Web Analytics Made Easy - StatCounter

工業大学生ももやまのうさぎ塾

うさぎでもわかるをモットーに大学レベルの数学・情報科目をわかりやすく解説!

うさぎでもわかる解析 Part18 偏微分を用いた陰関数微分・陰関数定理

こんにちは、ももやまです。

今回は偏微分を用いた陰関数表記された式を微分すること、および陰関数定理についてまとめていきたいと思います。

 

 

前回の記事(Part17)はこちら!

www.momoyama-usagi.com

 

 

1.陰関数とは

まずは、陰関数とはなにかを簡単にですが説明したいと思います。

皆さんがよく使う形  y = f(x) は、陽関数と呼ばれます。

 

一方陰関数とは、\[
x^2 + y^2 = 4
\]のように明示的( y = f(x) の形)に  x,  y の関係が示されていないものを表します*1

 

2.陰関数定理(陰関数の導関数の求め方)

偏微分を用いると陰関数表記であったとしても導関数  \frac{dy}{dx} を簡単に求めることができます。

 

    

偏微分を用いた陰関数表記の導関数(陰関数定理)

方程式  f(x,y) = 0 からなる関数  y = g(x)導関数  \frac{dy}{dx} は、 f_y \not = 0 のとき、\[
\frac{dy}{dx} = - \frac{f_x}{f_y}
\]で求められる。

また、関数  g(x) のことを  f(x,y) から定まる陰関数と呼ぶ。

 f_y \not = 0 のときは陰関数が存在しないので注意!!)

上の定理のことを陰関数定理と呼びます*2

 

簡単にですが式の導出法を説明したいと思います。

方程式  f(x,y) = 0 で定まる関数  y = g(x) があるとします。この式の両辺を  x で微分すると、\[
\frac{d}{dx} f(x,g(x) ) = f_x + \frac{dy}{dx} f_y = 0
\]となります。この式を移行すると、\[
\frac{dy}{dx} = - \frac{f_x}{f_y}
\]が導けます。

 

例題で1問解いてみましょう。

例題1

つぎの方程式\[ x^2 - 4y^2 = 1 \]で定まる関数  y = f(x) の導関数  \frac{dy}{dx} を求めなさい。

解説1

右辺を  = 0 の形にすると、 x^2 - 4y^2 - 1 = 0 となるので、\[
f(x,y) = x^2 - 4y^2 - 1
\]とする。ここで  f(x,y) の偏微分は、\[
f_x = 2x , \ \ \ f_y = -8y
\]となる。よって導関数は、\[
\frac{dy}{dx} = - \frac{2x}{-8y} = \frac{x}{4y}
\]となる。

 

[別解(高校で習った解き方)]

偏微分を使わずに解く。\[ x^2 - 4y^2 = 1 \]の両辺を  x で微分すると、\[
2x - 8y \frac{dy}{dx} = 0
\]となるので、\[
\frac{dy}{dx} = \frac{x}{4y}
\]と求められる*3

 

このように偏微分を用いると簡単に陰関数表記であっても簡単に導関数  \frac{dy}{dx} が出せることがわかりますね。

 

3.偏微分を用いた陰関数の2回微分

陰関数表記の2回微分  \frac{ d^2 y}{dx^2} はどう表されるのでしょうか。

    

偏微分を用いた2回陰関数微分

2変数  x,y で表される陰関数表記の式  f(x,y) = 0 の2次導関数  \frac{d^2y}{dx^2} は、 f_y \not = 0 のとき、\[
\frac{d^2y}{dx^2} = - \frac{f_{xx} f_y^2 - 2 \ f_{xy} f_x f_y + f_{yy} f_x^2}{f_y^3}
\]で求められる。

式が結構複雑な形ですね……。

個人的には覚えなくてもいいかなと思います。どうせ  \frac{dy}{dx} から  x を微分すれば求められるので……。

 

また、式を覚えていたとしても実際に式に代入すると地獄のような計算となるので、試験のときには1回微分を上の偏微分の公式で、2回微分は1回微分した  \frac{dy}{dx} をさらに両辺を  x で微分することによって求めるのがいいでしょう。

 

