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こんにちは、ももやまです!
今回はマクローリン展開などで使うn次導関数についてのまとめを記しました!

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1.高次導関数

皆さんは1回微分、2回微分の方法はすでに計算方法を学んでいますね。

例えば、\( f(x) = \sin 2x \) の1回微分は \( f(x) \) を微分して \( f'(x) = 2 \cos 2x \)、2回微分は \( f''(x) = -4 \sin 2x \) 、3回微分は \( f'''(x) = -8 \cos 2x \) となりますね。

しかし、\( n \) 回の微分の計算をわざわざ \( n \) 回微分して計算するのは非常に大変です。

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2.n次導関数

\( n \) 次導関数の求め方としては、何回か微分をして \( n \) 次導関数を推定する手法が使われます。

例題1

\( f(x) = e^{2x} \) の \( n \) 次導関数を求めなさい。

解説1

法則を見つけるために3回ほど微分してみます。

(1) 1回微分 \( f'(x) = 2 e^{2x} \)
(2) 2回微分 \( f''(x) = 4 e^{2x} \)
(3) 3回微分 \( f'''(x) = 8 e^{2x} \)

3回くらいやってみると、1回微分するたびに値は2倍になっていることに気づきますね(気づいてほしいです)。

なので、この関数の \( n \) 次導関数は \( 2^n e^{2x} \) と推定できますね。

\( n \) 回微分したときの記号は、\( f^{(n)}(x) \) や \( \frac{d^n f}{dx^n} \) と表します。

なお、厳密に \( n \) 次導関数を求める場合は、推測が正しいことを数学的帰納法で示さなければなりません。

数学的帰納法がちょっとわからないなと思った人はこちらのサイトをご覧ください。

このサイトではわかりやすく説明するために \( k \) と文字を置いて帰納法をしていますが、大学の教授によっては \( k \) をおかずに \( n \) のまま帰納法を使う人もいます。

(\( n \) のまま証明する方法もこちらに載せています)

www.momoyama-usagi.com

上の例題1の \( n \) 次導関数が本当に正しいことを数学的帰納法で証明してあげましょう。

例題1のn次導関数の証明

数学的帰納法で示す。

(i) \( n = 1 \) のとき(1回微分のとき)

\( f'(x) = 2 e^{2x} \) となるので、\( n = 1 \) のとき成立。

(ii) \( n = k \) のとき(k回微分のとき)\( f^{(k)} = 2^{k} e^{2x} \) が成立すると仮定。

\( n = k + 1 \) のとき(k+1回微分のとき)

\( f^{(k+1)}= 2^{k+1} e^{2x} \) となることを示せばよい。

\[ \left( f^{(k)} (x) \right)' = \left( 2^k e^{2x} \right)' = 2^{k+1} e^{2x} \]となり、(ii)のとき成立。

(i),(ii)より題意は満たされた。

このように証明してあげることで、本当に \( n \) 次導関数が正しいことが証明できます。

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3.ライプニッツの公式

皆さんは次のような積の微分公式は習いました。\[ \left( f(x)g(x) \right)' = f'(x)g(x) + f(x)g'(x)\]この公式は1回微分のときの積の微分公式ですね。

これを \( n \) 回微分のときでも適用できるようにしたのがライプニッツの公式となります。

ライプニッツの公式

関数 \( f(x) \), \( g(x) \) の積 \( f(x)g(x) \) の \( n \) 次導関数 \( (f g)^{(n)} \) は\[
\begin{align*}
(fg)^{(n)} & = \sum_{k=0}^n {}_n \mathrm{C} _k f^{(k)} g^{(n-k)} \\ & =
{}_n \mathrm{C} _0 f g^{(n)} + {}_n \mathrm{C} _1 f' g^{(n-1)} + \cdots + {}_n  +  {}_n \mathrm{C} _{n-1} f^{(n-1)} g' + {}_n \mathrm{C} _{n} f^{(n)} g
\end{align*}
\]

