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工業大学生ももやまのうさぎ塾

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うさぎでもわかる線形代数 連立方程式編

ももやまです。こんにちは。
今回も線形代数系統の記事を更新したいと思います。
前回の線形代数 行基本変形編はこちら!

www.momoyama-usagi.com


今回は行列式を使って連立方程式を解く方法をまとめてみました!

 


 

1.行列で連立方程式を表すには

皆さんはこのような連立方程式の解き方を中学生のときに習ったはずです。

\[\left\{ \begin{array}{l} \ \ 2x - 3y = -5 \\ -3x + 4y = \ \ 6 \end{array}\right.\]

今回はこれを行列っぽく解いちゃいましょう。

 

まずは上の式を行列で書いてみます。
\[A =\left( \begin{array}{ccc} 2 & -3 \\ -3 & 4 \end{array} \right) , \ \ \vec{x} =\left( \begin{array}{ccc} x \\ y \end{array} \right) , \ \ \vec{b} =\left( \begin{array}{ccc} -5 \\ 6 \end{array} \right) 
\] を用いると、

\[ A\vec{x} = \vec{b}\]

\[
\left( \begin{array}{ccc} 2 & -3 \\ -3 & 4 \end{array} \right)
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y \end{array} \right) =
\left( \begin{array}{ccc} -5 \\ 6 \end{array} \right)
\]

と書くことができます。このときの行列  A を係数行列と呼びます。

この式を変形して行列を出すのですが、ちょっと簡略化してこんな感じに書いてみましょう。

\[
\left( \begin{array}{cc|c} 2 & -3 & -5 \\ -3 & 4 & 6 \end{array} \right)
\]

こんな行列を拡大係数行列(拡大行列)と呼びます。これを掃き出ししてやると解を出すことができます。試しにやってみましょう。

\[ \begin{align*}  &
\left( \begin{array}{cc|c} 2_{\times 3} & -3_{\times 3} & -5_{\times 3} \\ -3_{\times 2} & 4_{\times 2} & 6_{\times 2} \end{array} \right)  \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{cc|c} 6_{-6} & -9_{+8} & -15_{+12} \\ -6 & 8 & 12 \end{array} \right)  \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{cc|c} 0 & -1 & -3 \\ -6 & 8_{-8} & 12_{-24} \end{array} \right)  \\ \to \ &
\left( \begin{array}{cc|c} 0 & -1_{\times (-1)} & -3_{\times (-1)} \\ -6_{\div (-6)} & 0 & -12_{\div (-6)} \end{array} \right)  \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{cc|c} 0 & 1 & 3 \\ 1 & 0 & 2 \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{cc|c} 1 & 0 & 2 \\ 0 & 1 & 3 \end{array} \right) 
\end{align*}
\]

この変形結果より、

\[
\left( \begin{array}{ccc} 1 & 0 \\ 0 & 1 \end{array} \right)
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y \end{array} \right) =
\left( \begin{array}{ccc} 2 \\ 3 \end{array} \right)
\]

となることがわかり、 x = 2,  y= 3 が得られる。

行列を使ってもうまく解が結果が得られましたね。ですが、世の中には解がうまく1つだけ解ける方程式だけ存在するわけではありません。

今回は、行列の知識を使って、連立方程式の解がどうなるかを場合分けする方法、およびそのときの解の出し方をまとめてみたいと思います。

 

(1) 解が1つだけ得られるパターン

まずは一番基本的なパターンです。上の例もこの1に該当します。
次の連立1次方程式を行列を使って解いてみます。

\left\{ \begin{array}{l} \ \ x +\ \ y + \ \ z = \ \ 6 \\ \ \ x + 2y + 3z = 13 \\ 2x + 3y - 4z = \ \ 3 \end{array}\right.

