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うさぎでもわかる線形代数 第15羽 固有値・固有ベクトル

こんにちは、ももやまです。

今回は線形代数において非常に大切な固有値、固有ベクトルについてまとめました。

固有値、固有ベクトルは微分方程式、工学、統計学など様々な場面で応用されており、期末試験、定期試験、数検、院試、編入学試験においても固有値、固有ベクトルを求める問題が超頻出します*1

 

 

1.固有値・固有ベクトルとは

まずは、行列の固有値、固有ベクトルがどんなものかについてを説明していきたいと思います。

例えば、\[
A = \left( \begin{array}{ccc} 3 & 2 \\ 1 & 4 \end{array} \right)
\]という行列(2次正方行列)があるとします。

この行列にとあるベクトル  \vec{p} を掛けること、つまり  A \vec{p} を求めることを考えてみましょう。\[
A \vec{p} = \left( \begin{array}{ccc} 3 & 2 \\ 1 & 4 \end{array} \right) \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 2 \end{array} \right) = \left( \begin{array}{ccc} 7 \\ 9 \end{array} \right)   \\
A \vec{p} = \left( \begin{array}{ccc} 3 & 2 \\ 1 & 4 \end{array} \right) \left( \begin{array}{ccc} 0 \\ 1 \end{array} \right) = \left( \begin{array}{ccc} 2 \\ 4 \end{array} \right)
\]のように、ベクトル  \vec{p} を掛けると当然向きは変わってしまいます。

 

しかし、中には、\[
A \vec{p} = \left( \begin{array}{ccc} 3 & 2 \\ 1 & 4 \end{array} \right) \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 1 \end{array} \right) = \left( \begin{array}{ccc} 5 \\ 5 \end{array} \right) = 5 \vec{p} \\
A \vec{p} = \left( \begin{array}{ccc} 3 & 2 \\ 1 & 4 \end{array} \right) \left( \begin{array}{ccc} -2 \\ 1 \end{array} \right) = \left( \begin{array}{ccc} -4 \\ 2 \end{array} \right) = 2 \vec{p}
\]のように、ベクトル  \vec{p} を掛けても大きさが  t 倍されるだけで向きが変わらないようなベクトルがあります。

このように、とある行列に対して、ベクトル  \vec{p} を掛けても向きが変わらないようなベクトル  \vec{p} のことを固有ベクトルと呼びます。
(ただし、 \vec{0} は固有ベクトルにはなりません。)

また、固有ベクトル  \vec{p} を掛けた際の大きさの倍率  t のことを固有値と呼びます。

 

固有値・固有ベクトル

正方行列  A について、\[
A \vec{p} = t \vec{p}
\]を満たす t とベクトル \vec{p} \not =  \vec{0} が存在するときの  \vec{t}固有値 \vec{p}固有ベクトルという。

 

2.固有値・固有ベクトルの求め方

(1) 固有値の求め方

\[ A \vec{p} = t \vec{p} \]に対し、以下のような変形を行います。\[
A \vec{p} = t E \vec{p} \\
A \vec{p} - t E \vec{p} = \vec{0} \\
\left( A - tE \right) \vec{p} = \vec{0}
\]この連立1次方程式が  \vec{p} = \vec{0} 以外の解を持つことを考えましょう。

 

もし、  B = A - tE が正則だとします。すると、行列  B は逆行列を持つので、
\[
B^{-1} B \vec{p} = \vec{0} \\
E \vec{p} = \vec{0} \\
\vec{p} = \vec{0}
\]となってしまい、 \vec{p}  =  \vec{0} 以外の解が得られません。

 

そのため、連立1次方程式が  \vec{p} = \vec{0} 以外の解を持つためには、 A - tE が正則でない、つまり  | A - tE| = 0 となる必要があります。

 

行列  A に対し、 f(t) = |A-tE|固有多項式 f(t) = 0固有方程式と呼びます。

固有方程式を解くことで固有値を求めることができます。

 

