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うさぎでもわかる線形代数 第16羽 対角化

こんにちは、ももやまです。
今回は行列の対角化についてまとめていきたいと思います。

 

 

前回の記事「第15羽:固有値、固有ベクトル」の記事はこちら!

www.momoyama-usagi.com

※対角化には固有値・固有ベクトルを使います。
固有値、固有ベクトルがなんだっけって人はこちらの記事で再確認しましょう。

 

1.対角化とは

少し前に表現行列が  A で表される線形変換  f の基底を取り替えたときの表現行列  B を求めるような問題を解きましたね。

 

1つ例を出してみると、標準基底に関する  f の表現行列が\[
A =  \left( \begin{array}{ccc} 5 & 1 \\ 2 & 4 \end{array} \right)
\]のとき、標準基底同士から\[
\vec{p_1} = \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ -2 \end{array} \right) \ \ \ \vec{p_2} = \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 1 \end{array} \right) \]同士に変えた線形変換  f の表現行列  B を求めるような問題です。

 

標準基底から基底を変えたときの表現行列は、基底変換行列\[
P = \left( \vec{p_1}, \vec{p_2} \right)
\]を用いて\[
B = P^{-1} AP = \left( \begin{array}{ccc} 3 & 0 \\ 0 & 6 \end{array} \right)
\]と計算できます。

 

このように、基底を変えると当然表現行列も変わりますね。

 

対角化とは、線形変換  f をなるべく簡単に表現できるような(正則な)基底変換行列  P をうまく選び、  P^{-1} AP が対角行列になるようにすることをいいます。

 

2.対角化のメリット

対角化を行うことで、線形変換  f の様子がわかりやすくなります。

 

先ほどと同じ表現行列\[
A =  \left( \begin{array}{ccc} 5 & 1 \\ 2 & 4 \end{array} \right)
\]で表される標準基底に関する線形変換  f を考えましょう。

この行列を標準基底  \vec{e_1},  \vec{e_2} を用いると、\[
\begin{align*}
\left( f( \vec{e_1}), f( \vec{e_2} ) \right) = & \left( \vec{e_1}, \vec{e_2} \right) \left( \begin{array}{ccc} 5 & 1 \\ 2 & 4 \end{array} \right) \\ = &
(5 \vec{e_1} + \vec{e_2}, 2 \vec{e_1} + 4 \vec{e_2})
\end{align*}
\\ f(x \vec{e_1} + y\vec{e_2}) = (5x+y) \vec{e_1} + (2x+4y) \vec{e_2}
\]となり、少し複雑な形になってしまいますね。

 

では、 P^{-1} AP が対角行列となるような基底を\[
\vec{p_1} = \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ -2 \end{array} \right) \ \ \ \vec{p_2} = \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 1 \end{array} \right) \\ P = \left( \vec{p_1}, \vec{p_2} \right) \]に変えてみましょう。

すると、\[ P^{-1} AP =  \left( \begin{array}{ccc} 3 & 0 \\ 0 & 6 \end{array} \right)\]になりますね。

 

\[
\begin{align*}
\left( f( \vec{p_1}), f( \vec{p_2} ) \right) = & \left( \vec{p_1}, \vec{p_2} \right) \left( \begin{array}{ccc} 3 & 0 \\ 0 & 6 \end{array} \right) \\ = &
(3 \vec{p_1}, 6 \vec{p_2})
\end{align*}
\\ f(a \vec{p_1} + b \vec{p_2}) = 3a \vec{p_1} + 6b \vec{p_2}
\]とより単純な形で表現ができるので、線形変換  f をより簡単に把握できます。

 

今は2次元の場合なのでそこまで形が複雑ではないかもしれませんが、次元が3次元、4次元……と増えてより複雑な形になったとしても対角化をすることで単純な形で線形変換を単純な形で表現できるため、次元が大きくなるほど対角化のメリットを感じられると思います。

 