まずはこれを行列にします。これは、係数行列  A 、ベクトル  \vec{b},\vec{x} を用いて、

\[
A = \left( \begin{array}{ccc} 1 & 1 & 1  \\ 1 & 2 & 3  \\ 2 & 3 & -4 \end{array} \right), \ \ \vec{x} = \left( \begin{array}{ccc} x  \\ y  \\ z \end{array} \right), \ \ \vec{b} = \left( \begin{array}{ccc} 6  \\ 13  \\ 3 \end{array} \right)
\]

とかけます。拡大係数行列を  (A \vec{b}) = B は、

\[
B = \left( \begin{array}{ccc|c} 1 & 1 & 1 & 6 \\ 1 & 2 & 3 & 13 \\ 2 & 3 & -4 & 3 \end{array} \right)
\]

となる。あとはこれを解くだけ、
\[ \begin{align*}  &
\left( \begin{array}{ccc|c} 1 & 1 & 1 & 6 \\ 1_{-1} & 2_{-1} & 3_{-1} & 13_{-6} \\ 2_{-2} & 3_{-2} & -4_{-2} & 3_{-12} \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc|c} 1 & 1 & 1 & 6 \\ 0 & 1_{-1} & 2_{+6} & 7_{+9} \\ 0 & 1 & -6 & -9 \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc|c} 1 & 1 & 1 & 6 \\ 0 & 0 & 8_{\div 8} & 16_{\div 8} \\ 0 & 1 & -6 & -9 \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc|c} 1 & 1 & 1_{-1} & 6_{-2} \\ 0 & 0 & 1 & 2 \\ 0 & 1 & -6_{+6} & -9_{+12} \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc|c} 1 & 1_{-1} & 0 & 4_{-3} \\ 0 & 0 & 1 & 2 \\ 0 & 1 & 0 & 3 \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc|c} 1 & 0 & 0 & 1 \\ 0 & 0 & 1 & 2 \\ 0 & 1 & 0 & 3 \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc|c} 1 & 0 & 0 & 1 \\ 0 & 1 & 0 & 3 \\ 0 & 0 & 1 & 2 \end{array} \right)
\end{align*} \]

よって  x = 1,  y = 3,  z = 2 となり、無事1つの解が得られた。行列っぽく答えを書くと、

\[ \vec{x} =\left( \begin{array}{ccc} x  \\ y  \\ z \end{array} \right) = \left( \begin{array}{ccc} 1  \\ 3  \\ 2 \end{array} \right) \]

となる。このパターンの場合、係数行列  A と、拡大係数行列  B には、連立方程式の変数(もしくは係数行列の列数)  n を用いて

\[\mathrm{rank}\ A = \mathrm{rank}\ B = n  \]

という関係がある。

(2) 解が無限に得られるパターン

また別の連立方程式を用意します。

\[\left\{ \begin{array}{l} \ \ x - \ \ y  + \ \ z = 3 \\ 2x - 2y + \ \ z = 4 \\   -x + \ \ y + 2z = 3 \end{array}\right. \]

この場合の係数行列  A と拡大係数行列  B は、

\[
A = \left( \begin{array}{ccc} 1 & -1 & 1  \\ 2 & -2 & 1  \\ -1 & 1 & 2 \end{array} \right) , \ 
B = \left( \begin{array}{ccc|c} 1 & -1 & 1 & 3 \\ 2 & -2 & 1 & 4  \\ -1 & 1 & 2 & 3 \end{array} \right)
\]

となる。早速拡大係数行列を掃き出す。

\[ \begin{align*}  &
\left( \begin{array}{ccc|c} 1 & -1 & 1 & 3 \\ 2_{-2} & -2_{+2} & 1_{-2} & 4_{-6}  \\ -1_{+1} & 1_{-1} & 2_{+1} & 3_{+3} \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc|c} 1 & -1 & 1_{-1} & 3_{-2} \\ 0 & 0 & -1 & -2  \\ 0 & 0 & 3_{-3} & 6_{-6} \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc|c} 1 & -1 & 0 & 1 \\ 0 & 0 & -1_{\times (-1)} & -2_{\times (-1)}  \\ 0 & 0 & 0 & 0 \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc|c} 1 & -1 & 0 & 1 \\ 0 & 0 & 1 & 2  \\ 0 & 0 & 0 & 0 \end{array} \right)
\end{align*} \]