固有値の求め方正方行列  A の固有値  t は、固有方程式\[
|A - tE| = 0
\]を解くことによって求められる。

※固有値は重解となることもあります。

万が一行列式の求め方がわからない(サラスの定理の正負ってどっちだっけと迷う人や余因子展開が怪しい人)人は早急にこちらの記事で復習しましょう。

www.momoyama-usagi.com

(2) 固有ベクトルの求め方

固有ベクトル  \vec{p} はそれぞれの固有値  t に対して、連立方程式\[
\left( A - tE \right) \vec{p} = \vec{0}
\]を解き、基本解*2を求めることで求めることができます。

 

固有ベクトルはそれぞれの固有値に対して、少なくとも1つ存在し、最大で重解の数だけ存在します*3

そのため、固有ベクトルを計算した際に1つも固有ベクトルが求められなかった場合、どこかで計算ミスをしています

 

しかし、固有ベクトルが  \vec{p} のとき、 k 倍された  k \vec{p} も固有ベクトルとなります。しかし、固有ベクトルを考える際には定数倍は無視して考えます。

つまり、固有ベクトルは大きさは考えず、向きだけを考えるものだと思ってください。

例えば、\[
\vec{p_1} = \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 1 \end{array} \right) \ \ \  \vec{p_2} = \left( \begin{array}{ccc} 4 \\ 4 \end{array} \right)
\]の  \vec{p_2} \vec{p_1} を4倍しただけなので  \vec{p_1},  \vec{p_2} は同じものと考えます。

 

もちろん\[
\vec{p_1} = \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 2 \end{array} \right) \ \ \  \vec{p_2} = \left( \begin{array}{ccc} 3 \\ 1 \end{array} \right)
\]のように、向きも異なっているものは違うものと考えます。

(そのため、人によって固有ベクトルの答えが若干異なる結果になることがあります。しかし、 A \vec{p} = t \vec{p} を満たしていれば異なる答えが出ていても正解です。)

 

固有ベクトルの求め方それぞれの固有値  t における固有ベクトル  \vec{p} は、連立1次方程式\[
\left( A - tE \right) \vec{p} = \vec{0}
\]の基本解を求めればよい。

※固有ベクトルは最低1つ、最大で重解の数だけ存在する
(それぞれの固有値における固有ベクトルは連立方程式の自由度*4の個数分存在する。もしそれぞれの固有値において固有ベクトルが1つも出てこない場合、どこかで計算ミスをしている)

 

 

では、2問ほど例題を解いてみましょう。

 

例題1

次の行列 \[
A =  \left( \begin{array}{ccc} 3 & -1 \\ 5 & -3 \end{array} \right)
\]の固有値と固有ベクトルを求めなさい。

 

解説1

まずは固有方程式を求める。\[ \begin{align*}
|A-tE| = &
 \left| \begin{array}{ccc} 3-t & -1 \\ 5 & -3-t \end{array} \right|
\\ = & (t-3)(t+3)+5 \\ = & t^2 - 4 \\ = & (t+2)(t-2) = 0
\end{align*} \]となる。

よって固有方程式を満たす  t は 2, -2 となり、これが固有値となる。

 

次に、固有ベクトルを求める。
それぞれの固有値に対して\[
\left( A - tE \right) \vec{p} = \vec{0}
\]を満たすような \[ \vec{p} = \left( \begin{array}{ccc} x \\ y \end{array} \right) \] を求めればよい。

 

(i) 固有値が2のとき

固有値が2のときの固有ベクトルを  \vec{p_1} とする。 \[ \begin{align*}
(A-2E) = &
\left( \begin{array}{ccc} 1 & -1 \\ 5 & -5 \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc} 1 & -1 \\ 0 & 0 \end{array} \right) 
\end{align*} \]となる。\[
x - y = 0
\]を解くと、\[
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y \end{array} \right) = k \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 1  \end{array} \right)
\]となるので、\[
\vec{p_1} = \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 1  \end{array} \right)
\]となる。

 

