって、

\[
A^{-1} = \frac{1}{5} \left( \begin{array}{ccc} 1 & 4 & 4 \\ 3 & 7 & 12 \\ 1 & -1 & -1 \end{array} \right)
\]

と計算できる。

逆行列の計算後は検算をお忘れなく、下に検算の方法を書きました。

4.逆行列の検算

逆行列を計算した後は必ず検算をしましょう。
検算の仕方は、\[ AA^{-1} = E \] になるか確かめるだけです。試しに上で計算した2つの逆行列が本当に正しいかを検算してみましょう。

\[
\left( \begin{array}{cc} 1 & 2  \\ 2 & 5 \end{array} \right)
\left( \begin{array}{cc} 5 & -2  \\ -2 & 1 \end{array} \right) =
\left( \begin{array}{cc} 1 & 0  \\ 0 & 1 \end{array} \right)
\]

\[
\left( \begin{array}{cc} 1 & -1 & -1  \\ -1 & 2 & 2  \\ 2 & 1 & 2 \end{array} \right)
\left( \begin{array}{cc} 2 & 1 & 0 \\ 6 & 4 & -1 \\ -5 & -3 & 1 \end{array} \right) =
\left( \begin{array}{cc} 1 & 0 & 0  \\ 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{array} \right)
\]

5.逆行列を使って連立方程式を解く

逆行列を求めると連立方程式を解くことができます。
ただし、解がただ1つだけ求まるパターンの連立方程式しか解くことができません

\( \left\{ \begin{array}{l} \ \ 2x - 3y = -5 \\ -3x + 4y = \ \ 6 \end{array}\right. \)

例えばこれを逆行列を使って解いてみましょう。

まずは上の式を行列で書いてみます。
\[A =\left( \begin{array}{ccc} 2 & -3 \\ -3 & 4 \end{array} \right) , \ \ \vec{x} =\left( \begin{array}{ccc} x \\ y \end{array} \right), \ \ \vec{b} =\left( \begin{array}{ccc} -5 \\ 6 \end{array} \right) \] とすると、

\[ A\vec{x} = \vec{b}\]

\[
\left( \begin{array}{ccc} 2 & -3 \\ -3 & 4 \end{array} \right)
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y \end{array} \right) =
\left( \begin{array}{ccc} -5 \\ 6 \end{array} \right)
\]

と書けます。\( A\vec{x} = \vec{b} \) の一番左に \( A^{-1} \) をつけます。*4すると、

\[ A^{-1}A\vec{x} = E\vec{x} = \vec{x} = A^{-1}\vec{b}\]

という式が成り立ちますね。つまり、行列 \( A \) の逆行列とベクトル \( \vec{b} \) を掛けたものが解になることがわかりますね。この場合、

\[
\begin{align*}
A^{-1} & = \frac{1}{-1} \left( \begin{array}{cc} 2 & -3  \\ -3 & 4 \end{array} \right) \\
& = \left( \begin{array}{cc} -4 & -3  \\ -3 & -2 \end{array} \right)
\end{align*}
\]

となるので、

\[ A^{-1}\vec{b} =
\left( \begin{array}{cc} -4 & -3  \\ -3 & -2 \end{array} \right)
\left( \begin{array}{cc} -5  \\ 6 \end{array} \right) =
\left( \begin{array}{cc} 2  \\ 3 \end{array} \right)
= \vec{x}
\]

となり、\( x = 2, y = 3 \) と正しく解を求めることができますね。

では練習問題をさらに1問やってみましょう。

練習2

つぎの連立方程式を行列を用いて解きなさい。

\[\left\{ \begin{array}{l} \  \ \ 3x \ \ \ \ \ \  \ \  + 2z = \ \ 3 \\ - \ \ x + 2y - \ \ z =   \ \ 2 \\ -4x+ \ \ y-3z=-2 \end{array}\right. \]

解答2

\[A =\left( \begin{array}{ccc} 3 & 0 & 2 \\ -1 & 2 & -1 \\ -4 & 1 & -3 \\ \end{array} \right) ,  \ \ \vec{x} =\left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z \end{array} \right) , \ \ \vec{b} =\left( \begin{array}{ccc} 3 \\ 2 \\ -2 \end{array} \right)\] とすると、

\[ A\vec{x} = \vec{b}\]

\[
\left( \begin{array}{ccc} 3 & 0 & 2 \\ -1 & 2 & -1 \\ -4 & 1 & -3 \end{array} \right)
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z \end{array} \right) =
\left( \begin{array}{ccc} 3 \\ 2 \\ -2 \end{array} \right)
\]

と表せる。よって、\[ A^{-1}A\vec{x} = E\vec{x} = \vec{x} = A^{-1}\vec{b}\] を使えば計算ができる。あとは逆行列の計算を行う。