となる。これで  z = 2 は決まるのだが、 x,y の解は無数に存在する。
(組み合わせ例: (x,y)=(1,0),(2,1),(3,2),(4,3).\cdots

このように無数に存在する場合を定数の文字を自分でおいて解答を行う。例えば  y = t と1つ任意の定数をおくと、 x = t + 1 と表せばあらゆる解を網羅することができる。よって答えは、

\[
\left( \begin{array}{ccc} x  \\ y  \\ z \end{array} \right)
=  t \left( \begin{array}{ccc} 1  \\ 1  \\ 0 \end{array} \right) +
\left( \begin{array}{ccc} 1  \\ 0  \\ 2 \end{array} \right) \]

となる。

このパターンの場合、係数行列  A と、拡大係数行列  B には、連立方程式の変数(もしくは係数行列の列数)  n を用いて

\[\mathrm{rank} \ A = \mathrm{rank} \ B < n  \]

という関係がある。さらに、すべての解を表すのに必要な任意の定数の数は連立方程式の未知数(行列の列数)  n を用いて  n -  \mathrm{rank} \ B となる。(上の例だと 3 - 2 = 1 より任意の定数を1つ置いている)

(3) 解がないパターン

解が存在しない連立方程式も中にはあります。

\[\left\{ \begin{array}{l} \ \ x - 3y  +\ \ z =\ \ 1 \\ 5x -\ \ y -2z = -2 \\   4x + 2y - 3z = \ \ 4 \end{array}\right. \]

この場合の係数行列  A と拡大係数行列  B は、

\[
A = \left( \begin{array}{ccc} 1 & -3 & 1  \\ 5 & -1 & -2  \\ 4 & 2 & -3 \end{array} \right) , \ 
B = \left( \begin{array}{ccc|c} 1 & -3 & 1 & 1  \\ 5 & -1 & -2 & -2  \\ 4 & 2 & -3 & 4 \end{array} \right)
\]

となる。あとはいつものように掃き出していく。

\[ \begin{align*}  &
\left( \begin{array}{ccc|c} 1 & -3 & 1 & 1  \\ 5_{-5} & -1_{+15} & -2_{-5} & -2_{-5}  \\ 4_{-4} & 2_{+12} & -3_{-4} & 4_{-4} \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc|c} 1 & -3 & 1 & 1  \\ 0 & 14 & -7 & -7  \\ 0 & 14_{-14} & -7_{+7} & 0_{+7} \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc|c} 1 & -3 & 1 & 1  \\ 0 & 14 & -7 & -7  \\ 0 & 0 & 0 & 7 \end{array} \right)
\end{align*} \]

ここで変形途中の3行目に注目しよう。これは  0=7 という数学界ではありえない式が出てきましたね。ということはこの方程式は解けないということがわかりますね。

ここで階数に注目してみましょう。行列  A の階数は2、行列  B の階数は3と、 A B の階数が異なっていますよね。

このように、行列  A B の階数が異なっている(正確には \mathrm{rank}\ A \lt \mathrm{rank}\ B と解がないことがわかりますね。

連立方程式の解の数のまとめ
方程式の左辺の数値を入れた係数行列  A 、係数行列に右辺の数値を付け加えた拡大係数行列  B 、係数行列の列数(方程式の未知数の数)を  n とする。
(1) \mathrm{rank}\ A \lt \mathrm{rank}\ B の場合
解は存在しない。
(2) \mathrm{rank}\ A = \mathrm{rank}\ B = n の場合
解は1つのみ存在する。
(3) \mathrm{rank}\ A = \mathrm{rank}\ B \lt n の場合
解は無数に存在する。
任意の定数を  n - \mathrm{rank}\ B 個置いて解を表せる。(自由度: n - \mathrm{rank}\ B

 

2.同次式(斉次式)の場合

つぎのように、(1次式)= 0 の連立方程式は同次連立方程式といいます。

行列を使って書くと、

\[ A \vec{x} = \vec{0}\]