(i) 固有値が-2のとき

固有値が-2のときの固有ベクトルを  \vec{p_2} とする。 \[ \begin{align*}
(A-2E) = &
\left( \begin{array}{ccc} 5 & -1 \\ 5 & -1 \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc} 5 & -1 \\ 0 & 0 \end{array} \right) 
\end{align*} \]となる。\[
5x - y = 0
\]を解くと、\[
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y \end{array} \right) = k \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 5  \end{array} \right)
\]となるので、\[
\vec{p_2} = \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 5  \end{array} \right)
\]となる。

 

実際に先ほど求めた固有値と固有ベクトルが\[ A \vec{p} = t \vec{p} \]を満たすか計算をすると、\[
A \vec{p_1} = 2 \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 1  \end{array} \right) = 2 \vec{p_1} \\
A \vec{p_2} = -2 \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 5  \end{array} \right) = 5 \vec{p_2}
\]となり、確かに計算結果が正しいことがわかります。
(検算に使えますよ。)

 

例題2

次の3次正方行列 \[
A =  \left( \begin{array}{ccc} 3 & -2 & -1 \\ 1 & 0 & -1 \\ -2 & 4 & 4 \end{array} \right)
\]の固有値と固有ベクトルを求めなさい。

 

解説2

固有値  t を求める。\[
|A - tE| = \left| \begin{array}{ccc} 3-t & -2 & -1 \\ 1 & -t & -1 \\ -2 & 4 & 4-t \end{array} \right|
\]を満たすような  t を求めればよい。

しかし、3次正方行列をサラスで求めるとごちゃごちゃするので余因子展開を用いて2次正方行列にしてからサラスを適用する。\[ \begin{align*}
|A - tE| = & \left| \begin{array}{ccc} 3-t & -2 & -1 \\ 1 & -t & -1 \\ -2 & 4 & 4-t \end{array} \right|
\\ = & \left| \begin{array}{ccc} 3-t_{-1} & -2_{+t} & -1_{+1} \\ 1 & -t & -1 \\ -2 & 4 & 4-t \end{array} \right|
\\ = & \left| \begin{array}{ccc} 2-t & -2+t & 0 \\ 1 & -t & -1 \\ -2 & 4 & 4-t \end{array} \right|
\\ = & \left| \begin{array}{ccc} 2-t & -2+t & 0 \\ 1 & -t & -1 \\ -2 & 4 & 4-t \end{array} \right|
\\ = (2-t) & \left| \begin{array}{ccc} 2-t & -2+t & 0 \\ 1 & -t & -1 \\ -2 & 4 & 4-t \end{array} \right|
\\ = (2-t) & \left| \begin{array}{ccc} 1 & -1 & 0 \\ 1_{-1} & -t_{+1} & -1 \\ -2_{+2} & 4_{-2} & 4-t \end{array} \right|
\\ = (2-t) & \left| \begin{array}{ccc} 1 & -1 & 0 \\ 0 & -t+1 & -1 \\ 0 & 2 & 4-t \end{array} \right|
\\ = (2-t) & \left| \begin{array}{ccc}  -t+1 & -1 \\ 2 & 4-t \end{array} \right|
\end{align*} \]と変形できる。また、\[\begin{align*} &
\left| \begin{array}{ccc}  -t+1 & -1 \\ 2 & 4-t \end{array} \right|
\\ = & (t-4)(t-1) + 2 \\ = & t^2 - 5t + 6 \\ = & (t-2)(t-3)
\end{align*} \]となるので、\[
|A - tE| = (2-t)(t-2)(t-3) = - (t-2)^2 (t-3) = 0
\]を満たす  t が固有値となり、固有値は2(2重解)と3となる。

 

つぎに固有ベクトルを求める。

 