3.対角化の方法

正則な行列  P をうまく選び  P^{-1} AP が対角化されるような行列の求め方について説明していきます*1

対角化を行う際には、固有値、固有ベクトルを使います。

 

固有値が  t, 固有ベクトルが  \vec{p} のとき、\[
A \vec{p} = t \vec{p}
\]という関係式が成り立ちます。この関係式をうまく使って対角化をしていきます。

 

1つ例を出しながら説明するほうがわかりやすいと思うので、例題で対角化の手順を説明していきましょう。

例題1

\[
A = \left( \begin{array}{ccc} 3 & 2 \\ 1 & 4 \end{array} \right)
\]を対角化しなさい。

必要であれば行列  A の各固有値に対する固有空間が、\[
V(2) = \left\{   \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 1  \end{array} \right)  \right\} \ \ \ 
V(-2) = \left\{   \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 5  \end{array} \right)  \right\}
\]となることを用いてよい。

解説1

固有値が2のときの固有ベクトルを  \vec{p_1}、固有値が-2のときの固有ベクトルを  \vec{p_2} とする。このとき、\[
A \vec{p_1} = 2 \vec{p_1} \ \ \ A \vec{p_2} = -2 \vec{p_2}
\]が成り立ちます。

ここで、\[ P = \left( \vec{p_1}, \vec{p_2} \right) \]とすると、\[ \begin{align*}
AP & = A \left( \vec{p_1}, \vec{p_2} \right) \\ & = \left( 2 \vec{p_1}, -2 \vec{p_2} \right)  \\ & =   \left( \vec{p_1}, \vec{p_2} \right) \left( \begin{array}{ccc} 2 & 0 \\ 0 & -2 \end{array} \right) \\ & = P \left( \begin{array}{ccc} 2 & 0 \\ 0 & -2 \end{array} \right)
\end{align*} \]となります。

ここで、\[
D = \left( \begin{array}{ccc} 2 & 0 \\ 0 & -2 \end{array} \right) 
\]とすると、\[
AP = PD \\ 
P^{-1} AP = D = \left( \begin{array}{ccc} 2 & 0 \\ 0 & -2 \end{array} \right) 
\]となり、対角化できますね。

 

本当に対角化できているか計算してみましょう。\[ \begin{align*}
P^{-1} & =  \frac{1}{4} \left( \begin{array}{ccc} 5 & -1 \\ -1 & 1 \end{array} \right) \left( \begin{array}{ccc} 3 & 2 \\ 1 & 4 \end{array} \right)  \left( \begin{array}{ccc} 1 & 1 \\ 1 & 5 \end{array} \right)
\\ & = \left( \begin{array}{ccc} 2 & 0 \\ 0 & -2 \end{array} \right)
\end{align*} \]となり、うまく対角化ができていることがわかりますね。

 

ここまでの対角化の手順をまとめると、以下のようになります。

 

 

対角化行列  A の固有値、固有ベクトルの組が  ( t_1 , \vec{p_1} ),  ( t_2 , \vec{p_2}), …  ( t_n , \vec{p_n}) のとき、正則行列  P を用いて、対角行列  D = P^{-1} AP を用いて

2次正方行列の場合

\[ P = \left( \vec{p_1}, \vec{p_2} \right) \ \ \  D = \left( \begin{array}{ccc} t_1 & 0 \\ 0 & t_2 \end{array} \right) \]

3次正方行列の場合

\[ P = \left( \vec{p_1}, \vec{p_2}, \vec{p_3} \right) \ \ \  D = \left( \begin{array}{ccc} t_1 & 0 & 0 \\ 0 & t_2 & 0 \\ 0 & 0 & t_3 \end{array} \right) \]

 n 次正方行列の場合

\[ P = \left( \vec{p_1}, \vec{p_2}, \vec{p_3}, \cdots, \vec{p_n} \right) \ \ \ 
D = 
 \left(
\begin{array}{cccc}
t_1 & 0 & \ldots & 0 \\
0 & t_2 & \ldots & 0 \\
\vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\
0 & 0 & \ldots & t_n
\end{array}
\right)
 \]と対角化できる。