となる。

公式の形をよく見てみると、二項定理の形になっていることがわかりますね。

例えば \( n = 2 \) 、2回微分のときは \[ \left( f(x) g(x) \right)'' = f''(x) g(x) + 2 f'(x) g'(x) + f(x) g''(x) \] となります。

ライプニッツの公式を使う問題の場合のステップとしては、

  1. 関数を有限回の微分で消滅するもの \( f(x) \) と何回微分しても消滅しないもの \( g(x) \) の2つにわける。
  2. 有限回の微分で消滅する \( f(x) \) は、何次の微分まで項が残っているか*1を確認する。
  3. 何回微分しても消滅しない \( g(x) \) の \( n \) 次導関数を求める。
  4. \( f(x) \) の項が残っている範囲でライプニッツの定理を適用する。
    (\( f(x) \) の項が消滅して0になる部分は \( f(x)g(x) \) の積も0なので無視できる)

のステップで適応します。

では実際にライプニッツの公式を使って1問問題を解いてみましょう。

例題2

\( y = x^2 e^{2x} \) の \( n \) 次導関数を求めなさい。

解説2

\( f(x) = x^2 \), \( g(x) = e^{2x} \) とする。
\( f'(x) = 2x \), \( f''(x) = 2 \) となる。3回微分以降は0になるまでので、2回微分までの計算でよい。

また、\( g(x) \) の \( n \) 次導関数は何回か微分していくと \( 2^n e^{2x} \) とわかる。

あとはライプニッツの定理を適用するだけ。3次以降が0のため、2次までの計算でよい。\[\begin{align*}  \frac{d^n y}{dx^n}  = & {}_n \mathrm{C} _0 \cdot x^2 \left(2^n e^{2x} \right) + {}_n \mathrm{C} _1 \cdot 2x \left(2^{n-1} e^{2x} \right) + {}_n \mathrm{C} _2 \cdot 2 \left(2^{n-2} e^{2x} \right) \\ = & 2^{n-2} e^{2x} \left(4 x^2 + 4 n x + n(n-1) \right)
\end{align*} \]と計算できる*2

4.練習問題

では、実際に練習してみましょう。

練習1

つぎの関数の \( n \) 次導関数を求めなさい。証明はしなくてもよい。

(1) \[ y = \frac{1}{1-x}\]

(2) \[ y = x^n \]

(3) \[ y = \log (x + 1) \]

(4) \[ y = 3^x \]

(5) \[ y = \frac{1}{x^2 - 3x + 2} \]

練習2

\( y = \sin x \) の \( n \) 次導関数が \[ \frac{d^n y}{dx^n} = \sin \left(x + \frac{n}{2} \pi \right)\] になることを数学的帰納法を用いて証明しなさい。

練習3

次の \( n \) 次導関数を求めなさい。ただし、必要ならば練習2の結果を用いてもよい。証明はしなくてもよい。

(1) \[ y = x \log x \]

(2) \[ y = x^3 \sin x \]

(3) \[ y = \sin x \cos x \]

5.練習問題の答え

解答1

何回か微分して \( n \) 次導関数の項を予測する。

(1)

\( y = (1-x)^{-1} \) とすると計算がしやすくなる。

\[ y' = (1-x)^{-2} \\ y'' = 2(1-x)^{-3} \\ y''' = 6(1-x)^{-4} \\ y^{(4)} = 24(1-x)^{-5} \]と計算していくと、\[ y^{(n)} = n! (1-x)^{-1-n} = \frac{n!}{(1-x)^{(1+n)}} \]となる。

(2)\[ y' = n x^{n-1} \\ y'' = n(n-1) x^{n-2} \\ y''' = n(n-1)(n-2) x^{n-3}\]となる。

よって \( n \) 次導関数は \[ y^{(n)} = n! \]となる。

(3) \[ y' = \frac{1}{1+x} = (1+x)^{-1} \\ y'' = -(1+x)^{-2}  \\ y''' = 2(1+x)^{-3} \\ y^{(4)} = -6(1+x)^{-4}\]となる。

