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工業大学生ももやまのうさぎ塾

4年間+2年間の工業大学・大学院で学んだ知識やためになることを投稿していきます

うさぎでもわかる解析 Part14 偏微分(偏導関数・偏微分係数の計算方法)

こんにちは、ももやまです。
今回は2変数以上の関数の微分、偏微分についてまとめたいともいます。

 

 

1.偏微分・偏導関数・偏微分係数

偏微分というと難しそうに聞こえるのですが、大したことはありません。

微分したい変数を1つ決め、残りの変数はただの定数とみなして微分をする、ただこれだけです。

例えば、関数  f(x,y) x についての偏微分であれば、 x 以外はただの定数とみなして微分をします。微分した結果を偏導関数と呼びます。

また、 x についての偏導関数の記号は以下のようなもので表されます。\[
f_x (x,y), \ \ f_x, \ \ \frac{\partial f}{\partial x},  \ \ \frac{\partial}{\partial x} f(x,y)
\]同様に、 y についての偏導関数の記号は以下のようなもので表されます。\[
f_y (x,y), \ \ f_y, \ \ \frac{\partial f}{\partial y},  \ \ \frac{\partial}{\partial y} f(x,y)
\]

偏導関数の定義を下に記します。

 

偏導関数の定義

関数  f(x,y) x,y それぞれの偏導関数は、\[ f_x (x,y) = \lim_{h \to 0} \frac{f(x+h,y) - f(x,y)}{h} \\ f_y (x,y) = \lim_{h \to 0} \frac{f(x,y+h) - f(x,y)}{h} \]で表される。

2変数関数の偏導関数を求めなさい。という問題があった場合、指示がない限り  x についての偏導関数、 y についての偏導関数の2つの両方を求めてください。

 

例題1

定義に従って、  f(x,y) = x y^2 の偏導関数を求めなさい。

解答1

\[\begin{align*} f_x (x,y) & = \lim_{h \to 0} \frac{f(x+h,y) - f(x,y)}{h}
\\ & = \lim_{h \to 0} \frac{(x+h) y^2 - xy^2}{h}
\\ & = \lim_{h \to 0} \frac{xy^2 + h y^2 - xy^2}{h}
\\ & = \lim_{h \to 0} \frac{hy^2}{h}
\\ & = y^2
\end{align*} \] 

\[\begin{align*} f_y (x,y) & = \lim_{h \to 0} \frac{f(x,y+h) - f(x,y)}{h}
\\ & = \lim_{h \to 0} \frac{x (y+h)^2 - xy^2}{h}
\\ & = \lim_{h \to 0} \frac{xy^2 + 2xyh + x h^2  - xy^2}{h}
\\ & = \lim_{h \to 0} \frac{2xyh + x h^2}{h}
\\ & = \lim_{h \to 0} 2xy + xh
\\ & = 2xy
\end{align*} \]

 

また、偏導関数の点  (a,b) における値が  f(x,y) (a,b) における偏微分係数となります。

 

点 (a,b) における偏微分可能性

関数  f(x,y) が点  (a,b) において、\[ f_x (a,b) = \lim_{h \to 0} \frac{f(a+h,b) - f(a,b)}{h} \\ f_y (a,b) = \lim_{h \to 0} \frac{f(a,b+h) - f(a,b)}{h} \]の  f_x (a,b) f_y (a,b) の値が存在するとき、関数  f(x,y) は点  (a,b) において、偏微分が可能と言える。

また、偏微分が可能なときの  f_x (a,b) f_y (a,b) を2変数関数  f(x,y) の点  (a,b) における偏微分係数と言う。  

つまり、

 f_x (a,b) x で偏微分したときの  (a,b) における値
 f_y (a,b) y で偏微分したときの  (a,b) における値

を表します。

例題2

\[ f(x,y) = 9x^2 - 6xy + 4y^2 \]の偏導関数と点  (1,2) における偏微分係数を求めなさい。

解説2

\[ f_x = 18x - 6y , \ \ f_y = -6x + 8y \]となる。またそれぞれの偏導関数に  (x,y) = (1,2) を代入すると\[ f_x (1,2) = 6 , \ \ f_y = 10 \] となる。

