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工業大学生ももやまのうさぎ塾

4年間+2年間の工業大学・大学院で学んだ知識やためになることを投稿していきます

線形代数:マーク式試験の裏技第1弾

こんにちは、ももやまです。
今回はとある線形代数のマーク式試験を見てマーク式でしかできない裏技、裏技を阻止した問題スタイルを紹介します。

普通に線形代数の練習にも使えるので、ぜひご利用ください!
行基本変形、連立方程式の解き方がちょっとわからないor苦手な人はこちらの記事を見てください!

www.momoyama-usagi.com

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注意:マーク欄には -9 ~ 9 までの整数が入ります。

 a

1.裏技が使える問題

線形代数の期末試験で、これに似たような問題があった。

問題

連立一次方程式

\[
\left\{ \begin{array}{l} 
\ \ x - 2 y + 2z = \ \ \ 1 \\
 2x - 3y + 2z = \ \ \ 5 \\
\ \ x - 3 y +  4z = -2 \\
\end{array}\right.
\]を解け。下記の一般解の空欄 [   1   ] 〜 [   2   ] に該当する数を解答せよ。\[
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z   \end{array} \right) =
t \left( \begin{array}{ccc} 2 \\ \left[ \ \ \  1 \ \ \ \right] \\ 1 \end{array} \right) +
\left( \begin{array}{ccc} \left[ \ \ \ 2  \ \ \ \right] \\ 3 \\ 0  \end{array} \right)  

\]ここで  t は任意の定数である。

 

おそらく、線形代数の試験ということで、真面目に解答する場合は、拡大係数行列  B を作って  B を行基本変形して答えを出すのが想定されている答えだと思います。

しかし、私はこのような問題を見たらこのように解きたくなります。

 解答

 t = 0 と仮定する。このとき、 x = 2,  z = 1 である。
連立方程式に代入すると、\[
\left\{ \begin{array}{l} 
\ \ x - 6 = \ \ \ 1 \\
 2x - 9 = \ \ \ 5 \\
\ \ x - 9 = -2 \\
\end{array}\right.
\]より、3式とも  x = 7 で満たす。
よって  [   1   ] … 7 。

また、右辺には定数項だけが残らなければならない。
なので、 t の項はいずれも0になるように  x,y,z とする。つまり、\[
\left\{ \begin{array}{l} 
2t - 2 y + 2t = \ \ \ 0 \\
4t - 3y + 2t = \ \ \ 0 \\
2t - 3 y +  4t = 0 \\
\end{array}\right.
\]となればよい。このとき、3式とも  y = 2t を満たす。
よって、[   2   ] → 2 。*1

つまり、答えは\[
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z   \end{array} \right) =
t \left( \begin{array}{ccc} 2 \\ 2 \\ 1 \end{array} \right) +
\left( \begin{array}{ccc} 7 \\ 3 \\ 0  \end{array} \right) 
\]となる。

このような解き方、つまり  t = 0 を仮定した解き方は記述式答案の場合、十分性が確認できないことなどにより0点(もしくはそれに近い)答案になってしまう。

しかし、マークシートだと途中過程が問われないので、どんな解き方をしても許されてしまうのである。

これにより、裏技を使った人が1分かからずに満点を取ってしまい、真面目に行基本変形した人が時間を食ってしまう問題になってしまっているのである。

2.なぜヒントが書いてあるのか

このような連立方程式の場合、上のような裏技を使わせないなら、\[
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z   \end{array} \right) =
t \left( \begin{array}{ccc} \left[ \ \ \ \ \  \ \ \ \right] \\ \left[ \ \ \  1 \ \ \ \right] \\ \left[ \ \ \ \ \  \ \ \ \right] \end{array} \right) +
\left( \begin{array}{ccc} \left[ \ \ \ 2  \ \ \ \right] \\ \left[ \ \ \ \ \  \ \ \ \right] \\ \left[ \ \ \ \ \  \ \ \ \right]  \end{array} \right)  
\]のようにヒントを与えなければいいのではと思った人もいると思います。

でもこのような形にすると、様々な答えが想定されてしまうのです。
たとえば、\[
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z   \end{array} \right) =
t \left( \begin{array}{ccc} 2 \\ 2 \\ 1 \end{array} \right) +
\left( \begin{array}{ccc} 7 \\ 3 \\ 0  \end{array} \right) 
\]以外にも、\[
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z   \end{array} \right) =
t \left( \begin{array}{ccc} 4 \\ 4 \\ 2 \end{array} \right) +
\left( \begin{array}{ccc} 7 \\ 3 \\ 0  \end{array} \right)  ,\ \ \ 
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z   \end{array} \right) =
t \left( \begin{array}{ccc} -2 \\ -2 \\ -1 \end{array} \right) +
\left( \begin{array}{ccc} 5 \\ 1 \\ -1  \end{array} \right)
\]など、様々な答えが出せてしまい、様々なマークのパターンが正解になってしまうため、仕方なくヒントが与えられてあるのです。

