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こんにちは、ももやまです。
今回は差分方程式(漸化式)を行列の
前回の記事(行列の
普通に差分方程式(漸化式)を解く方法はこちら!
★注意★
この記事では、初項を
また、人によっては
例:
目次 [hide]
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1.行列を用いた連立漸化式
まずは、2次連立漸化式を行列で解く流れを誘導付きの例題で見ていきましょう。
例題1
初項
の
(1)
(2)
(3) 行列
(4)
(5)
解説1
(1)
与えられた漸化式(差分方程式)を行列で表すだけ。
(2)
(3)
固有値を
よって、
(i) 固有値が1のときの固有ベクトル
(ii) 固有値が4のときの固有ベクトル
(4)
求め方は2パターン
[パターン1:行基本変形で求める][パターン2:逆行列を用いる]
より、
※1次結合は2次の場合は逆行列(パターン2)を、3次以上の場合は行基本変形で求めること(パターン1)をおすすめします。
(5)
行列のべき乗
固有値
ここで、
ここで、
よって、一般項は
ポイントは、
固有値
ここで、固有値と固有ベクトル
今回は
一般項を求めるまでの流れは、
- 漸化式を行列やベクトルを用いて表す
- 行列の固有値、(固有値に属する)固有ベクトルを求める
- 初項ベクトルを2で求めた固有ベクトルの1次結合で求める
を用いて一般項を求める
となります。
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2.隣接3項間漸化式(差分方程式)
行列の置き方を工夫することで、隣接3項間漸化式を解くこともできます。
例題2
の初期値による特殊解を求めたい。
(1)
以降、
(2) 行列
(3) 初項を表すベクトル
(4)
解説2
(1)
差分方程式の形を変え、
(2)
固有値を
よって、
(3)
固有値を
よって、
固有値が1のときの固有ベクトル
固有値が2のときの固有ベクトル
(4)
求め方は2パターン
[パターン1:行基本変形で求める][パターン2:逆行列を用いる]
となり、
(5)
ここで、
よって、一般項は
参考までに隣接4項間の差分方程式を行列に変換する方法も下に記しておきます。
隣接4項間漸化式は練習問題のほうに1問用意したのでチャレンジしたい方はぜひチャレンジしてみてください!
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3.練習問題
では、3問ほど練習してみましょう。
練習1
とある大学の休憩コーナー(通称:LA)では、毎日12時になるとご飯を食べるための座席(陣地)を占領するために大量の人が訪れる。
しかし、LAの陣地はあまり広くないため、陣地を占領するためのナワバリバトルが生徒組と教授組の間で毎日繰り広げられ戦争となる。
ナワバリバトルの結果は不思議なことにつぎのような一定確率で決まる。
当日の争いで生徒組が勝った場合、翌日の争いで勝つ確率は 6/7、負ける確率は 1/7 となる。
当日の争いで生徒組が負けた場合、翌日の争いで勝つ確率は 3/7、負ける確率は 4/7 となる。
戦争開始日を0日目とし、0日目の争いでは生徒組が勝利したとき、つまり
(1)
(2)
(ヒント
(3) 行列
(4) ベクトル
(5)
(6) 十分長い間ナワバリバトルが行われたときの生徒お組の勝利確率を
練習2 [名古屋大学(理系)前期日程 問題3]
大学入試の問題を行列を使って解いてみましょう!
もとの問題はこちらから!
はじめにAくんが赤玉を1個、Bくんが白玉を1個、Cくんが青玉を1個もっている。表裏の出る確率がそれぞれ1/2の硬貨を投げ、表が出ればAとBの玉を交換し、裏が出ればBとCを玉が交換する。という操作を考える。この操作を
このとき、
このとき、つぎの問いに答えなさい。
(1)
(2)
(3) 行列
(4)
(5)
(6)
練習3
差分方程式
の初期値による特殊解を求めたい。差分方程式を変形し、
(1)
(2) 行列
(3) 行列
(4)
(5)
解答1
(1)
(2)
(3)
固有値を
(i) 固有値が1のときの固有ベクトル
(ii) 固有値が3/7のときの固有ベクトル
(4)
求め方は2パターン
[パターン1:行基本変形で求める][パターン2:逆行列を用いる]
となる。よって、
(5)
ここで、
よって、一般項は
(6)
((5)の計算よりもこちらのほうが簡単かも)
よって、十分な回数硬貨を投げると
解答2
(1)
与えられた漸化式(差分方程式)を行列で表すだけ。
(2)
行列の積を計算するだけ。
(3)
ここからがオリジナル問題。
固有値を
となる。
ここで、
(i) 固有値が1のときの固有ベクトル
(ii) 固有値が1/2のときの固有ベクトル
(iii) 固有値が-1/2のときの固有ベクトル
(4)
3次正方行列の逆行列はあまりおすすめしないので素直に行基本変形で求める。
[パターン1:行基本変形で求める]
(5)
ここで、
よって、一般項は
(6)
((5)の計算よりもこちらのほうが簡単かも)
よって、十分な回数硬貨を投げると
解答3
(1)
(2)
実はこの固有値問題は行基本変形で簡単な形にするのが難しい、行列の0の成分が2つあることなどからサラスの公式でゴリ押しで求めたほうが早く固有値を出せる。
固有値を
(i) 固有値が2のときの固有ベクトル
(ii) 固有値が3のときの固有ベクトル
(iii) 固有値が5のときの固有ベクトル
(4)
3次正方行列の逆行列はあまりおすすめしないので素直に行基本変形で求める。
(5)
ここで、
よって、一般項は
4.さいごに
今回は差分方程式(漸化式)を行列を用いて解く流れを例題などで説明しました。
実際に差分方程式を解く際にはおそらく行列を使わないこちらの解き方のほうがかなり早く出せるので、線形代数の練習をしたいときや問題文で指示されたとき以外は行列で解かないほうがいいかもしれません。
また、万が一漸化式を直した行列
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