 

例題3

つぎの関数\[ f(x,y) = \left\{ \begin{array}{l} \ \ \frac{3 x^2 y^2}{x^2 + y^2} \ \ & (x,y)  \not  = (0,0)  \\ \ \ \ \ \ \ 0  & (x,y) = (0,0)  \end{array}\right.\]の原点における連続性を調べなさい。

解説3

上で説明した偏微分可能性の式に入れて極限を計算します。

\[ f_x(0,0) = \lim_{h \to 0} \frac{f(h,0) - f(0,0)}{h} = \lim_{h \to 0} \frac{0}{h} = 0 \\ f_y(0,0) = \lim_{k \to 0} \frac{f(0,k) - f(0,0)}{k} = \lim_{k \to 0} \frac{0}{k} = 0 \]より、 f_x (0,0) = 0, \ \ f_y =(0,0) = 0 と計算することができます。

 

2.第2次偏導関数・高次偏導関数

1変数関数での第2次導関数・高次導関数を求めるのと同じように、第2次偏導関数・高次偏導関数も求めることができます。

ただし、高次偏導関数の場合も1次の偏導関数と同様にどの変数で偏微分したかを表さなければなりません。

例えば、第2次偏導関数の場合は

  1.  x で偏微分 →  x で偏微分
  2.  x で偏微分 →  y で偏微分
  3.  y で偏微分 →  x で偏微分
  4.  y で偏微分 →  y で偏微分

の4通りの偏導関数があります。

 

例えば 1の  x で偏微分し、さらに  x で偏微分した場合は次のような記号で表されます。\[
f_{xx} (x,y), \ \ f_{xx}, \ \ \frac{\partial^2 f}{\partial x^2},  \ \ \frac{\partial^2}{\partial x^2} f(x,y)
\]同様に、 x で偏微分し、さらに  y で偏微分した場合は次のような記号で表されます。\[
f_{xy} (x,y), \ \ f_{xy}, \ \ \frac{\partial^2 f}{\partial y \partial x},  \ \ \frac{\partial^2 }{\partial y \partial x} f(x,y)
\]ここで、微分の順番の表し方に注意が必要です。

先程説明した  x で偏微分したあとに  y で偏微分したときの記号は、\[ f_{xy} = (f_x)_y , \ \ \frac{\partial^2 f}{\partial y \partial x} = \frac{\partial}{\partial y} \left( \frac{\partial f}{\partial x} \right) \]となっています。

 

2変数関数の第2次偏導関数を求めなさい。という問題があった場合、指示がない限り4通り(上で説明したやり方)すべての偏導関数を求めてください。

 

では再び例題で練習してみましょう。

 

例題4

\[ f(x,y) = x^3 + x^2 y + 3x y^2 - 4y^3 \]の第2次偏導関数を求めなさい。

解説4

まずは第1次偏導関数を求める。\[ f_x = 3x^2 + 2xy + 3y^2 , \ \ \ f_y = x^2 + 6xy - 12y^2\]となる。ここから第2次偏導関数を求める。\[f_{xx} = 6x + 2y, \ \ f_{xy} = 2x + 6y, \\ f_{yx} = 2x + 6y \ \ f_{yy} = 6x - 24y\]となる。

 

例題3の計算をすると、「 x の偏微分 →  y の偏微分( f_{xy})」と「 y の偏微分 →  x の偏微分( f_{yx})」が一緒になりましたね。

実はこれは偶然ではなく、下に示す条件を満たしていれば必ず成り立つのです。

 

2変数関数の偏微分の順序交換可能な条件

厳密な定理

2変数関数が  C^2*1の関数(すべての2次までの偏導関数が存在し、かつ連続である)であるとき、 f_{xy} = f_{yx} となる。

ちょっとゆるい定理定理

2変数関数  f(x,y) f_{xy} f_{yx} が存在し、ともに連続であるとき  f_{xy} = f_{yx} となる。

 