例題2

つぎの方程式\[ x^2 - 4y^2 = 1 \]で定まる関数  y = f(x) の2次導関数  \frac{d^2y}{dx^2} を求めなさい。

解説2

右辺を  = 0 の形にすると、 x^2 - 4y^2 - 1 = 0 となるので、\[
f(x,y) = x^2 - 4y^2 - 1
\]とする。ここで  f(x,y) の偏微分は、\[
f_x = 2x , \ \ \ f_y = -8y \\
f_{xx} = 2 \ \ \ f_{xy} = 0 \ \ \ f_{yy} = -8
\]となる。よって2次導関数は、\[\begin{align*}
\frac{d^2 y}{dx^2} & = - \frac{f_{xx} f_y^2 - 2 f_{xy} f_x f_y + f_{yy} f_x^2}{f_y^3}
\\ & = - \frac{2 \cdot (-8y)^2 - 8 \cdot (2x)^2}{(-8y)^3}
\\ & = - \frac{2 \cdot (-8) y^2 + 4x^2}{(-8)^2 y^3}
\\ & = - \frac{-16y^2 + 4x^2}{64y^3}
\\ & = - \frac{x^2 - 4 y^2}{16y^3} \ \ \left( \because x^2 - 4y^2 = 1 \right)
\\ & = - \frac{1}{16y^3}
\end{align*} \]となる。

 f_{xy} = 0 なので比較的ラクでしたね……)

 

[別解]

\[
\frac{dy}{dx} = \frac{x}{4y}
\]をさらに  x で微分する。\[ \begin{align*}
\frac{d^2 y}{dx^2} & = \frac{1 \cdot 4y - x \cdot 4 \frac{dy}{dx}}{(4y)^2}
\\ & = \frac{4y - x \cdot 4 \frac{x}{4y}}{16 y^2}
\\ & = \frac{4y^2 - x^2}{16 y^3} \ \ \left( \because -x^2 + 4y^2 = -1 \right)
\\ & = - \frac{1}{16 y^3}
\end{align*} \]と求められる。

4.3変数関数の陰関数の2回微分

変数が  x,y,z の3つの陰関数の場合でも  z x,y の関数と考えることで  \frac{dz}{dx},  \frac{dz}{dy} を求めることが可能です。

    

偏微分を用いた3変数の陰関数微分

3変数  x,y,z からなる陰関数表記の式  f(x,y,z) = 0 の偏導関数  \frac{\partial z}{\partial x},  \frac{\partial z}{\partial y} は、 f_z \not = 0 のとき、\[
\frac{\partial z}{\partial x} = - \frac{f_x}{f_z} \ \ \ \frac{\partial z}{\partial y} = - \frac{f_y}{f_z}
\]で求められる。

 f_z \not = 0 のときは陰関数は存在しないので注意!!)

 こちらも簡単に式の導出法を説明したいと思います。

方程式  f(x,y,z) = 0 で定まる関数  y = g(x,y) があるとします。この式の両辺を  x で偏微分すると、\[
\frac{\partial}{\partial x} f(x,y,g(x,y) ) = f_x + \frac{dz}{dx} f_z = 0
\]となります*4。この式を移行すると、\[
\frac{\partial z}{\partial x} = - \frac{f_x}{f_z}
\]が導けます。

同様に  y で偏微分すると、\[
\frac{\partial}{\partial y} f(x,y,g(x,y) ) = f_y + \frac{dz}{dx} f_z = 0
\]となります*5。この式を移行すると、\[
\frac{\partial z}{\partial y} = - \frac{f_y}{f_z}
\]が導けます。

 

5.陰関数表記の関数における接線・法線・接平面

(1) 接線・法線

2変数  x,y で表される方程式\[ F(x,y) = 0 \]で定まる関数  y = f(x) の陰関数導関数  \frac{dy}{dx} を求めることで陰関数表記の方程式の接線も求めることができます。

    

2変数の陰関数で表される関数の接線

2変数  x,y で表される陰関数表記の方程式  f(x,y) = 0 の点  (a,b) における  y の微分係数  t は、\[
t = \frac{dy}{dx} (a,b)
\]と求められる。また、偏微分係数を用いると接線は\[
y = t (x-a) + b
\]で求められる。また法線は\[
y = -\frac{1}{t} (x-a) + b
\]で求められる。

例題3

つぎの曲線\[ x^2 - 3y^2 = 1 \]の点 (2,1) における  y の微分係数を求め、さらに接線の方程式を求めなさい。

解説3

\[ f(x,y) = x^2 -3y^2 - 1 = 0 \]とする。すると導関数は\[
\frac{dy}{dx} = - \frac{f_x}{f_y} = - \frac{2x}{-6y} = \frac{x}{3y}
\]となる。よって点 (2,1) における微分係数  t は\[
t = \frac{ d y}{dx} (2,1) =\frac{2}{3}
\]となる。よって接線の方程式は、\[\begin{align*}
y & = \frac{2}{3} (x-2) + 1 
\\ & = \frac{2}{3} x - \frac{1}{3}
\end{align*} \]と求められる。また、法線は、\[\begin{align*}
y & = - \frac{3}{2} (x-2) + 1 
\\ & = - \frac{3}{2} x + 4
\end{align*} \]となる。