(i) 固有値が2のとき(2重解)

\[ \begin{align*}
(A-2E) = &
\left( \begin{array}{ccc} 1 & -2 & -1 \\ 1 & -2 & -1 \\ -2 & 4 & 2 \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc} 1 & -2 & -1 \\ 0 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0 \end{array} \right) 
\end{align*} \]となる。\[
x-2y-z=0
\]を解くと、\[
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z \end{array} \right) = s \left( \begin{array}{ccc} 2 \\ 1 \\ 0 \end{array} \right) + t \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 0 \\ 1 \end{array} \right)
\]となるので、固有ベクトルは2本あり、それぞれの固有ベクトル  \vec{p_1},  \vec{p_2} は、\[
\vec{p_1} = \left( \begin{array}{ccc} 2 \\ 1 \\ 0   \end{array} \right) \ \ \ 
\vec{p_2} = \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 0 \\ 1   \end{array} \right)
\]となる(順不同)。

 

(ii) 固有値が3のとき(2重解)

\[ \begin{align*}
(A-3E) = &
\left( \begin{array}{ccc} 0 & -2 & -1 \\ 1 & -3 & -1 \\ -2_{+2} & 4_{-6} & 1_{-2} \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc} 0 & -2 & -1 \\ 1 & -3_{+2} & -1_{+1} \\ 0 & -2_{+2} & -1_{+1} \end{array} \right)  \\ \to \ &
\left( \begin{array}{ccc} 0 & -2 & -1 \\ 1 & -1 & 0 \\ 0 & 0 & 0 \end{array} \right) 
\end{align*} \]となる。\[
\left\{ \begin{array}{l} -2y - z = 0 \\ x-y= 0 \end{array}\right. \]を解くと、\[
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z \end{array} \right) = k \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 1 \\ -2 \end{array} \right) 
\]となるので、固有ベクトル  \vec{p_3} は、\[
\vec{p_3} = \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 1 \\ -2   \end{array} \right)
\]となる。

 

また、次の2つの定理は検算に有効なので積極的に使いましょう。
本当に成り立つの? と思った人はこの記事の例題や練習問題で確かめて見てください。

 

固有値の和と積

行列  A の固有値をすべて足すと、対角成分の和(トレース)に等しくなる

行列  A の固有値をすべて掛けると、行列式  |A| に等しくなる*5

特に固有値の総和=対角成分の和は数秒で検算できる上に固有値のミスによる連鎖ミスを大きく減らせるのでぜひ覚えておきましょう。
(詳しくはこちらで説明しています。[固有値計算のコツと同じリンク])

 

3.固有空間

固有ベクトルをベクトル空間を用いて書くこともできます。
テストによっては、「固有ベクトルを求めなさい。」ではなく、「固有空間を求めなさい。」と出題されることもあるので固有空間表記にも慣れておきましょう。

 

固有空間を用いた表し方 n 次正方行列  A の固有値  t に対し、固有空間  V(t) は、\[
V(t) = \left\{ \vec{x} \in \mathbb{R}^n \ \middle| \  A \vec{x} = t \vec{x} \right\}
\]と表せる。

(式だと難しそうに見えるが、実は固有値ごとの固有ベクトルを基底でまとめて表しているだけ)

先ほどの例題1、例題2で求めた固有ベクトルを固有空間を用いて表してみましょう。

例題1の固有空間

\[
V(2) = \left\{ \  \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 1  \end{array} \right) \ \right\} \\
V(-2) = \left\{ \  \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 5  \end{array} \right) \ \right\}
\]

例題2の固有空間

\[
V(2) = \left\{ \  \left( \begin{array}{ccc} 2 \\ 1 \\ 0   \end{array} \right), \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 0 \\ 1   \end{array} \right)  \ \right\} \\
V(3) = \left\{ \ \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 1 \\ -2   \end{array} \right) \ \right\}
\]

 

固有空間と核空間には、以下のような密接した関係があります。

 

固有空間と核空間の関係行列  A - tE が表す  \mathbb{R}^n の線形変換 f とすると、\[
\mathrm{Ker} \ f = V(t)
\]となる。つまり、固有値  t が表す固有空間と変換  f における核空間は等しくなる。

  

4.固有値計算のコツ

固有値の計算は様々な場面において素早くかつ正確に計算されることが要求されます。

なので、固有値計算のコツ(正確に求める方法・検算方法など)に関する記事を下に貼っておきます。

www.momoyama-usagi.com

試験前などにぜひご覧ください!