よって \( n \) 次導関数は \[ (-1)^{n-1} (n-1)! (1+x)^{-n} = \frac{(-1)^{n-1} (n-1)!}{(1+x)^n}\]となる*3

(4)

\( 3^x \) の微分は対数微分法を用いる。\[ \log y = x \log 3 \\ \frac{y'}{y} = \log 3 \\ y = 3^x \cdot \log 3 \]と微分できる。
\[y' =3^x \cdot \log 3  \\ y'' = 3^x \left( \log 3 \right)^2  \\ y''' =3^x \left( \log 3 \right)^3 \]となるので \( n \) 次導関数は \[ y^{(n)} = 3^x\left( \log 3 \right)^n  \] となる。

(5)

部分分数展開を行う。\[\frac{1}{x^2 - 3x + 2} = \frac{1}{1-x} -  \frac{1}{2-x} \]と変形ができる。

あとは \( \frac{1}{1-x} \)((1)で計算済) と \( \frac{1}{2-x} \) の \( n \) 次導関数を別々に求めればよい。

\( \frac{1}{2-x} \) の \( n \) 次導関数を求める。

\( y = (2-x)^{-1} \) とすると計算がしやすくなる。

\[ y' = (2-x)^{-2} \\ y'' = 2(2-x)^{-3} \\ y''' = 6(2-x)^{-4} \\ y^{(4)} = 24(2-x)^{-5} \]と計算していくと、\[ y^{(n)} = n! (2-x)^{-1-n} = \frac{n!}{(2-x)^{(1+n)}} \]となる。

よって(5)の \( n \) 次導関数は、\[ y^{(n)} = n! (1-x)^{-1-n} - n! (2-x)^{-1-n} =n! \left( \frac{1}{(1-x)^{(1+n)}} - \frac{1}{(2-x)^{(1+n)}} \right) \]となる。

解答2

数学的帰納法で示す。

(i) \( n = 1 \) のとき、\[ y' = \sin \left(x + \frac{1}{2} \pi \right) = \sin x \cos \frac{\pi}{2} + \cos x \sin \frac{\pi}{2} = \cos x\]となり、(i)は成立。

(ii) \( n = k \) のとき、\[ y^{(k)} = \sin \left(x + \frac{k}{2} \pi \right)\]が成立すると仮定。

\( n = k + 1 \) のとき、\[ y^{(k+1)} = \sin \left(x + \frac{k + 1}{2} \pi \right)\]が成立することを示せばよい。

\[ \begin{align*} y^{(k+1)}  = \left( y^{(k)} \right)'& = \left(\sin \left(x + \frac{k}{2} \pi \right) \right)' \\ & = \cos \left(x + \frac{k}{2} \pi \right) \\ & =\sin \left(x + \frac{k}{2} \pi + \frac{\pi}{2} \right) \\ & =\sin \left(x + \frac{k + 1}{2} \pi \right)
\end{align*} \]となり、(ii)も成立。

(i),(ii)より、題意は満たされた。

解答3

ライプニッツの公式を使って計算をしていく。

(1) \( f(x) = x \), \( g(x) = \log x \) とする。

\( f'(x) = 1 \)、2回以上の微分で \( f(x) \) の項は0になるので、1回微分までを考えればよい。

また、\( g(x) = \log x \) を何回も微分すると、\[ g'(x) = \frac{1}{x} = x^{-1} \\ g''(x) = - x^{-2} \\ g'''(x) = -2x^{-3} \\ g^{(4)}(x) = 6 x^{-4} \]となる。

よって \( n \) 次導関数は、\[(n-1)! \cdot (-1)^{(n-1)} x^{-n} = \frac{(n-1)! (-1)^{n-1}}{x^n}  \]となる。