このようにマークシートは素早く採点できる一方、正当法ではなく解が出せる欠点があるのです。

3.裏技が阻止された問題

マークシートでも、つぎのように誘導させてあげることで、裏技をなるべく使わせないようにすることができます。

行列  A, ベクトル  \vec{b} を\[
A =  \begin{align*}  &  \ \left( \begin{array}{ccc} 1 & -2 & 2 \\ 2 & -3 & 2  \\ 1 & -3 & 4  \end{array} \right) \ \ \vec{b} = \left( \begin{array}{ccc} 1 \\ 5 \\ a  \end{array} \right) 
\end{align*}
\]となる。また、拡大係数行列を、  B = (A | \vec{b}) つまり\[
B =  \begin{align*}  & \ \left( \begin{array}{ccc} 1 & -2 & 2 & 1 \\ 2 & -3 & 2 & 5  \\ 1 & -3 & 4 & a  \end{array} \right) 
\end{align*}
\]とする。このとき、(1),(2)の問いに答えなさい。ただし、 a は定数である。

(1)  a \not =  \left[ \ \ \ 1  \ \ \ \right] のとき、 \mathrm{rank}\ A \lt \mathrm{rank}\ B = \left[ \ \ \ 2  \ \ \ \right] となり、方程式  A \vec{x} = \vec{b} の解は [   3   ] となる。
[   3   ] に当てはまる選択肢を次の⓪~②から選びなさい。

⓪ 解を持たない   ① 解を1つだけ持つ   ② 解を無数に持つ

(2)  a = \left[ \ \ \ 1  \ \ \ \right] のとき、 \mathrm{rank}\ A = \mathrm{rank}\ B = \left[ \ \ \ 4  \ \ \ \right] となり、方程式   A \vec{x} = \vec{b} のは任意の定数  t を用いて\[
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z   \end{array} \right) =
t \left( \begin{array}{ccc} 2 \\ \left[ \ \ \  5 \ \ \ \right] \\ 1 \end{array} \right) +
\left( \begin{array}{ccc} \left[ \ \ \ 6  \ \ \ \right] \\ 3 \\ 0  \end{array} \right)  
\]となる。

 

 のような問題をすれば、上のようなやり方をしても3割程度の点しかもらえない出題スタイルになり、素直に行基本変形をした人が有利になる問題となりますね。

 

この問題の解法は、

行列  B を行基本変形する。\[
 \begin{align*}  B = \ \left( \begin{array}{ccc|c} 1 & -2 & 2 & 1 \\ 2 & -3 & 2 & 5  \\ 1 & -3 & 4 & a  \end{array} \right)  \to  \ & 
 \ \left( \begin{array}{ccc|c} 1 & -2 & 2 & 1 \\ 0 & 1 & -2 & 3  \\ 0 & -1 & 2 & a-1  \end{array} \right) \\ \to  \ & 
 \ \left( \begin{array}{ccc|c} 1 & -2 & 2 & 1 \\ 0 & 1 & -2 & 3  \\ 0 & 0 & 0 & a+2  \end{array} \right) \\ \to  \ & 
 \ \left( \begin{array}{ccc|c} 1 & -1 & 0 & 4 \\ 0 & 1 & -2 & 3  \\ 0 & 0 & 0 & a+2  \end{array} \right)
\end{align*}
\]より、 a \not = -2 のときは  \mathrm{rank}\ A \lt \mathrm{rank}\ B = 3 となってしまい、解を持たない。

また、 a = -2 のときは、\[
\left\{ \begin{array}{l} 
x - y = 4 \\
y - 2z = 3
\end{array}\right.
\]となる。ここで、(問題の解の与え方を見たら) z = t としているので、 z = t とする。すると、 x = 2t + 7,  2t + 3 となっている。よって、\[
\left( \begin{array}{ccc} x \\ y \\ z   \end{array} \right) =
t \left( \begin{array}{ccc} 2 \\ 2 \\ 1 \end{array} \right) +
\left( \begin{array}{ccc} 7 \\ 3 \\ 0  \end{array} \right) 
\]となる。

いずれにしても、解を出したあとは、必ず検算すること。

検算は、 x = 2t + 7,  y = 2t + 3,  z = t を上の方程式に入れて、すべて成立するかを確認するのがよい。つまり、\[
\left\{ \begin{array}{l} 
(2t+7) - 2 (2t+3) + 2t = 1 \\
 2(2t+7) - 3(2t+3) + 2t =  5 \\
2t+7 - 3 (2t+3) +  4t = -2 \\
\end{array}\right.
\]の3式が(左辺)=(右辺)となるのを確かめればよい。

★解答★

[   1   ] … -2 (2点) [   2   ] … 3 (2点) [   3   ] … 0 (1点)
[   4   ] …  2 (2点) [   5   ] … 7 (2点) [   6   ] … 2 (1点)

 

4.さいごに

今回は、期末試験で使えるマークシート式(というか解答だけを書くような試験方式)の裏技を紹介しました。

おそらく線形代数をマークシートで試験するところは少ないと思いますが……。

 

*1:このやり方がうーんって思った人は  t = 1 を仮定して  t = 0 の場合から引くやり方でも出せる。