それぞれの行列  P と対角化された行列  D の各列が固有値、固有ベクトルと対応している*2ことを頭に入れておきましょう。

 

4.対角化可能の条件

ただし、すべての行列が対角化できるとは限りません。

正方行列  P を用いて行列  A を対角化しますが、この正方行列  P を作成するためには、サイズの数と同じ数だけの固有ベクトルが必要です*3

 

なので、 n 次正方行列  A を対角化をするためには、合計  n 本の固有ベクトルが求められる必要があります。

 

対角化可能条件 n 次正方行列  A から  n 本の固有ベクトルを求められるとき、行列  A は対角化可能である。

 

対角化可能条件を固有値の重解で場合分けすると、つぎのようになります。

 

 

対角化可能条件(重解ごとの場合分け)

1: n 次正方行列  A の固有値に重解がない場合*4
→対角化できる

2: n 次正方行列  A の固有値が  n 重解の場合*5
→対角化不可能*6 A - tE O になる場合を除く)

3: n 次正方行列  A の固有値に  n 重解ではないが重解が含まれる場合*7
→実際に固有ベクトルをしらべ、重解の数だけ固有ベクトルが出てくれば対角化可能

 固有ベクトルは、それぞれの固有値から少なくとも1つは求められるため、もし固有値に重解がなければ(すべてバラバラの固有値であれば)必ず対角化を行うことができます。

 

実際に、対角化可能かどうかを判定する際には、重解がある固有値に対して、固有ベクトルが重解の数だけ求められることを確認すればOKです。
(重解が大きい方から調べていくことをおすすめします。)

 

では、例題で対角化の可否の練習をしましょう。

例題2

次の(1), (2)の行列が対角化可能かどうかを調べなさい。
(対角化可能かどうかを判定するだけでOK)

(1) \[ \left( \begin{array}{ccc} 2 & 1 \\ -1 & 4 \end{array} \right)  \]

(2) \[ \left( \begin{array}{ccc} 1 & -1 & -1 \\ 2 & 4 & 2 \\ 0 & 0 & 2 \end{array} \right)  \]

 

解説2

流れしては

  1. 固有値を調べる
  2. 重解がある固有値に対してのみ固有ベクトルを調べる
  3. すべての重解がある固有値に対し、重解の数だけ固有ベクトルが出せれば対角化可能、1つの重解に対してでも重解の数だけの固有ベクトルがでなければ対角化できない。

となる。

 

(1) 

固有値を  t とする。

固有方程式は、\[\begin{align*}
|A-tE| = & \left| \begin{array}{ccc} 2-t & 1 \\ -1 & 4-t \end{array} \right|
\\ = & (t-4)(t-2) + 1 \\ = & t^2 - 6t + 9 \\ = & (t-3)^2 = 0
\end{align*} \]より固有値は3(2重解)

 

2次正方行列に対して、固有ベクトルが1つしか出なかったのでこの時点で対角化できないな、と思いながら固有値3に対する固有ベクトルを調べましょう。

 

固有値が3のときの固有ベクトルは、\[ \begin{align*}
(A-3E) = &
\left( \begin{array}{ccc} -1 & 1 \\ -1 & 1  \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc} 1 & -1 \\ 0 & 0  \end{array} \right)
\end{align*} \]となる。\[
x - y = 0
\]を解くと、任意定数  k を用いて\[
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y  \end{array} \right) = k \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 1 \end{array} \right)
\]と表せるので、固有ベクトルは1本あり、固有ベクトル  \vec{p_1} は、\[
\vec{p_1} = \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 1   \end{array} \right)
\]となる。

よって2つの固有値に対し、固有ベクトルは1本しかなかったので対角化は不可能である。

 

(2) 