 

(2) 接平面

3変数  x,y,z で表される陰関数表記の方程式  f(x,y,z) = 0  \frac{dz}{dx},  \frac{dz}{dy} を求めることで陰関数表記の方程式の接平面も求めることができます。

 

3変数の陰関数で表される関数の接平面

3変数  x,y,z で表される陰関数表記の式  f(x,y,z) = 0 の点  (a,b,c) における  z の偏微分係数  s,  t は、\[
s = \frac{\partial z}{\partial x} (a,b,c) \ \ \ t = \frac{\partial z}{\partial y} (a,b,c)
\]と求められる。また、偏微分係数を用いると接平面は\[
z = s(x-a) + t(y-b) + c
\]で求められる。

例題4

つぎの曲線\[ x^2 + y^2 + z^2 = 6 \]の点 (1,2,1) における  z の偏微分係数を求め、さらに接線の方程式を求めなさい。

解説4

\[ f(x,y,z) = x^2 + y^2 + z^2 - 6 = 0 \]とする。すると偏導関数は\[
\frac{ \partial z}{\partial x} = - \frac{f_x}{f_z} = - \frac{2x}{2z} = - \frac{x}{z} \\
\frac{ \partial z}{\partial y} = - \frac{f_y}{f_z} = - \frac{2y}{2z} = - \frac{y}{z}
\]となる。よって点 (1,2,1) における偏微分係数  s,t は\[
s = \frac{ \partial z}{\partial x} (1,2,1) = -1 \\  t = \frac{ \partial z}{\partial y}(1,2,1) = -2
\]となる。

よって接平面の方程式は、\[\begin{align*}
z  & = -1(x-1) - 2(y-2) + 1 
\\ & = -x - 2y + 6
\end{align*} \]となる。

 

6.練習問題

では4問練習をしましょう!

練習1 陰関数の2次導関数

つぎの方程式\[ x^2 - 2xy + 2y^2 = 4  \]で定まる関数  y = f(x) の導関数  \frac{dy}{dx} および2次導関数  \frac{d^2y}{dx^2} を求めなさい。

 

練習2 陰関数の存在判定

次の曲線\[
 \frac{x^2}{2} + \frac{y^2}{3} = 2
\]の(1), (2) の点における陰関数  y = F(x) が存在するかどうか調べ、存在する場合は各点における偏微分係数を求めなさい。

(1) 点  ( 2, 0)
(2) 点  ( \sqrt{2}, \sqrt{3})

練習3 陰関数表記の方程式の接線

次の曲線\[
x^3 - 2y^2 + 2xy + x = 4
\]の点 (2,-1) における  y の微分係数を求め、さらに接線の方程式を求めなさい。

 

 

練習4 陰関数表記の方程式の接平面

次の曲線\[
x^2 + 3xy - 2yz + xz - y^2
\]の点 (1,2,1) における  z の偏微分係数を求め、さらに接平面の方程式を求めなさい。

 

7.練習問題の答え

解答1

\[ f(x,y,z) = x^2 - 2xy + 2y^2 -4 = 0 \]し、まずは  \frac{dy}{dx} を求める。

\[
\frac{dy}{dx} = - \frac{f_x}{f_y} = - \frac{2x-2y}{-2x+4y} = \frac{x-y}{x-2y}
\]となる。

 

つぎに2次導関数を求める。

[パターン1:偏微分で求める]

\[
f_x = 2x-2y \ \ f_y = -2x+4y
\\ f_{xx} = 2 \ \ \ f_{xy} = -2 \ \ \ f_{yy} = 4
\]となるので、\[\begin{align*} &
 \frac{f_{xx} f_y^2 - 2 f_{xy} f_x f_y + f_{yy} f_x^2}{f_y^3}
\\ = & - \frac{ 2 (-2x+4y)^2 + 4 (2x-2y)(-2x+4y) + 4(2x-2y)^2 }{(-2x+4y)^3}
\\ = & - \frac{ 2 (4x^2-16xy+16y^2) + 4(-4x^2+12xy-8y^2) + 4 ( 4x^2 - 8xy + 4y^2) }{(-2x+4y)^3}
\\ = & - \frac{ 8 (x^2 - 2xy + y^2 ) }{-8(x-2y)^3}
\\ = &  \frac{ x^2 - 2xy + y^2 }{(x-2y)^3}
\\ = &  \frac{ 4 }{(x-2y)^3}
\end{align*} \]となる。