 

5.練習問題

では、3問ほど固有値、固有ベクトルを求める練習をしましょう。

練習1

行列\[
A = \left( \begin{array}{ccc} 4 & 1 \\ -9 & -2  \end{array} \right)
\]の固有値と固有ベクトル(固有空間の次元と基底を求めてもOK)を求めなさい。

 

練習2

行列\[
A = \left( \begin{array}{ccc} 3 & 4 & 1 \\ 1 & 0 & 3 \\ 0 & 0 & 2  \end{array} \right)
\]の固有値と固有ベクトル(固有空間の次元と基底を求めてもOK)を求めなさい。

 

練習3

行列\[
A = \left( \begin{array}{ccc} 4 & -2 & 1 \\ -2 & 1 & 2 \\ 1 & 2 & 4  \end{array} \right)
\]の固有値と固有ベクトル(固有空間の次元と基底を求めてもOK)を求めなさい。

 

6.練習問題の答え

解答1

固有値を  t とする。

固有方程式は、\[\begin{align*}
|A-tE| = & \left| \begin{array}{ccc} 4-t & 1 \\ -9 & -2-t \end{array} \right|
\\ = & (t+2)(t-4) + 9 \\ = & t^2 - 2t +1 \\ = & (t-1)^2 = 0
\end{align*} \]より固有値は1(2重解)

 

つぎに固有ベクトルを調べる。

 

固有値1に属する固有ベクトルは、\[ \begin{align*}
(A-1E) = &
\left( \begin{array}{ccc} 3 & 1 \\ -9 & -3  \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc} 3 & 1 \\ 0 & 0  \end{array} \right)
\end{align*} \]となる。\[
3x + y = 0
\]を解くと、\[
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y  \end{array} \right) = k \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ -3 \end{array} \right)
\]となるので、固有ベクトルは1本あり、固有ベクトル  \vec{p_1} は、\[
\vec{p_1} = \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ -3    \end{array} \right)
\]となる(順不同)。

 

固有空間の次元と基底は、\[
V(1) = \left\{ \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ -3    \end{array} \right) \right\} \ \ \ \dim V(1) = 1
\]となる。

 

解答2

固有値を  t とする。

固有方程式は、\[ \begin{align*}
|A - tE| & = \left| \begin{array}{ccc} 3-t & 4 & 1 \\ 1 & -t & 3 \\ 0 & 0 & 2-t \end{array} \right|
\\ & = (2-t) \left| \begin{array}{ccc} 3-t & 4  \\ 1 & -t \end{array} \right|
\\ & = (2-t) \left( t(t-3) - 4 \right)
\\ & = (2-t) \left( t^2 - 3t  - 4 \right)
\\ & = (2-t) (t+1)(t-4) = 0
\end{align*}\]より、固有値は4,2,-1となる。

 

つぎに、固有値ごとの固有ベクトル(固有空間)を調べる。

 

(1) 固有値が4のときの固有ベクトル

固有値4に属する固有ベクトルは、\[ \begin{align*}
(A-4E) = &
\left( \begin{array}{ccc} -1 & 4 & 1 \\ 1 & -4 & 3 \\ 0 & 0 & -2  \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc} -1 & 4 & 0 \\ 1 & -4 & 0 \\ 0 & 0 & 1  \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc}  1 & -4 & 0 \\ 0 & 0 & 1 \\ 0 & 0 & 0  \end{array} \right) 
\end{align*} \]となる。\[
\left\{ \begin{array}{l} x - 4y = 0 \\ z = 0 \end{array}\right. 
\]を解くと、\[
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z  \end{array} \right) = k \left( \begin{array}{ccc} 4 \\ 1 \\ 0 \end{array} \right)
\]となるので、固有ベクトルは1本あり、固有ベクトル  \vec{p_1} は、\[
\vec{p_1} = \left( \begin{array}{ccc} 4 \\ 1 \\ 0    \end{array} \right)
\]となる。