固有値を  t とする。

固有方程式は、\[\begin{align*}
|A-tE| = & \left| \begin{array}{ccc} 1-t & -1 & -1 \\ 2 & 4-t & 2 \\ 0 & 0 & 2-t \end{array} \right|
\\ = & (2-t) \left| \begin{array}{ccc} 1-t & -1 \\ 2 & 4-t \end{array} \right|
\\ = & (2-t) \left( (t-4)(t-1) + 2 \right)
\\ = & (2-t) \left( t^2 - 5t +6 \right)
\\ = & (2-t) (t-2)(t-3)
\\ = & - (t-2)^2 (t-3)
\end{align*} \]より固有値は2(2重解)、3となる。

 

固有値2の2重解が怪しいので固有値2に対する固有ベクトルを調べる。

固有値が2のときの固有ベクトルは、\[ \begin{align*}
(A-2E) = &
\left( \begin{array}{ccc} -1 & -1 & -1 \\ 2 & 2 & 2 \\ 0 & 0 & 0  \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc} 1 & 1 & 1 \\ 0 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0  \end{array} \right)
\end{align*} \]となる。\[
x + y + z = 0
\]を解く(自由度2)と*8、任意定数  s,t を用いて\[
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z  \end{array} \right) = s \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ -1 \\ 0 \end{array} \right) + \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 0 \\ -1 \end{array} \right)
\]と表せるので、固有ベクトルは2本あり、固有ベクトル  \vec{p_1},  \vec{p_2} は、\[
\vec{p_1} = \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ -1 \\ 0   \end{array} \right), \ \ \ \vec{p_2} = \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 0 \\ -1   \end{array} \right)
\]となる(順不同)。

よって2重解の固有値に対し、2つの固有ベクトルが出せた。

 

よって、対角化が可能なことがわかる。

 

[おまけ:重解じゃない方の固有ベクトルも求めて対角化を実際に行う]

固有値が3のときの固有ベクトルは、\[ \begin{align*}
(A-3E) = &
\left( \begin{array}{ccc} -2 & -1 & -1 \\ 2 & 1 & 2 \\ 0 & 0 & -1  \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc} -2 & -1 & 0 \\ 2 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 1  \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc} 2 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 1 \\ 0 & 0 & 0  \end{array} \right)
\end{align*} \]となる。\[
A
\]を解くと、任意定数  k を用いて\[
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z  \end{array} \right) = k \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ -2 \\ 0 \end{array} \right)
\]と表せるので、固有ベクトルは2本あり、固有ベクトル  \vec{p_3} は、\[
\vec{p_1} = \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ -2 \\ 0   \end{array} \right)
\]となる。

 

よって、固有値2の固有ベクトル  \vec{p_1},  \vec{p_2} および固有値3の固有ベクトル  \vec{p_3} を用いて、\[ P = \left( \vec{p_1}, \vec{p_2} , \vec{p_3}\right) \]とすると、\[ \begin{align*}
AP & = A \left( \vec{p_1}, \vec{p_2}, \vec{p_3} \right) \\ & = \left( 2 \vec{p_1}, 2 \vec{p_2}, 3 \vec{p_3} \right)  \\ & =   \left( \vec{p_1}, \vec{p_2} \right) \left( \begin{array}{ccc} 2 & 0 & 0 \\ 0 & 2 & 0 \\ 0 & 0 & 3 \end{array} \right) \\ & = P \left( \begin{array}{ccc} 2 & 0 & 0 \\ 0 & 2 & 0 \\ 0 & 0 & 3 \end{array} \right)
\end{align*} \]となります。

 

ここで、\[
D = \left( \begin{array}{ccc} 2 & 0 & 0 \\ 0 & 2 & 0 \\ 0 & 0 & 3 \end{array} \right)
\]とすると、\[
AP = PD \\ 
P^{-1} AP = D = \left( \begin{array}{ccc} 2 & 0 & 0 \\ 0 & 2 & 0 \\ 0 & 0 & 3 \end{array} \right)
\]となる。