(i) 掃き出し法の場合

\[ \begin{align*}  &
\left( \begin{array}{ccc|ccc} 3 & 0 & 2  & 1 & 0 & 0 \\ -1 & 2 & -1 & 0 & 1 & 0  \\ -4 & 1 & -3 & 0 & 0 & 1 \end{array} \right) \\ \to \ &
\left( \begin{array}{ccc|ccc} 3_{-3} & 0_{+6} & 2_{-3}  & 1 & 0_{+3} & 0 \\ -1 & 2 & -1 & 0 & 1 & 0  \\ -4_{+4} & 1_{-8} & -3_{+4} & 0 & 0_{-4} & 1 \end{array} \right) \\ \to \ &
\left( \begin{array}{ccc|ccc} 0 & 6 & -1  & 1 & 3 & 0 \\ -1 & 2 & -1 & 0 & 1 & 0  \\ 0 & -7 & 1 & 0 & -4 & 1 \end{array} \right) \\ \to \ &
\left( \begin{array}{ccc|ccc} 0 & 6_{-7} & -1_{+1}  & 1 & 3_{-4} & 0_{+1} \\ -1 & 2_{-7} & -1_{+1} & 0 & 1_{-4} & 0_{+1}  \\ 0 & -7 & 1 & 0 & -4 & 1 \end{array} \right) \\ \to \ &
\left( \begin{array}{ccc|ccc} 0 & -1 & 0  & 1 & -1 & 1 \\ -1 & -5 & 0 & 0 & -3 & 1  \\ 0 & -7 & 1 & 0 & -4 & 1 \end{array} \right) \\ \to \ &
\left( \begin{array}{ccc|ccc} 0 & -1_{\times (-1)} & 0  & 1_{\times (-1)} & -1_{\times (-1)} & 1_{\times (-1)} \\ -1 & -5_{+5} & 0 & 0_{-5} & -3_{+5} & 1_{-5}  \\ 0 & -7_{+7} & 1 & 0_{-7} & -4_{+7} & 1_{-7} \end{array} \right) \\ \to \ &
\left( \begin{array}{ccc|ccc} 0 & 1 & 0  & -1 & 1 & -1 \\ -1 & 0 & 0 & -5 & 2 & -4  \\ 0 & 0 & 1 & -7 & 3 & -6 \end{array} \right) \\ \to \ &
\left( \begin{array}{ccc|ccc}  -1_{\times (-1)} & 0 & 0 & -5_{\times (-1)} & 2_{\times (-1)} & -4_{\times (-1)} \\ 0 & 1 & 0  & -1 & 1 & -1  \\ 0 & 0 & 1 & -7 & 3 & -6 \end{array} \right) \\ \to \ &
\left( \begin{array}{ccc|ccc}  1 & 0 & 0 & 5 & -2 & 4 \\ 0 & 1 & 0  & -1 & 1 & -1  \\ 0 & 0 & 1 & -7 & 3 & -6 \end{array} \right)
\end{align*} \]

より、逆行列 \( A^{-1} \) は、

\[
A^{-1} =  \left( \begin{array}{ccc} 5 & -2 & 4 \\  -1 & 1 & -1  \\ -7 & 3 & -6 \end{array} \right)
\]

と求められる。

(ii) 余因子を使って計算

まずは余因子行列をもとめます。各要素の余因子は、

\[
\Delta_{11} = \left| \begin{array}{ccc} 2 & -1 \\ 1 & -3 \end{array} \right| = -5 \]\[
\Delta_{12} = -1 \times \left| \begin{array}{ccc} -1 & -1 \\ -4 & -3 \end{array} \right| = 1 \]\[
\Delta_{13} = \left| \begin{array}{ccc} -1 & 2 \\ -4 & 1 \end{array} \right| = 7 \]\[
\Delta_{21} = -1 \times \left| \begin{array}{ccc} 0 & 2 \\ 1 & -3 \end{array} \right| = 2 \]\[
\Delta_{22} = \left| \begin{array}{ccc} 3 & 2 \\ -4 & -3 \end{array} \right| = -1 \]\[
\Delta_{23} = -1 \times \left| \begin{array}{ccc} 3 &0 \\ -4 & 1 \end{array} \right| = -3 \]\[
\Delta_{31} = \left| \begin{array}{ccc} 0 & 2 \\  2 & -1 \end{array} \right| = -4 \]\[
\Delta_{32} = -1 \times \left| \begin{array}{ccc} 3 & 2 \\ -1 & -1 \end{array} \right| = 1 \]\[
\Delta_{33} = \left| \begin{array}{ccc} 3 & 0 \\ -1 & 2 \end{array} \right| = -6
\]