固有空間の次元と基底は、\[
V(4) = \left\{ \left( \begin{array}{ccc} 4 \\ 1 \\ 0    \end{array} \right) \right\} \ \ \ \dim V(1) = 1 \]となる。

 

(2) 固有値が2のときの固有ベクトル

固有値2に属する固有ベクトルは、\[ \begin{align*}
(A-2E) = &
\left( \begin{array}{ccc}  1 & 4 & 1 \\ 1_{-1} & -2_{-4} & 3_{-1} \\ 0 & 0 & 0  \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc}  1 & 4_{+3} & 1_{-1} \\ 0 & -6 & 2 \\ 0 & 0 & 0  \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc}  1 & 7 & 0 \\ 0 & 3 & -1 \\ 0 & 0 & 0  \end{array} \right) 
\end{align*} \]となる。\[
\left( \begin{array}{ccc}  1 & 7 & 0 \\ 0 & 3 & -1 \\ 0 & 0 & 0  \end{array} \right)  \left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z \end{array} \right) = \left( \begin{array}{ccc} 0 \\ 0 \\ 0 \end{array} \right)
\]を解くと、\[
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z  \end{array} \right) = k \left( \begin{array}{ccc} -7 \\ 1 \\ 3 \end{array} \right)
\]となるので、固有ベクトルは1本あり、固有ベクトル  \vec{p_2} は、\[
\vec{p_2} = \left( \begin{array}{ccc} -7 \\ 1 \\ 3    \end{array} \right)
\]となる。

固有空間の次元と基底は、\[
V(2) = \left\{ \left( \begin{array}{ccc} -7 \\ 1 \\ 3    \end{array} \right) \right\} \ \ \ \dim V(2) = 1 \]となる。

 

(3) 固有値が-1のときの固有ベクトル

固有値-1に属する固有ベクトルは、\[ \begin{align*}
(A+E) = &
\left( \begin{array}{ccc}  4 & 4 & 1 \\ 1 & 1 & 3 \\ 0 & 0 & 3  \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc}  4 & 4 & 0 \\ 1 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 1  \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc}  1 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 1 \\ 0 & 0 & 0  \end{array} \right) 
\end{align*} \]となる。\[
\left( \begin{array}{ccc} 1 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 1 \\ 0 & 0 & 0 \end{array} \right)  \left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z \end{array} \right) = \left( \begin{array}{ccc} 0 \\ 0 \\ 0 \end{array} \right)
\]を解くと、\[
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z  \end{array} \right) = k \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ -1 \\ 0 \end{array} \right)
\]となるので、固有ベクトルは1本あり、固有ベクトル  \vec{p_3} は、\[
\vec{p_2} = \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ -1 \\ 0    \end{array} \right)
\]となる。

固有空間の次元と基底は、\[
V(-1) = \left\{ \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ -1 \\ 0    \end{array} \right) \right\} \ \ \ \dim V(-1) = 1 \]となる。

 

解答3

固有値を  t とする。

固有多項式は、\[ \begin{align*}
|A - tE| & = \left| \begin{array}{ccc} 4-t_{+1} & -2_{+2} & 1_{+4-t} \\ -2 & 1-t & 2 \\ 1 & 2 & 4-t \end{array} \right|
\\ & = \left| \begin{array}{ccc} 5-t & 0 & 5-t \\ -2 & 1-t & 2 \\ 1 & 2 & 4-t \end{array} \right|
\\ & = (5-t) \left| \begin{array}{ccc} 1 & 0 & 1 \\ -2_{+2} & 1-t & 2_{+2} \\ 1_{-1} & 2 & 4-t_{-1} \end{array} \right|
\\ & = (5-t) \left| \begin{array}{ccc} 1 & 0 & 1 \\ 0 & 1-t & 4 \\ 0 & 2 & 3-t \end{array} \right|
\\ & = (5-t) \left| \begin{array}{ccc} 1-t & 4 \\ 2 & 3-t \end{array} \right|
\end{align*}\]と変形できる。