 

よって、正則行列  P を用いて\[
P = \left( \begin{array}{ccc} 1 & 1 & 1 \\ -1 & 0 & -2 \\ 0 & -1 & 0 \end{array} \right) \ \ \ P^{-1} AP = \left( \begin{array}{ccc} 2 & 0 & 0 \\ 0 & 2 & 0 \\ 0 & 0 & 3 \end{array} \right)
\]と対角化できる。

 

5.対角化の検算

対角化の計算は比較的簡単に検算を行うことができます。ですが、\[
P^{-1} AP = D
\]で検算を行う場合、逆行列  P^{-1} を求める必要があるため、計算がかなりめんどくさいです。

なので、実際に検算する場合は、\[
AP = PD
\]で検算をすると、逆行列を求めることなく対角化の検算を行えます。

 

対角化の検算

行列  A を正則行列  P を用いて対角化した結果が D となる対角化の検算は、\[
AP = PD
\]が成立するかどうか確かめればよい(成立すれば計算が合っている)。

 

6.練習問題

では、3問ほど対角化の練習をしてみましょう。

 

練習1

次の行列\[
A = \left( \begin{array}{ccc} 2 & -5 \\ -6 & 1 \end{array} \right) 
\]が対角化可能かどうか判定しなさい。さらに対角化可能な場合は正則な行列  P を用いて  P^{-1} AP を対角行列にしなさい。

 

練習2

次の行列\[
A = \left( \begin{array}{ccc} -1 & -9 & -3 \\ 2 & 8 & 2 \\ -3 & -9 & -1 \end{array} \right) 
\]が対角化可能かどうか判定しなさい。さらに対角化可能な場合は正則な行列  P を用いて  P^{-1} AP を対角行列にしなさい。

 

練習3

次の行列\[
A = \left( \begin{array}{ccc} 3 & -1 & 2 \\ 1 & 1 & 2 \\ -1 & 1 & 0 \end{array} \right) 
\]が対角化可能かどうか判定しなさい。さらに対角化可能な場合は正則な行列  P を用いて  P^{-1} AP を対角行列にしなさい。

 

7.練習問題の答え

解答1

固有値を  t とすると、固有方程式は、\[\begin{align*}
|A-tE| = & \left| \begin{array}{ccc} 2-t & -5 \\ -6 & 1-t \end{array} \right|
\\ = & (t-1)(t-2) - 30
\\ = & t^2 - 3t - 28
\\ = & (t-7)(t+4) = 0
\end{align*} \]より固有値は-4, 7となる。

固有値に重解がないため、対角化が可能。

 

固有値が7のときの固有ベクトルは、\[ \begin{align*}
(A-7E) = &
\left( \begin{array}{ccc} -5 & -5 \\ -6 & -6  \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc} 1 & 1 \\ 0 & 0  \end{array} \right)
\end{align*} \]となる。\[
x + y = 0
\]を解くと、任意定数  k を用いて\[
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y  \end{array} \right) = k \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ -1 \end{array} \right)
\]と表せるので、固有ベクトル  \vec{p_1} は、\[
\vec{p_1} = \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ -1   \end{array} \right)
\]となる。

 

固有値が-4のときの固有ベクトルは、\[ \begin{align*}
(A+4E) = &
\left( \begin{array}{ccc} 6 & -5 \\ -6 & 5  \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc} 6 & -5 \\ 0 & 0  \end{array} \right)
\end{align*} \]となる。\[
6x - 5y = 0
\]を解くと、任意定数  k を用いて\[
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y  \end{array} \right) = k \left( \begin{array}{ccc} 5 \\ 6 \end{array} \right)
\]と表せるので、固有ベクトル  \vec{p_2} は、\[
\vec{p_2} = \left( \begin{array}{ccc} 5 \\ 6   \end{array} \right)
\]となる。

 