この条件は、3次以上の偏導関数・3変数以上の関数についても同様に成り立ちます。

条件が少し難しいかもしれませんが、この条件を考えないといけないのは偏微分の順序交換可能かどうかを聞かれたときくらいです。

 

ほとんどの関数(多項式・累乗根・指数関数・対数関数・三角関数・逆三角関数の四則演算とその合成関数)の場合は偏微分の順序交換は可能だと思ってもらって構いません。

 

もちろんこのブログに出てくる例題や練習問題に出てくる関数も指示がない限り偏微分の順序交換は特に考えなくてもよいです。

 

偏微分の順序交換が不可能な例はまた別の機会に紹介をしたいと思います。

 

3.練習問題

では実際に解いていきましょう。

練習1

つぎの(1)~(4)の偏導関数、指定された点における偏微分係数をそれぞれ求めなさい。

(1) \[ f(x,y) = x^2 - 2xy + 5y^2 \ \ \ \ (1,1) \]

(2) \[ f(x,y) = e^{3x} \sin y, \ \ \ \ (0,\pi) \]

(3) \[ f(x,y) = \frac{x^2}{y} \ \ \ \ (1,2) \]

(4) \[ f(x,y) = \tan^{-1} \frac{y}{x} \ \ \ \ (1,1) \]

 

練習2

つぎの(1)~(4)の第2次偏導関数を求めなさい。

(1) \[ f(x,y) = 2x^3 + 5x^2 y - 4 x y^2 + 3 y^3 \]

(2) \[ f(x,y) = 2x \sin ( x + y) \]

(3) \[ f(x,y) = \frac{y}{3x + y} \]

(4) \[ f(x,y) = y \log x \]

 

練習3

つぎの(1), (2)が調和関数であることを示しなさい。

ただし、調和関数とはラプラス方程式  f_{xx} + f_{yy} = 0 を満たす関数のことをいう。

(1) \[ e^x ( \sin y + \cos y) \]

(2) \[ \log \left( x^2 +  y^2 \right) \]

 

4.練習問題の解答

解答1

(1) \[ f_x = 2x - 2y , \ \ \ f_x(1,1) = 0 \\ f_y = -2x + 10y , \ \ \ f_y(1,1) = 8 \]

(2) \[ f_x = 3e^{3x} \sin y, \ \ \ f_x(0,\pi) = 0 \\ f_y = e^{3x} \cos y , \ \ \ f_y(0,\pi) = -1 \]

(3) \[ f_x = \frac{2x}{y}, \ \ \ f_x(1,2) = 1 \\ f_y = - \frac{x^2}{y^2} , \ \ \ f_y(1,2) = -\frac{1}{4} \]

(4) \[\begin{align*} f_x & = \frac{1}{1+\left( \frac{y}{x} \right)^2 } \cdot \left( -\frac{y}{x^2} \right) 
\\ & = \frac{1}{\frac{x^2 + y^2}{x^2}} \cdot \left( -\frac{y}{x^2} \right) 
\\ & = \frac{x^2}{x^2 + y^2} \cdot \left( -\frac{y}{x^2} \right) 
\\ & = - \frac{y}{x^2 + y^2}
\end{align*} \]となる。同様に\[\begin{align*} f_x & = \frac{1}{1+\left( \frac{y}{x} \right)^2 } \cdot \frac{1}{x}
\\ & = \frac{1}{\frac{x^2 + y^2}{x^2}} \cdot \frac{1}{x}
\\ & = \frac{x^2}{x^2 + y^2} \cdot \frac{1}{x}
\\ & = \frac{x}{x^2 + y^2}
\end{align*} \]となる。また偏微分係数は、\[ f_x(1,1) = -  \frac{1}{2} , \ \ \  f_y(1,1) = \frac{1}{2} \]と求められる。

解答2

(1) \[ f_x = 6x^2 + 10 xy - 4y^2, \ \ \ f_y = 5x^2 - 8xy + 9y^2 \]となる。ここから第2次偏導関数を求める。\[f_{xx} = 12x + 10y \\ f_{xy} = f_{yx} = 10x - 8y  \\ f_{yy} = -8x + 18y\]となる。