を同次連立方程式といいます。同次連立方程式の例を1つ挙げてみます。

\[\left\{ \begin{array}{l}  6x\ \ \ \ \ \ \ \ - \ \ z = 0 \\ 2x - \ \ y - 3z = 0 \\   8x + 5y + 4z = 0 \end{array}\right. \]

これを行列で表すと、

\[
A = \left( \begin{array}{ccc} 6 & 0 & -1  \\ 2 & -1 & -3  \\ 8 & 5 & 4 \end{array} \right), \ \ \vec{x} = \left( \begin{array}{ccc} x  \\ y  \\ z \end{array} \right), \ \ \vec{b} = \left( \begin{array}{ccc} 0  \\ 0  \\ 0 \end{array} \right)
\]

より、

\[
\left( \begin{array}{ccc} 6 & 0 & -1  \\ 2 & -1 & -3  \\ 8 & 5 & 4 \end{array} \right)
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z\end{array} \right) =
\left( \begin{array}{ccc} 0 \\ 0 \\ 0 \end{array} \right)
\]

という形になります。

同次連立方程式の場合、必ず解を1つ以上持ちます。全変数に0を入れたら成立しますよね。全変数が0の解は自明な解と呼ばれます。
同次式の場合は拡大係数行列を使わなくても解がどうなるかがわかります。
なので、拡大係数行列は省略することが多いです。*1

(1) 自明な解以外解がないパターン

この場合の係数行列  A は、

\[
A = \left( \begin{array}{ccc} 6 & 0 & -1  \\ 2 & -1 & -3  \\ 8 & 5 & 4 \end{array} \right)  \ 
\]

となります。早速この行列を掃き出していきましょう。

\[ \begin{align*}  &
\left( \begin{array}{ccc} 6 & 0 & -1  \\ 2 & -1 & -3  \\ 8_{+10} & 5_{-5} & 4_{-15} \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc} 6 & 0 & -1  \\ 2 & -1 & -3  \\ 18 & 0 & -11 \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc} 6 & 0 & -1  \\ 2_{-18} & -1 & -3_{+3}  \\ 18_{-66} & 0 & -11_{+11} \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc} 6 & 0 & -1  \\ -16 & -1 & 0  \\ -48_{\div (-48)} & 0 & 0 \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc} 6_{-6} & 0 & -1  \\ -16_{+16} & -1 & 0  \\ 1 & 0 & 0 \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc} 0 & 0 & -1_{\times (-1)}  \\ 0 & -1_{\times (-1)} & 0  \\ 1 & 0 & 0 \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc} 1 & 0 & 0  \\ 0 & 1 & 0  \\ 0 & 0 & 1 \end{array} \right)
\end{align*} \]

となります。

確かに、 x = 0,  y = 0,  z = 0 以外の解を持ちませんよね。

また、

(2) 自明な解以外の解があるパターン

別の連立方程式の例を出してみましょう。

\[\left\{ \begin{array}{l}  2x + 2y - 2z = 0 \\ 6x + 5y - 3z = 0 \\   4x + 3y  - \ \ z = 0 \end{array}\right. \]

これも係数行列  A を作りましょう。係数行列  A は、

\[
A = \left( \begin{array}{ccc} 2 & 2 & -2  \\ 6 & 5 & -3  \\ 4 & 3 & -1 \end{array} \right) 
\]

あとは行基本変形するだけ、

\[ \begin{align*}  &
\left( \begin{array}{ccc} 2 & 2 & -2  \\ 6 & 5 & -3  \\ 4 & 3 & -1 \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc} 2 & 2 & -2  \\ 6_{-6} & 5_{-6} & -3_{+6}  \\ 4_{-4} & 3_{-4} & -1_{+4} \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc} 2 & 2_{-2} & -2_{+6}  \\ 0 & -1 & 3  \\ 0 & -1_{+1} & 3_{-3} 
\end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc} 2_{\div 2} & 0 & 4_{\div 2}  \\ 0 & -1_{\times (-1)} & 3_{\times (-1)}  \\ 0 & 0 & 0 \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc} 1 & 0 & 2  \\ 0 & 1 & -3 \\ 0 & 0 & 0 \end{array} \right)  
\end{align*} \]