よって、固有ベクトル  \vec{p_1},  \vec{p_2} を用いて、正則行列  P を\[
P = \left( \vec{p_1}, \vec{p_2} \right) = \left( \begin{array}{ccc} 1 & 5 \\ -1 & 6  \end{array} \right)
\]とすると、\[
P^{-1} AP = \left( \begin{array}{ccc} 7 & 0 \\ 0 & -4  \end{array} \right) = D
\]と対角化できる。

 

[検算]

固有値の検算:(対角成分の和)=(固有値の総和)= 3 を確かめればOK

対角化の検算

\[
AP = \left( \begin{array}{ccc} 2 & -5 \\ -6 & -1  \end{array} \right)  \left( \begin{array}{ccc} 1 & 5 \\ -1 & 6  \end{array} \right) = \left( \begin{array}{ccc} 7 & -20 \\ -7 & -24  \end{array} \right) \\
PD = \left( \begin{array}{ccc} 1 & 5 \\ -1 & 6  \end{array} \right) \left( \begin{array}{ccc} 7 & 0 \\ 0 & -4  \end{array} \right) = \left( \begin{array}{ccc} 7 & -20 \\ -7 & -24  \end{array} \right)
\]より  AP = PD となり、対角化もうまくできていることがわかる。

 

練習2

固有値を  t とすると、固有方程式は、\[\begin{align*}
|A-tE| = & \left| \begin{array}{ccc} -1-t_{+3} & -9_{+9} & -3_{1+t} \\ 2 & 8-t & 2 \\ -3 & -9 & -1-t \end{array} \right|
\\ = & \left| \begin{array}{ccc} 2-t & 0 & -2+t \\ 2 & 8-t & 2 \\ -3 & -9 & -1-t \end{array} \right|
\\ = & (2-t) \left| \begin{array}{ccc} 1 & 0 & -1 \\ 2_{-2} & 8-t & 2_{+2} \\ -3_{+3} & -9 & -1-t_{-3} \end{array} \right|
\\ = & (2-t) \left| \begin{array}{ccc} 1 & 0 & 1 \\ 0 & 8-t & 4 \\ 0 & -9 & -4-t \end{array} \right|
\\ = & (2-t) \left| \begin{array}{ccc} 8-t & 4 \\ -9 & -4-t \end{array} \right|
\end{align*} \]となる。

さらに、\[\begin{align*} &
\left| \begin{array}{ccc} 8-t & 4 \\ -9 & -4-t \end{array} \right|
\\ = & (t+4)(t-8) + 36
\\ = & t^2 - 4t + 4
\\ = & (t-2)^2 = 0
\end{align*} \]となるので、\[\begin{align*}
|A - tE| & = (2-t)(t-2)^2 \\ = & -(t-2)^3 = 0
\end{align*} \]を満たす  t が固有値となり、固有値は2(3重解)となる。

 

ここで 3重解… 怪しいな… ジィー (。・_・。) と思ってください。
(対角化不可能な香りがすることが察せたら対角化慣れてきた証です!)

 

固有値2における固有ベクトルは、

\[ \begin{align*}
(A-2E) = &
\left( \begin{array}{ccc} -3 & -9 & -3 \\ 2 & 6 & 2 \\ -3 & -9 & -3  \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc} 1 & 3 & 1 \\ 0 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0  \end{array} \right)
\end{align*} \]となる。\[
x + 3y + z = 0
\]を解く(自由度2)*9と、任意定数  s,t を用いて\[
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z  \end{array} \right) = s \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 0 \\ -1 \end{array} \right) + \left( \begin{array}{ccc} 3 \\ -1 \\ 0 \end{array} \right)
\]と表せるので、固有ベクトルは2本あり、固有ベクトル  \vec{p_1},  \vec{p_2} は、\[
\vec{p_1} = \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 0 \\ -1   \end{array} \right), \ \ \ \vec{p_2} = \left( \begin{array}{ccc} 3 \\ -1 \\ 0   \end{array} \right)
\]となる(順不同)。