となるので余因子行列 \( \tilde{A} \) は、
\[
\tilde{A} =
\left( \begin{array}{cc} \Delta_{11} & \Delta_{21} & \Delta_{31}  \\ \Delta_{12} & \Delta_{22} & \Delta_{32} \\ \Delta_{13} & \Delta_{23} & \Delta_{33}  \end{array} \right)
=
\left( \begin{array}{ccc}  -5 & 2 & -4 \\  1 & -1 & 1  \\ 7 & -3 & 6  \end{array} \right)
\]

つぎに行列式 \( |A| \) を求める。
\[
\begin{align*}
|A| & =\left| \begin{array}{ccc} 3 & 0 & 2 \\ -1 & 2 & -1 \\ -4 & 1 & -3 \end{array} \right| \\
& = -18 + 0 - 2 -(-16 + 0 - 3) \\ & = -20 - (-19) = -1
\end{align*}
\]

となる。あとは行列式で割るだけ。

\[
\begin{align*}
A^{-1} & = \frac{1}{-1} \left( \begin{array}{ccc} -5 & 2 & -4 \\  1 & -1 & 1  \\ 7 & -3 & 6 \end{array} \right) \\
& = \left( \begin{array}{ccc} 5 & -2 & 4 \\  -1 & 1 & -1  \\ -7 & 3 & -6 \end{array} \right)
\end{align*}
\]

と求められる。

よって、

\[
A^{-1}\vec{b} = \left( \begin{array}{ccc} 5 & -2 & 4 \\  -1 & 1 & -1  \\ -7 & 3 & -6 \end{array} \right)
\left( \begin{array}{ccc} 3 \\ 2 \\ -2 \end{array} \right) =
\left( \begin{array}{ccc} 3 \\ 1 \\ -3 \end{array} \right)
\]

となるので、\( x = 3 \), \( y = 1 \), \( z = -3 \) となる。

おまけ:逆行列使わずに拡大係数行列で解く

一応こっちでも解いてみる。
\[ \begin{align*}  &
\left( \begin{array}{ccc|c} 3_{-3} & 0_{+6} & 2_{-3}  & 3_{+6} \\ -1 & 2 & -1 & 2  \\ -4_{+4} & 1_{-8} & -3_{+4} & -2_{-8} \end{array} \right) \\ \to \ &
\left( \begin{array}{ccc|c} 0 & 6 & -1  & 9 \\ -1 & 2_{-6} & -1_{+1} & 2_{-9}  \\ 0 & -7_{+6} & 1_{-1} & -10_{+9} \end{array} \right) \\ \to \ &
\left( \begin{array}{ccc|c} 0 & 6 & -1  & 9 \\ -1 & -4 & 0 & -7  \\ 0 & -1 & 0 & -1 \end{array} \right) \\ \to \ &
\left( \begin{array}{ccc|c} 0 & 6_{-6} & -1  & 9_{-6} \\ -1 & -4_{+4} & 0 & -7_{+4}  \\ 0 & -1 & 0 & -1 \end{array} \right) \\ \to \ &
\left( \begin{array}{ccc|c} 0 & 0 & -1  & 3 \\ -1 & 0 & 0 & -3  \\ 0 & -1 & 0 & -1 \end{array} \right) \\ \to \ &
\left( \begin{array}{ccc|c} -1_{\times (-1)} & 0 & 0 & -3_{\times (-1)}  \\ 0 & -1_{\times (-1)} & 0 & -1_{\times (-1)} \\ 0 & 0 & -1_{\times (-1)}  & 3_{\times (-1)} \end{array} \right) \\ \to \ &
\left( \begin{array}{ccc|c} 1 & 0 & 0 & 3  \\ 0 & 1 & 0 & 1 \\ 0 & 0 & 1  & -3 \end{array} \right)
\end{align*} \]

となり、\( x = 3 \), \( y = 1 \), \( z = -3 \) が得られる。
(係数行列も拡大係数行列も階数3、未知数も3つなので解は1つのみ)
こっちの方が早そう()

いずれにしても、最後に \( x,y,z \) の値を代入して方程式が成立するかの検算はお忘れなく。

↓ もっと問題演習をしたい人はこちらの記事をご覧ください!

6.さいごに

今回は行列の割り算に相当する逆行列の算出方法についてまとめてみました。
逆行列の計算は、大学の期末試験、数検1級(準1級)、大学院入学試験など様々なところで出題されるので確実に計算できるようにしましょう。
また、何回も言いますが逆行列計算後はもとの行列とかけて単位行列になるかを忘れずに確認すること!

ではまた次回。

第4羽(余因子法による逆行列計算)はこちらから。

www.momoyama-usagi.com

*1:あまり行列の割り算と言う人はいない気がしますが……

*2:行列 \( A \)の階数が減らない(n×n行列の階数が \( n \) である)でもOK

*3:単位行列は、対角線上が1、それ以外の要素が0の行列のこと

*4:両方とも一番左につけること、行列の場合はかける順番によって答えが変わることがほとんどなので…

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