と変形できる。これは、

\[\left\{ \begin{array}{l} x+2z = 0 \\ y - 3z = 0 \end{array}\right. \]

と同じである。この式を見ると、 (x,y,z) = (-2,3,1),(-4,6,2)  ] など様々な解がある。ということで  z = t とおこう。すると、 x = -2t,  y = 3t となる。行列っぽく書くと、

\[
\left( \begin{array}{ccc} x  \\ y  \\ z \end{array} \right)
=  t \left( \begin{array}{ccc} -2  \\ 3  \\ 1 \end{array} \right) \]

となる。このときの行列  A の階数に注目してみよう。
全部0の行が1つあるので階数が1つ減って2になっている。このように列数、つまり変数の数よりも階数のほうが少ないときは解が無数に存在することがわかるだろう。

また、すべての解を表すのに必要な任意の定数の数は連立方程式の未知数(行列の列数)  n を用いて  n -  \mathrm{rank} \ A となる。(上の例だと 3 - 2 = 1 より任意の定数を1つ置いている)

同次連立方程式の解の数のまとめ
方程式の左辺の数値を入れた係数行列  A 、係数行列の列数(方程式の未知数の数)を  n とする。
(2) \mathrm{rank}\ A = n の場合
自明な解(全変数 = 0)のみ存在する。
(3) \mathrm{rank}\ A \lt n の場合
自明な解以外が存在し、解は無数に存在する。
任意の定数を  n - \mathrm{rank}\ A 個置いて解を表せる。(自由度: n - \mathrm{rank}\ A

 

3.練習

というわけで2問ほど練習してみましょう!

問題1

次の連立方程式を解き、解をすべて答えなさい。必要なら任意の定数を用いてもよい。

\[\left\{ \begin{array}{l} 2x - \ \ y + 7z + \ \ w= -4 \\ 3x - \ \ y  + 9z + 2w = -5 \\   4x + 3y  -\ \ z  + 7w= \ \ 2 \end{array}\right. \]

問題2

次の連立方程式を解き、解をすべて答えなさい。必要なら任意の定数を用いてもよい。

\[\left\{ \begin{array}{l}\ \ x - 3y - 2z - 4w= 0 \\ 2x - 6y  - \ \  z - 5w = 0 \\   \ \ x - 3y  +3z  +\ \ w= 0 \end{array}\right. \]

解答1

拡大係数行列  B をまずは作る。
係数行列  A は拡大係数行列の変形を見れば階数がわかる。

\[
A = \left( \begin{array}{cccc|c} 2 & -1 & 7 & 1 & -4  \\ 3 & -1 & 9 & 2 & -5  \\ 4 & 3 & -1 & 7 & 2 \end{array} \right)  \ 
\]

あとはこれを掃き出す。

\[ \begin{align*}  &
\left( \begin{array}{cccc|c} 2 & -1 & 7 & 1 & -4  \\ 3_{-2} & -1_{+1} & 9_{-7} & 2_{-1} & -5_{+4}  \\ 4_{+6} & 3_{-3} & -1_{+21} & 7_{+3} & 2_{-12} \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{cccc|c} 2_{-2} & -1 & 7_{-4} & 1_{-2} & -4_{+2}  \\ 1 & 0 & 2 & 1 & -1  \\ 10_{-10} & 0 & 20_{-20} & 10_{-10} & -10_{+10} \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{cccc|c} 0 & -1 & 3 & -1 & -2  \\ 1 & 0 & 2 & 1 & -1  \\ 0 & 0 & 0 & 0 & 0 \end{array} \right) 
\end{align*} \]

となり(解が出せるタイミングで変形を止めている)、これは

\[\left\{ \begin{array}{l} -y + 3z - w= -2 \\ x + 2z + w = -1  \end{array}\right. \]

という式と同じである。係数行列  A 、拡大係数行列  B の階数はともに2なので解は存在する。また、連立方程式の未知数は  x,y,z,w の4つなので、 4-2 = 2 より、すべての解を表すには2つの任意の変数が必要なことがわかる。(自由度2)