よって3重解の固有値に対し、2つの固有ベクトルしか出せないので対角化はできない。

 

練習3

固有値を  t とすると、固有方程式は、\[\begin{align*}
|A-tE| = & \left| \begin{array}{ccc} 3-t & -1 & 2 \\ 1_{-1} & 1-t_{+1} & 2_{-t} \\ -1 & 1 & -t \end{array} \right|
\\ = & \left| \begin{array}{ccc} 3-t & -1 & 2 \\ 0 & 2-t & 2-t \\ -1 & 1 & -t \end{array} \right|
\\ = & (2-t) \left| \begin{array}{ccc} 3-t & -1_{+1} & 2_{+1} \\ 0 & 1 & 1 \\ -1 & 1_{-1} & -t_{-1} \end{array} \right|
\\ = & (2-t) \left| \begin{array}{ccc} 3-t & 0 & 3 \\ 0 & 1 & 1 \\ -1 & 0 & -t-1 \end{array} \right|
\\ = & (2-t) \left| \begin{array}{ccc} 3-t & 3 \\ -1 & -t-1 \end{array} \right|
\end{align*} \]となる。

さらに、\[\begin{align*} &
\left| \begin{array}{ccc} 3-t & 3 \\ -1 & -t-1 \end{array} \right|
\\ = & (t+1)(t-3) + 3
\\ = & t^2 -2t
\\ = & t(t-2) = 0
\end{align*} \]となるので、\[\begin{align*}
|A - tE| & = t(2-t)(t-2) \\ = & -t(t-2)^2 = 0
\end{align*} \]を満たす  t が固有値となり、固有値は0、2(2重解)となる。

 

2重解が怪しそうですね…ジィー (。・_・。)
なので、まずは2重解のほうの固有ベクトルを調べていきましょう。

 

固有値2における固有ベクトルは、

\[ \begin{align*}
(A-2E) = &
\left( \begin{array}{ccc} 1 & -1 & 2 \\ 1 & -1 & 2 \\ -1 & 1 & -2 \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc} 1 & -1 & 2 \\ 0 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0  \end{array} \right)
\end{align*} \]となる。\[
x - y + 2z = 0
\]を解く(自由度2)と、任意定数  s,t を用いて\[
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z  \end{array} \right) = s \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 1 \\ 0 \end{array} \right) + \left( \begin{array}{ccc} 2 \\ 0 \\ -1 \end{array} \right)
\]と表せるので、固有ベクトルは2本あり、固有ベクトル  \vec{p_1},  \vec{p_2} は、\[
\vec{p_1} = \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 1 \\ 0   \end{array} \right), \ \ \ \vec{p_2} = \left( \begin{array}{ccc} 2 \\ 0 \\ -1   \end{array} \right)
\]となる(順不同)。

よって、2重解に対し、固有ベクトルも2本求められるので対角化は可能なことがわかる。

 

 

固有値が0のときの固有ベクトルは、\[ \begin{align*}
(A-3E) = &
\left( \begin{array}{ccc} 3_{-3} & -1_{-3} & 2_{-6} \\ 1 & 1 & 2 \\ -1_{+1} & 1_{+1} & 0_{+2}  \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc} 0 & -4 & -4 \\ 1 & 1_{-1} & 2_{-1} \\ 0  & 2_{-2} & 2_{-2}  \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc} 0 & 1 & 1 \\ 1 & 0 & 1 \\ 0  & 0 & 0  \end{array} \right) \\ \to \ & 
\left( \begin{array}{ccc} 1 & 0 & 1 \\ 0 & 1 & 1 \\ 0  & 0 & 0  \end{array} \right)
\end{align*} \]となる。\[
\left\{ \begin{array}{l} x + z = 0 \\ y + z = 0 \end{array}\right. 
\]を解くと、任意定数  k を用いて\[
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z  \end{array} \right) = k \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 1 \\ -1 \end{array} \right)
\]と表せるので、固有ベクトルは1本あり、固有ベクトル  \vec{p_3} は、\[
\vec{p_1} = \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 1 \\ -1   \end{array} \right)
\]となる。