よって(1)の導関数は、\[\begin{align*}  \frac{d^n y}{dx^n}  = & {}_n \mathrm{C} _0 \cdot x \left(\frac{(n-1)! (-1)^{n-1}}{x^n} \right) + {}_n \mathrm{C} _1 \cdot 1 \left( \frac{(n-2)! (-1)^{n-2}}{x^{n-1}} \right)
\\ = & \frac{1}{x^{n-1}} \left((n-1)! (-1)^{n-1} + n (n-2)! (-1)^{n-2}     \right)
\end{align*} \]

(2) \( f(x) = x^3 \), \( g(x) = \sin x \) とする。

\( f'(x) = 3x^2 \), \( f''(x) = 6x \), \( f'''(x) = 6 \) となる。4次以上の微分で項が0になるまで、3次までを考えればよい。

また、\( g(x) \) の \( n \) 次導関数は \[ g^{(n)}(x) = \sin \left( x + \frac{n}{2} \pi \right) \]なので、(2)の導関数は、\[\begin{align*}  \frac{d^n y}{dx^n}  = & {}_n \mathrm{C} _0 \cdot x^3 \left( \sin \left( x + \frac{n}{2} \pi \right)  \right) + {}_n \mathrm{C} _1 \cdot 3x^2 \left( \sin \left( x + \frac{n-1}{2} \pi \right)  \right) \\ + & {}_n \mathrm{C} _2 \cdot 6x \left( \sin \left( x + \frac{n-2}{2} \pi \right)  \right) + {}_n \mathrm{C} _3 \cdot 6 \left( \sin \left( x + \frac{n-3}{2} \pi \right)  \right)
\\ = &
x^3 \left( \sin \left( x + \frac{n}{2} \pi \right)  \right) + 3 n x^2  \left( \sin \left( x + \frac{n-1}{2} \pi \right)  \right) \\ + &  3n (n-1) x \left( \sin \left( x + \frac{n-2}{2} \pi \right)  \right) + n(n-1)(n-2) \left( \sin \left( x + \frac{n-3}{2} \pi \right)  \right)
\end{align*} \]となる。

(3) 一見ライプニッツを使うように見えるが、実は倍角の公式を使うことでかなり簡単に \( n \) 次導関数を求めることができる。

\[ \sin x \cos x = \frac{1}{2} \sin 2x \] なので、これを何回か微分をする。

\( y' = \cos 2x \), \( y'' = 2 \sin 2x \), \( y''' = 4 \cos 2x \) となる。また、練習2の結果より \( n \) 次導関数は、\[ 2^{n-1} \sin \left(2x + \frac{n}{2} \pi  \right) \]となる。

6.さいごに

今回は、\( n \) 次導関数の求め方、およびライプニッツの公式についてのまとめ、および練習問題のまとめをしました。

\( n \) 次導関数を厳密に求める場合は、推測したあとに数学的帰納法で証明する必要があるので注意してください。

また、ライプニッツの公式は有限回の微分で0になる \( f(x) \) と無限回微分しても0にならない \( g(x) \) にわけることがポイントとなります。

次回は様々な関数を多項式のみで表現することができるマクローリン展開・テイラー展開についてまとめてみたいと思います。

*1:何回微分したら0になるかの確認のこと。例えば \( x^5 \) だと、5回微分で120となり、これを微分すると0になる。つまり5次の微分まで項が残っていることがわかる。

*2:\( {}_n \mathrm{C} _1 \), \( {}_n \mathrm{C} _2 \), \( {}_n \mathrm{C} _3 \) の計算はそれぞれ\[{}_n \mathrm{C} _1 = n , \ \ {}_n \mathrm{C} _2 = \frac{n (n-1)}{2}, \ \ {}_n \mathrm{C} _3 = \frac{n (n-1)(n-2)}{6} \]となる。

*3:奇数回微分したとき正、偶数回微分したとき負というのは、\( (-1)^{n-1} \) もしくは \( (-1)^{n+1} \) と表すことができる。

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