ここで、 z = s, w = t とする。( s,t は任意の定数)

すると、 x = -2s-t-1 y = 3s-t+2 となる。よって解は、

\[
\left( \begin{array}{ccc} x  \\ y  \\ z \\ w \end{array} \right)
=  s \left( \begin{array}{ccc} -2  \\ 3  \\ 1 \\ 0  \end{array} \right) 
+ t \left( \begin{array}{ccc} -1  \\ -1  \\ 0 \\ 1  \end{array} \right) 
+ \left( \begin{array}{ccc} -1  \\ 2  \\ 0 \\ 0  \end{array} \right) 
\]

となる。一応階段行列になるまで  A を変形してみると、

\[ \begin{align*}  &
\left( \begin{array}{cccc|c} 0 & -1_{\times (-1)} & 3_{\times (-1)} & -1_{\times (-1)} & -2_{\times (-1)}  \\ 1 & 0 & 2 & 1 & -1  \\ 0 & 0 & 0 & 0 & 0 \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{cccc|c} 0 & 1 & -3 & 1 & 2  \\ 1 & 0 & 2 & 1 & -1  \\ 0 & 0 & 0 & 0 & 0 \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{cccc|c} 1 & 0 & 2 & 1 & -1  \\ 0 & 1 & -3 & 1 & 2  \\ 0 & 0 & 0 & 0 & 0 \end{array} \right)
\end{align*} \]

となるのでここから変形してもOK。階段行列にしてからという指示があればここまでやるのがよい。

解答2

(右辺) = 0の同次式なので、係数行列  A だけを使って連立方程式を解く。

\[
A = \left( \begin{array}{cccc} 1 & -3 & -2 & -4   \\ 2 & -6 & -1 & -5 \\ 1 & -3 & 3 & 1  \end{array} \right) , \ 
\]

あとはこれを掃き出す。

\[ \begin{align*}  &
\left( \begin{array}{cccc} 1 & -3 & -2 & -4   \\ 2_{-2} & -6_{+6} & -1_{+4} & -5_{+8} \\ 1_{-1} & -3_{+3} & 3_{+2} & 1_{+4} \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{cccc} 1 & -3 & -2 & -4   \\ 0 & 0 & 3 & 3 \\ 0 & 0 & 5 & 5 \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{cccc} 1 & -3 & -2_{+2} & -4_{+2}   \\ 0 & 0 & 3_{\div 3} & 3_{\div 3} \\ 0 & 0 & 5_{-5} & 5_{-5} \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{cccc} 1 & -3 & 0 & -2   \\ 0 & 0 & 1 & 1 \\ 0 & 0 & 0 & 0 \end{array} \right)
\end{align*} \]

となる。これは、

\[\left\{ \begin{array}{l}x  - 3y  - 2w = 0 \\ z + w = 0  \end{array}\right. \]

という式と同じである。係数行列  A の階数は2、与えられた変数は  x,y,z,w の4つなので自明な解  (x,y,z,w)=(0,0,0,0) 以外をもち、それらの解をすべて表すには2つの任意の変数が必要なことがわかる。(自由度2)

 y = s, w = t とする。すると、 x = 3s+2t,  z = -t となる。

よって解は、

\[
\left( \begin{array}{ccc} x  \\ y  \\ z \\ w \end{array} \right)
=  s \left( \begin{array}{ccc} 3  \\ 1  \\ 0 \\ 0  \end{array} \right) 
+ t \left( \begin{array}{ccc} 2  \\ 0  \\ -1 \\ 1  \end{array} \right) 
\]

となる。

4.さいごに

今回は連立方程式を行列を使って解いてみる方法、そして連立方程式の解が係数行列、拡大係数行列の階数によってどう変わるのかなどについてまとめました。次回は、行列の割り算ともいえる逆行列の出し方についてまとめてみます。

では、また次回。

Next:逆行列

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*1:もちろん書いてもいいんですが、めんどいですよね…