 

よって、固有ベクトル  \vec{p_1},  \vec{p_2},  \vec{p_3} を用いて、正則行列  P を\[
P = \left( \vec{p_1}, \vec{p_2}, \vec{p_3} \right) = \left( \begin{array}{ccc} 1 & 2 & 1 \\ 1 & 0 & 1 \\ 0 & -1 & -1   \end{array} \right)
\]とすると、\[
P^{-1} AP = \left( \begin{array}{ccc} 2 & 0 & 0 \\ 0 & 2 & 0 \\ 0 & 0 & 0  \end{array} \right) = D
\]と対角化できる。

 

[検算]

固有値の検算:(対角成分の和)=(固有値の総和)= 4 を確かめればOK

対角化の検算

\[
AP = \left( \begin{array}{ccc} 3 & -1 & 2 \\ 1 & 1 & 2 \\ -1 & 1 & 0  \end{array} \right)  \left( \begin{array}{ccc}1 & 2 & 1 \\ 1 & 0 & 1 \\ 0 & -1 & -1  \end{array} \right) = \left( \begin{array}{ccc} 2 & 4 & 0 \\ 2 & 0 & 0 \\ 0 & -2 & 0  \end{array} \right) \\
PD = \left( \begin{array}{ccc} 1 & 2 & 1 \\ 1 & 0 & 1 \\ 0 & -1 & -1  \end{array} \right) \left( \begin{array}{ccc} 2 & 0 & 0 \\ 0 & 2 & 0 \\ 0 & 0 & 0  \end{array} \right) = \left( \begin{array}{ccc} 2 & 4 & 0 \\ 2 & 0 & 0 \\ 0 & -2 & 0  \end{array} \right)
\]より  AP = PD となり、対角化もうまくできていることがわかる。

 

8.さいごに

今回は、様々な分野で応用例がある行列の対角化についてまとめました。

対角化の計算後に  AP = PD を使って正しい答えが得られているかを検算する癖をつけておくと、多少時間はかかるかもしれませんが対角化が正しくできていることを確証できますよ。

対角化を用いた応用問題として、行列の  n 乗を求めたり、漸化式(差分方程式)を解いたりすることができるので、余裕があれば紹介をしてみたいと思います。

 

次回は特別な条件における対角化についてまとめていきたいと思います。

*1:正則な行列  P を選ばないと逆行列  P^{-1} が存在しないため。

*2:行列  P の1列目が  \vec{p_1} だとすると行列  D の1列目の対角成分には  t_1 が来るように列ごとに固有値と固有ベクトルがペアになっている。

*3: A,  P  が2次正方行列なら2本の固有ベクトルが、3次正方行列なら3本の固有ベクトルが、 n 次正方行列なら  n 本の固有ベクトルが必要。

*4:例えば3次正方行列の固有値が2,3,4のとき、重解はないのでこのパターンになります

*5:例えば3次正方行列の固有値が3,3,3の場合、3重解となるので  n = 3 のときのこのパターンとなります

*6: n 次正方行列から  n 個の固有ベクトルを出すためには、行列の階数が0となる必要があるが、行列の階数が0の行列はゼロ行列以外存在しないため、基本的に対角化不可能である。

*7:例えば3次正方行列の固有値が3,3,4の場合、3重解はないが、2重解が含まれるのでこのパターンとなる

*8:この時点で2つの重解に対し、2つの固有ベクトルが出せることがわかるのでこの問題はこの時点で対角化可能なことを言うことができます。でも一応念の為計算をします。

*9:この時点で3つの重解に対し、2つの固有ベクトルしか出ないことがわかるのでこの問題はこの時点で対角化できないことがわかるので、ここで記述を止めてもOK。