[パターン2:素直に両辺をxで微分]

[別解]

\[
\frac{dy}{dx} = \frac{x-y}{x-2y}
\]をさらに  x で微分する。\[ \begin{align*}
\frac{d^2 y}{dx^2} & = \frac{ \left( 1 - \frac{dy}{dx} \right) (x-2y) - (x-y) \left( 1 - 2 \frac{dy}{dx}\right) }{(x-2y)^2}
\\ & = \frac{ \left( 1 - \frac{x-y}{x-2y} \right) (x-2y) - (x-y) \left( 1 - 2 \frac{x-y}{x-2y} \right) }{(x-2y)^2}
\\ & = \frac{ \left( x-2y - (x-y) \right) (x-2y) - (x-y) \left( (x-2y) - 2 (x-y) \right) }{(x-2y)^3}
\\ & = \frac{ x^2-2xy+y^2 }{(x-2y)^3}
\\ & = \frac{ 4 }{(x-2y)^3}
\end{align*} \]と求められる。

解答2

\[ f(x,y) =  \frac{x^2}{2} + \frac{y^2}{3} - 1 = 0 \]とし、まずは  \frac{dy}{dx} を求める。

\[
\frac{dy}{dx} = - \frac{f_x}{f_y} = - \frac{x}{ \frac{2}{3} y} = - \frac{3x}{2y} 
\]となる。

 

(1) 

 f_y (2,0) = 0 となるので陰関数は存在しない。

(2)

\[ f_y (\sqrt{2}, \sqrt{3} ) = \frac{2 \sqrt{3}}{3}  \not = 0 \]より陰関数が存在する。

また、偏微分係数は、\[\begin{align*}
\frac{dy}{dx} (\sqrt{2}, \sqrt{3} ) & = - \frac{3 \sqrt{2}}{2 \sqrt{3}}
\\ & = - \frac{3 \sqrt{6}}{6} \\ & = - \frac{\sqrt{6}}{2}
\end{align*} \]となる。

解答3

\[ f(x,y) = x^3 - 2y^2 + 2xy + x - 4 \]とする。すると導関数は\[
\frac{dy}{dx} = - \frac{f_x}{f_y} = - \frac{3x^2 + 2y + 1}{-4y + 2x}
\]となる。よって点 (2,-1) における微分係数  t は\[\begin{align*}
t = \frac{ dy }{dx} (2,-1) = -\frac{11}{8}-\frac{11}{8} (x-2) -1
\\ & = - \frac{11}{8} x + \frac{7}{4}
\end{align*} \]と求められる。また、法線は、\[\begin{align*}
y & = \frac{8}{11} (x-2) - 1 
\\ & = \frac{8}{11} x - \frac{27}{11}
\end{align*} \]となる。

解答4

\[ f(x,y,z) = x^2 + 3xy - 2yz + xz - y^2 = 0 \]とする。すると偏導関数は\[
\frac{ \partial z}{\partial x} = - \frac{f_x}{f_z} = - \frac{2x+3y+z}{-2y+x}  \\
\frac{ \partial z}{\partial y} = - \frac{f_y}{f_z} = - \frac{3x-2z-2y}{-2y+x}
\]となる。よって点 (1,2,1) における偏微分係数  s,t は\[
s = \frac{ \partial z}{\partial x} (1,2,1) = 3 \\  t = \frac{ \partial z}{\partial y}(1,2,1) = -1
\]となる。

よって接平面の方程式は、\[\begin{align*}
z  & = 3(x-1) - (y-2) + 1 
\\ & = 3x - y 
\end{align*} \]となる。

8.さいごに

今回は、陰関数表記された式の導関数や偏導関数を偏微分を用いて表して接線や接平面を求める方法、および陰関数定理についてまとめました。

偏微分を使うことで陰関数表記された式であっても偏導関数、接線などが簡単に求められることが分かれば幸いです。

 

次回は2変数関数のテイラー展開についてまとめていきたいとおもいます。

*1:教科書や他のサイトには  f(x,y)= 0 のように  =0 の形で表されているものもありますが、まぁ変形すれば陰関数にはできるのでどちらでもいいとは思います……。

*2:厳密には書いていませんが……。厳密な定理が知りたければ教科書などを参考にしてください……。

*3:変形のイメージは\[\begin{align*} & \frac{d}{dx} x^2 -  \frac{dy}{dx} \frac{d}{dy} 4y^2 \\ = & 2x - \frac{dy}{dx} 8y = 0 \end{align*} \]

*4: y は消滅することに注意

*5: x は消滅することに注意。