(2) \[ f_x = 2 \sin (x+y) + 2x \cos (x+y) \\ f_y = 2x \cos (x+y) \]となる。

すると第2次導関数は、\[ \begin{align*} f_{xx} & = 2 \cos (x+y) - 2x \sin(x+y) + 2 \cos(x+y) \\ & = 4 \cos (x+y) - 2x \sin(x+y)
\end{align*}\]

\[f_{xy} = f_{yx} = 2 \cos(x+y) - 2x \sin (x+y)
 \\ f_{yy} = -2x \sin (x+y)
\]となる。

(3) \[ f_x = - \frac{3y}{(3x+y)^2} \\ f_y = \frac{(3x+y) - y}{(3x+y)^2} = \frac{3x}{(3x+y)^2} \]となる。

第2次導関数は、\[\begin{align*} f_{xx} & = - \frac{- 3y \cdot 6(3x+y)}{(3x+y)^4} \\ & = \frac{18y}{(3x+y)^3} \end{align*} \]

\[\begin{align*} f_{xy} = f_{yx} & = \frac{- 3 (3x+y)^2 + 3y \cdot 2(3x+y)}{(3x+y)^4}
\\ & = \frac{- 3 (3x+y) + 6y }{(3x+y)^3}
\\ & = \frac{3y - 9x}{(3x+y)^3}
\end{align*} \]

\[\begin{align*} f_{yy} & = \frac{- 3x \cdot 2(3x+y) }{(3x+y)^4}
\\ & = - \frac{6x}{(3x+y)^3}
\end{align*} \]となる。

(4) \[ f_x = \frac{y}{x} , \ \ \ f_y = \log x \]となる。

第2次導関数は、\[ f_{xx} = - \frac{y}{x^2} \\ f_{xy} = f_{yx} = \frac{1}{x} \\ f_{yy} = 0\]となる。

 

練習3

 

(1) \[ f_{x} = e^x ( \sin y + \cos y) \\ f_{y} = e^x ( \cos y - \sin y) \]

\[f_{xx} = e^x ( \sin y + \cos y) \]

\[\begin{align*} f_{yy} & =  e^x ( - \sin y - \cos y)
\\ & = - e^x ( \sin y + \cos y)
\end{align*} \]となる。よって、\[\begin{align*} 
f_{xx} + f_{yy} =  e^x ( \sin y + \cos y) - e^x ( \sin y + \cos y) = 0
\end{align*} \]となり、題意は満たされた。

 

(2) \[ f_{x} = \frac{2x}{x^2 + y^2}, \ \ f_{y} = \frac{2y}{x^2 + y^2} \]より、\[\begin{align*}
f_{xx} & = \frac{2 (x^2 + y^2) - 2x \cdot 2x}{(x^2 + y^2)^2}
\\ & = \frac{-2x^2 + 2y^2}{(x^2 + y^2)^2}
\end{align*} \]

\[\begin{align*}
f_{yy} & = \frac{2 (x^2 + y^2) - 2y \cdot 2y}{(x^2 + y^2)^2}
\\ & = \frac{2x^2 - 2y^2}{(x^2 + y^2)^2}
\end{align*} \]と計算できる。よって、\[\begin{align*} 
f_{xx} + f_{yy} =  \frac{-2x^2 + 2y^2}{(x^2 + y^2)^2} +  \frac{2x^2 - 2y^2}{(x^2 + y^2)^2} = 0
\end{align*} \]となり、題意は満たされた。

 

5.さいごに

今回は偏微分についてのまとめを行いました。

偏微分は微分する以外のものを定数とするということがわかればそこまで難しくはないことがわかりますね。

また、数3などの微積が苦手な人は特に計算練習をしておくとこれから先の解析学の単元においてもスムーズに勉強できるかと思います。

*1: C^n 級の関数とは、 n 次までのすべての偏微分が存在し、かつ連続な関数のことを表します。例えば、 C^3 級関数であれば、3次までのすべての偏微分が存在、かつ連続である関数です。