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こんにちは! ももやまです!
今回は、試験で頻出する、文字が入った行列の階数の求め方のコツを紹介します。
行列の階数の基本的な求め方については、こちらの記事にまとめているので、階数自体の求め方が……、という人はこちらの記事をご覧ください。
※注意
- 行列の変形途中に一部の成分に書かれている小さい数字はどこをどう変形したかをわかりやすく表示するためのメモです。
- 今回は階数の判別だけを行っているため、わざわざ階段行列まで変形していません。階数がわかる段階で変形をストップしています。
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1.例題
早速ですが例題を1つ出します。
この問題には、2つの解き方があります。
(1) 素直に行基本変形していく
まずは、素直に行基本変形をしていく方法を紹介します。\[
\begin{align*} & \ \left( \begin{array}{cccc} 1 & 2 & 5 \\ -1_{+1} & 3_{+2} & 0_{+5} \\ 3_{-3} & -1_{-6} & a_{-15} \end{array} \right) \\ \to \ & \
\left( \begin{array}{cccc} 1 & 2 & 5 \\ 0 & 5_{\div 5} & 5_{\div 5} \\ 0 & -7_{+7} & a-15_{+7} \end{array} \right) \\ \to \ & \
\left( \begin{array}{cccc} 1 & 2 & 5 \\ 0 & 1 & 1 \\ 0 & 0 & a-8 \end{array} \right)
\end{align*}
\]
と変形できます。すると、\( a = 8 \) のときだけ3行目が全部0になるので階数が1減って2になることがわかりますね。
このようにして、行基本変形して求めるのが基本スタイルです。
(2) 行列式を求める
行基本変形なんてしたくない!なんていうそこのあなたへ。
実は行列式を求めてしまえば階数が2となる \( a \) の値はわかってしまうのです。
行列式の出し方については、こちらの記事をご覧ください。
行列の行列式と階数には以下の関係があります。
\( n \) 次正方行列 \( A \) の階数は、
- \( |A| \not = 0 \) のとき … \( \mathrm{rank}\ A = n \)
- \( |A| = 0 \) のとき … \( \mathrm{rank}\ A \lt n \)
である。
しかし、行列式を使って階数を判定する場合には注意点があります。
この2点に注意が必要です。
また、4次以上の正方行列の場合、サラスの公式で行列式が出せないため、行基本変形で階数を求める場合よりもかえって時間がかかることが多いです。
今回は3次の正方行列なので、実際にサラスの公式で行列式を求めて \( a \) を求めてみましょう。\[
\begin{align*} \left| \begin{array}{cccc} 1 & 2 & 5 \\ -1 & 3 & 0 \\ 3 & -1 & a \end{array} \right| = 3a + 5 - (45-2a) = 5a - 40
\end{align*}
\]となりますね。*3今回の場合、階数が2になるためには行列式が0にならなければいけません。つまり、 \( 5a - 40 = 0 \) となればいいので、\( a = 8 \) と求めることができます。
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2.練習
では、1問練習してみましょう!
先程と同じ3次正方行列で行きたいとおもいます。
問題
解答1 行基本変形バージョン
\[
\begin{align*} & \ \left( \begin{array}{cccc} 3_{-6} & a_{-6} & 2_{-2} \\ 3 & 3 & 1 \\ 2_{-9} & -5_{-9} & 3_{-3} \end{array} \right) \\ \to \ & \
\left( \begin{array}{cccc} -3_{+3} & a-6_{+6} & 0 \\ 3 & 3 & 1 \\ -7_{\div (-7)} & -14_{\div (-7)} & 0 \end{array} \right) \\ \to \ & \
\left( \begin{array}{cccc} 0 & a & 0 \\ 3 & 3 & 1 \\ 1 & 2 & 0 \end{array} \right)
\\ \to \ & \
\left( \begin{array}{cccc} 3 & 3 & 1 \\ 1 & 2 & 0 \\ 0 & a & 0 \end{array} \right)
\end{align*}
\]より、\( a = 0 \) のとき、1つの行がすべて0になるため、階数が2となり、それ以外(\( a \not = 0 \))のとき階数は3となる。
解答2 行列式バージョン
行列 \( A \) の行列式を求める。\[
\begin{align*} \left| \begin{array}{cccc} 3 & a & 2 \\ 3 & 3 & 1 \\ 2 & -5 & 3 \end{array} \right| = 27 + 2a - 30 - (12 + 9a -15) = -7a
\end{align*}
\]となり、\( a = 0 \) のときの階数は2 *4、\( a \not = 0 \) のときの階数は3となる。
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3.さいごに
今回は、文字式が入っている階数の求め方を簡単にまとめてみました。
私個人のおすすめですが、
- 2次正方行列・3次正方行列かつ文字が1つなら行列式
- それ以外は行基本変形
で計算するのがおすすめです…!
期末試験などで必須なので、2パターンともマスターしておきましょう!
*1:行数と列数が等しい行列のこと
*2:行列を掃き出すと全部0の行が登場し、階数が行の数よりも小さくなること。
*3:もしこの部分が0になってしまった場合は \( a \) の値によらず階数は2以下となる。この場合は大人しく行基本変形で階数を求める必要がある。
*4:正確には、行列式だけでは行列の階数が2と断定はできない(2以下は示せるが2とは限らない、1の可能性あり)が、\( a \not = 0 \) のときは行列式が0にならないため、階数が3となり、 未知数 \( a \) は1つの成分にしか置かれていないため、\( a \) の有無により階数は最大1しか変わらない。よって今回は階数2と断定することができる。
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