ここで、\[\begin{align*} &
\left| \begin{array}{ccc} 1-t & 4 \\ 2 & 3-t \end{array} \right|
\\ = & (t-3)(t-1) - 8 \\ = & t^2 - 4t - 5 \\ = & (t-5)(t+1)
\end{align*} \]となるので、固有方程式は\[
|A - tE| = (5-t)(t-5)(t+1) = - (t-5)^2 (t+1) = 0
\]を満たす  t が固有値となり、固有値は5(2重解)と-1となる。

 

(1) 固有値が5のとき(2重解)

\[ \begin{align*}
(A-5E) = &
\left( \begin{array}{ccc} -1 & -2 & 1 \\ -2 & -4 & 2 \\ 1 & 2 & -1 \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc} 1 & 2 & -1 \\ 0 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0 \end{array} \right) 
\end{align*} \]となる。\[
x + 2y - z = 0
\]を解くと、\[
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z \end{array} \right) = s \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 0 \\ 1 \end{array} \right) + t \left( \begin{array}{ccc} 0 \\ 1 \\ 2 \end{array} \right)
\]となるので、固有ベクトルは2本あり、それぞれの固有ベクトル  \vec{p_1},  \vec{p_2} は、\[
\vec{p_1} = \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 0 \\ 1   \end{array} \right) \ \ \ 
\vec{p_2} = \left( \begin{array}{ccc} 0 \\ 1 \\ 2   \end{array} \right)
\]となる(順不同)。

固有空間の次元と基底は、\[
V(5) = \left\{\left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 0 \\ 1   \end{array} \right), \left( \begin{array}{ccc} 0 \\ 1 \\ 2   \end{array} \right) \right\} \ \ \ \dim V(5) = 2 \]となる。

 

(2) 固有値が-1のとき

\[ \begin{align*}
(A-5E) = &
\left( \begin{array}{ccc} 5_{-5} & -2_{+5} & 1_{+5} \\ -2 & 2 & 2 \\ 1_{-1} & 2_{+1} & 5_{+1} \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc} 0 & 3 & 6 \\ -2 & 2_{-2} & 2_{-4} \\ 0 & 3 & 6 \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc} -2 & 0 & -2 \\ 0 & 1 & 2 \\ 0 & 0 & 0 \end{array} \right) \\ \to \ &
\left( \begin{array}{ccc} 1 & 0 & 1 \\ 0 & 1 & 2 \\ 0 & 0 & 0 \end{array} \right)
\end{align*} \]となる。\[
\left\{ \begin{array}{l} x + z = 0 \\ y+2z = 0 \end{array}\right. 
\]を解くと、\[
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z \end{array} \right) = k \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 2 \\ -1 \end{array} \right) 
\]となるので、固有ベクトルは1本あり、固有ベクトル  \vec{p_3}は、\[
\vec{p_3} = \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 2 \\ -1   \end{array} \right) 
\]となる(順不同)。

固有空間の次元と基底は、\[
V(-1) = \left\{\left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 2 \\ -1   \end{array} \right)  \right\} \ \ \ \dim V(-1) = 1 \]となる。

 

7.さいごに

今回は行列の固有値と固有ベクトルについてまとめました。

期末試験、院試などでも行列の固有値を求めさせられる場面は多いので素早くかつ確実に計算を行えるようにしておきましょう!

 

また、固有値、固有ベクトルは次回説明する行列の対角化で使用するので頭の中に残しておきましょう!

*1:固有値が求められなかった場合、残りの小問すべてが壊滅する可能性が出てくるので確実に固有値は求められるようになっておきましょう。

*2:連立方程式の解を1次結合で表現するために必要なベクトルの組み合わせを表しています。

*3:2重解なら最大2個、3重解なら最大3個、 n 重解なら最大  n 個固有ベクトルが存在します。

*4:自由度は、解が無数に存在する場合の必要な任意定数の数を表します。(自由度の数だけ文字を置かないと答えを表現できないということ。)

*5:固有多項式に  t = 0 を入れるとわかりやすいと思います。